短編小説 無色のトリコロール
深夜にモーターが軋んだ悲鳴を上げ、私は一気に引きずり込まれた。首が締まり、ひゅうと枯れた呼吸が口元から漏れる。
その日、私はとても疲れていた。会社でプレゼンに失敗し、精神的に追い込まれていた。思い返せば、ここ数週間は満足に眠れていない。
全てが嫌になり、資料をシュレッダーにかけたときだった。あっという間に、ネクタイが吸い込まれた。呼吸ができなくなり意識が遠のく。いつもならスイッチをオフにしただろうが、今日に限って頭が回らなかった。どうでもよくなっていたのかもしれない。