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【宇宙に行くことは地球を知ること】読書感想文

この本を手に取ったのは、
タイトルに惹かれたから。
実際に地球を飛び出して
宇宙空間に浮遊して
そこから地球を眺めたことのある人が
何を感じ何を考えるのか、とても興味がある。

宇宙が好き、という人はたくさんいると思う。
浪漫の宝庫だし、
何もかもが段違いのスケール感で
人の心を惹きつける。

その方向性もさまざまで
ロケットとか探査機が好きなメカニカル系
未開、未踏の地という冒険心
星空に魅せられている、天体観測
占星術とかスピリチュアル系
天文学・物理学的な視点
などなど

色んな人の嗜好を飲み込んで
今日も宇宙は果てしなく広がっている。
そんな宇宙に実際に行くことに、
どんな意味があるのか?
人は何を見出すのか?

野口聡一さんは言う。
宇宙飛行の成果は科学技術面だけでなく
精神的なインパクト、
地球を外側から見るという「宇宙的な視点」
を得たことで、新しい地球観を得たと。

まさに、私はそれが知りたい。 

冒頭の矢野顕子さんのまえがきにもある。
「外から地球を見たい」
これにとても共感する。

おそらく生物は、成長、進化するものだから
常に新しい世界に踏み込もうとする。
現状維持は退化の始まりとはよく言ったもので
人間の知識、思考、行動は、
きっといつも進化を求めている。

この大空を抜けたら、
その先にどんな世界が広がっているのか。
見たい。知りたい。行ってみたい。
この広大な宇宙のなかで
私たちの地球はどういう存在なのか。
実際に外から感じてみたい。

こんな好奇心が満たされたとき幸せを感じる。
宇宙飛行士の話はこの疑似体験。
すごく、おもしろい。

私にとってもっとも印象的だったのは
地球の昼の間の光景。
光輝く地球の眩しさと、宇宙空間の闇。
生と死のコントラスト。
濃密な生命と、「何もない黒。」
死の空間に包まれて、命の光を見る体験だと。

それは、すさまじいんだろうなと想像する。

そして野口さんはこうも言う。
宇宙体験は基本的に「引き算の世界だ」と。
重力や、人とのつながりがなくなり
ものからの刺激、美味しい食べ物、色や音、
そういうものが引かれていって
残されたものから、
一生懸命に世界観をつくろうとする中で
見る景色や感じる音が宇宙体験だと。

それで、なんとかその臨場感を想像してみる。
普段、過剰ともいえる情報に触れ続けている
自分の知覚から
いろんなものが削ぎ落されて
五感が混ざって
(宇宙空間では、水平線を手で感じたり、
温度を硬さから感じたり、
指先で音を聞いたりするのだとか!)

静寂の闇のなかで見つめる、
私たちがいる地球は
青く輝いて、生命が立ち昇って
あんなところにいつも自分がいるなんて
嘘でしょう?と言いたくなるような
泣きたくなるような
無条件に大切な、
みんなのいる場所、故郷の惑星。

こんな想像をするだけでただただ楽しい。

矢野顕子さんは言う。
宇宙を知ることで世界の見方や
日々の気持ちの持ち方が変わると。
私も本当にそうだと思う。

こうして思いを馳せるだけで、
今自分がここにこうしていることが
とても素敵なことなんだと思える。

"音のないはずの宇宙を音で把握したい矢野さんと、
技術者でありながら自らの感性だけで宇宙を理解したい僕(野口さん)”

宇宙に行ってみたい、その理由は人それぞれで
懐の深い宇宙はきっと、
いろんな理由、人それぞれの嗜好に
応えてくれるのではないかと。

物理と数学によって語られる宇宙は
難しくてロマンチックじゃない、と
感じる人もいるのかもしれない。
けれど私にとっては、
難解で理解できなかったとしても、
理論や数式は心躍らせるロマンチック。

私が宇宙に行けたら
そこで物理学に思いを馳せたい。
小さな点から始まった宇宙が、膨張して、
この時空のなかで起こるさまざまな現象
星が輝くその裏で起きていること、
大気に包まれた地球、
そこに重力が生じていること。
古来よりそれを理解せんと挑んで
素晴らしい理論や方程式を残してくれた
物理学者の営みも含めて
私はそこに、圧倒的な自然法則を見たい。

ストレートに宇宙を夢見る矢野顕子さんと
宇宙に行ったことのある野口聡一さん。
お二人の話を読んで
もし宇宙に行けたら、という夢想が濃くなって
そしてそれが意外にも現実的で
ワンチャンあるな、なんて思って

なんだかこの先がとても楽しみになりました。


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