フィンランド語 探偵ハンナ 第24回
Päivää（パイヴァー）！こんにちは！
フィンランド語で2月はhelmikuu（ヘルミクー）と言うの。helmi（ヘルミ）は「真珠」でkuu（クー）は「月」。つまり「真珠の月」って直訳になるんだけど、これがなぜ2月の月名になったかわかる？「真珠」を意味するhelmiは、jäähelmi（ヤーヘルミ）＝「氷の粒」という単語が元になっているの。2月は1年で最も寒い時期。氷の粒がたくさん見られるでしょう？フィンランド語の月名は面白い由来を持つものが多いわよ。
さて、今日もフィンランド語の謎を解明しなくちゃ。ハンナならどんな難題も解決できるんだから！
24回目の依頼人は、ミリタリー好きな高校3年生のマサト君よ。2回目の登場ね。
🔎Case #24：『バターの花と白いタマネギ』
ハンナ：こんにちは。久しぶりね！
マサト：こんにちは！1年以上お会いしてませんでしたね。今年は受験の年だったので、忙しかったです。第一志望の大学に受かって、ちょっと落ち着いたので、フィンランド語の勉強を再開しました。
ハンナ：合格おめでとう！良かったわね。それで、今日はどんなご依頼かしら？
マサト：実はこの前、短期のフィンランド語講座に参加してみたんです。女性が多くてちょっと恥ずかしかったですけど、ネイティブの先生と話せて楽しかったですよ。そこでちょっと疑問に思ったことがあったんです。
参加者のほとんどは、僕みたいに独学で少し勉強していた人でした。最初に簡単な自己紹介や会話をする時間があって、その時に先生が「好きな花は何ですか？」という質問を参加者の1人にしたんですけど、その人は「バターの花」と答えたんです。
ハンナ：バターの花？本当にそう言ったの？
マサト：「ヴォイ クッカ」と聞こえたから、そう思ったんですけど・・・それから、別の人も「嫌いな食べ物は何ですか？」という質問に「白いタマネギ」と答えたんです。これも何だか変だなあと思って。
ハンナ：ふーむ・・・マサト君、その2つの単語をフィンランド語で書ける？
マサト：はい、多分・・・聞いた通りだとこうでした。
（ハンナにメモを渡す）
マサト：voi（ヴォイ）は「バター」、kukka（クッカ）は「花」ですよね？それと、valko（ヴァルコ）は「白」、sipuli（シプリ）は「タマネギ」で合ってますよね・・・それぞれの単語の意味はわかるのに、並べるとおかしなことになっていて。その時すぐには質問しにくくて、そのままにしちゃいました。ハンナさん、この謎が解けますか？
ハンナ：トタ、トタ*1・・・わかったわ！
謎を解くカギは「つなげた時の意味変化」よ！
マサト：どういうことですか？
ハンナ：マサト君が書いてくれたメモを見ると、“voi kukka”も、“valko sipuli”も、スペースを空けているけど、正しいスペルは、“voikukka”、“valkosipuli” なの。つまり、くっつけて書くのよ。発音は変わらないけどね。そうすると、2つの単語が1つの「複合語」というものになるわ。複合語になると、元の単語の意味から変化することがあるのよ。
マサト：へえ？！「つなげた時」ってそういうことですか！
ハンナ：そう。voikukkaは「タンポポ」、valkosipuliは「ニンニク」という意味なの。これなら前後の会話に合うでしょう？
マサト：ほんとだ！「好きな花はタンポポ」、「嫌いな食べ物はニンニク」ですね。もしかして、こういうことってフィンランド語にはよくあるんですか？
ハンナ：その通り。もちろん、「白」＋「ワイン」→「白ワイン」のような、元の単語の意味から変わらない例もたくさんあるけど、例えばこんな複合語があるわ。
huuli（フーリ）「唇」＋ harppu（ハルップ）「ハープ」
→ huuliharppu「ハーモニカ」
jää（ヤー）「氷」＋ kaappi（カーッピ）「戸棚」
→ jääkaappi「冷蔵庫」
linnun（リンヌン）「鳥の」＋ rata（ラタ）「軌道」
→ Linnunrata「天の川、銀河」
meri（メリ）「海」＋ siili（シーリ）「ハリネズミ」
→ merisiili「ウニ」
マサト：「鳥の軌道」が「天の川」とか、「海のハリネズミ」が「ウニ」とか、知らないとわからないなあ。でも言われればわかる気がします。これでクイズが作れそう。
ハンナ：そうね！ただひたすら単語を覚えていくより、楽しみながら覚えていくのがいいと思うわよ。
マサト：僕、語彙力がまだまだだから、辞書を引く時には、その単語を使った複合語にも注目してみようと思います。ハンナさん、ありがとうございました！
謎は解決！次はどんな依頼が舞い込んでくるかしら？次回もお楽しみに！
*1 トタ（tota）：日本語の「えーっと」に当たる語tuota（トゥオタ）のくだけた発音
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