「廃アパートの呪詛」後編
私の涙目の訴えで、どうにか村田と浦川を説得することができた。
とはいえ、2人ともそうとうにビビっていたから、説得には20分ほどの時間を有した。
浦川はわかる。
婆ちゃんに脅しとも取れる恐ろしい過去を知らされた。
首吊り自殺をした悪霊によって、隣のビルの倒産や一家心中の噂を耳にした後だ。
「あそこには絶対に近づくな」
そう婆ちゃんにいわれた矢先の出来ごとだったから、明らかに狼狽している浦川は、むしろ正しい怯えにみえた。
意外だったのは村田だ。
あれほど霊に関してはベテランの域に