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精読と実作のための文芸翻訳実践研究

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英語で書かれた小説を題材に、文章を解釈する翻訳プロセスを開示することで「文章を読む」ということを考える連載コンテンツです。英語学習や文章の精読だけでなく、小説の実作も視野に入れ、…
最初の2つ: ・ドン・デリーロ『ドストエフスキーの夜』 ・宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 は投げ銭方式な…
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#翻訳

【翻訳】『祝祷』スコット・フィッツジェラルド(原題:Benediction)

Ⅰ  ボルティモア駅は暑く、混雑していた。そのせいか電報事務所に寄らなければならなかった…

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大滝瓶太
6年前
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小説を「古典」にするもの/スコット・フィッツジェラルド「温かく冷たい血」全訳

小説を「古典」にするもの 今年、物書きとして食っていかねばならないという焦りがいよいよ深…

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大滝瓶太
5年前
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【第1回】文芸翻訳での分詞構文や同格、言葉遊びの処理──Don DeLillo "MIDNIGHT IN…

 英文を読むのと翻訳をするのにはかなり大きな違いがあって、読んでいるときの感覚を文章とし…

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大滝瓶太
6年前
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【第2回】英語版『銀河鉄道の夜』を再翻訳してみた──外国語を通して読む宮沢賢治

翻訳は読書の究極系!? ぼくが翻訳をはじめたのは実作をはじめてから5年後くらいで、ちょう…

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大滝瓶太
6年前
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【第3回】「狂気的な文体」をいかにして翻訳するか/作家性の反映──Thomas Pynchon…

ピンチョンという大きな存在 素人が決して手を出すべきではない作家トマス・ピンチョンの『競…

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大滝瓶太
6年前
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【第4回】「小説が上手い」とはどういうことか?──Ian McEwan “Solid Geometry”…

文章を「書く」練習をしてもそんなに上手くはならない スポーツでも芸術でも「上手くなりたい…

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大滝瓶太
6年前
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【第5回】「良い本」とはなにか──Richard Powers ”To the Measures Fall”冒頭

 リチャード・パワーズは現代アメリカ文学でたぶんとてつもなく重要な作家のひとりだとおもうのだけど、とうぜんながらアメリカのほうが日本よりも作家数は多いとおもわれるので、見聞きしたものから推測してこういうに留めるくらいしかぼくにはできない。こうした「大きなこと」をいうのは「適当」か「願望」かのどちらかにあたるものなのだけど、ぼくがパワーズに寄せるおもいは後者だ。パワーズという作家さえ読まなければ、文章を仕事にしようだなんておもわなかったにちがいないし、パワーズさえ読まなければ、

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