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陸前高田との繋がりと私たちの防災・減災

東日本大震災から10年以上経っても、あの日3月11日やその後の日々は、多くの人にとって、一生忘れることが出来ません。経験したことのないくらいの揺れに驚き、年齢や性別、立場に関わりなく、自然が残酷に牙をむき、多くの命が失われ、今まであった日々の暮らしが全くなくなってしまうということ、TV画面からそれを目の当たりにして、私たちはどうしたらいいのだろうと、やり場のない悲しみや怒りを感じつつも、無力感に苛まれていました。

復興のシンボルとして親しまれる『奇跡の一本松』2023.9 撮影

そんな中、法人一スタッフが現地に出向き、ボランティア活動を通じて「おやこの広場きらりんきっず」という場に出会ったことで「陸前高田」と「横浜市港北区」とのつながりができました。そのスタッフと一緒に、いろいろな人が現地に足を運びはじめ、回を重ね、今日に至っています。

何回か通うと、その知り合いや土地勘もできます。あそこのお店のソフトクリームは絶品!次は担々麺が美味しいと評判のお店に行きたい!赤ちゃんだったあの子がもう小学生なんだね~など、3.11前には地図上の一つの場所でしかなかった「陸前高田市」が、今では私たちにとって、かけがえのない場所、親戚が暮らす故郷のような場所になっています。

「被災地だから応援する」とか「ボランティアとして活動する」という気持ちよりも、ごく自然に人と人とのつながりが紡がれてきました。

新型コロナウィルスの感染期にはお互いの行き来もままならず、それでも「あの人はどうしているかな」「元気でいるだろうか」と、オンラインを使うなどして、つながりは途切れることはなく、2023年9月、久しぶりに現地の子ども向けイベントの手伝いに出向き、懐かしい顔に再会できた時は本当に嬉しいものでした。

きらりんファミリーフェスでの演奏の様子                         震災時は写真の建物の屋上を超えるところまで津波が押し寄せたよう。

一方で、復興後の「新しいまち」を見た時には、震災直後や復興途中の様子を知っているものとして、ここまで大きく景色が変わっていることに心底驚きました。自分が生まれ育ったまちの光景が変わっていくことは、時に寂しく、悲しくもありますが、その中で、復興に向けて、この土地の皆さんが活動を続けてこられたことを思うと感慨深いものがありました。

イベントに来ている子どもたちの多くは10才以下で「震災以降に生まれた子ども達」。あの大震災が「ひと昔」も前のことになり得るかもしれないんだということに気付き、何とも言えない気持ちにもなりました。もちろん、現地では「忘れないため」に様々な取り組みがなされています。2019年には「東日本大震災津波伝承館 いわてTSUNAMIメモリアル」が開館し、津波の事実と教訓などが展示されており、多くの人が足を運んでいました。

ほかにも「大船渡津波伝承館」「閖上の記憶」といった語り継ぐ場、または「震災遺構」などが各地にあるので、東北に出向かれた際にはぜひ立ち寄ってください。

今回4年ぶりに陸前高田市を訪れていろいろなことを考えました。防災グッズなどを携帯していた時もあったのに、だんだんと「ま、大丈夫かな」となっている自分。決して褒めらる話ではないけれど、いつも防災のことばかりも考えてもいられないという気持ちが正直なところです。

港北区災害ボランティア連絡会」という団体があり、災害時のボランティアセンター運営、地域の防災・減災活動推進、被災地支援をミッションに、所属メンバー同士で学び合っています。災害時のIT化対応など、進化していることも多いので、この団体の活動に参加をするようにしています。みなさんの住んでいる地域にも、NPOはじめ防災・減災に取り組んでいる団体があるので、ぜひアクセスしてみてください。今は、SNS等でもアイデア満載の防災グッズ情報があるので、ご家庭にあったものを取り入れていくといいのではないでしょうか。

都市部では、同じ地域に住んでいるからといって、知り合いになれるものでもなく、所謂「隣は何をする人ぞ」になりがちです。以前、地域の町会長さんが、自分の住んでいる地域に誰が住んでいるのかわからないので、イベントやお祭りを開催して、災害時に少しでも「顔がわかる関係性」を作りたいと話されていました。もちろん、地域住民全員と知り合いになるということは物理的に不可能でも、いざという時に、その地域の誰と誰とにつながっておくことで、助かる命、助けられる命があるかもしれず『生きたネットワーク』を構築できるのかが地域課題と言えます。

「日々の防災活動に自分なりのペースで取り組むこと」
「地域での活動を通して見知った顔をつなげていくこと」
そして、3.11後に出会った縁を大切に、その場所の人と交わり、あの日のことを忘れないためにも、
「自分達が見聞きしたことを、自分達の言葉で語っていくこと」
「ひとり一人のペースで継続していくこと」こそが、自分達の身の丈にあった【防災・減災活動】なのかなと感じる日々です。

COCOひよし 山口


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