鋼鉄の魔法少女-Iron Mage-
キャッチコピー
魔法少女×戦艦、幻想海戦記の開幕!
大海原を舞台に、鋼鉄の鎧を纏い、魔法で化け物を殴り倒せ!
あらすじ
第1話のストーリー
1918年の第一次世界大戦末期の地中海。
日本海軍の装甲巡洋艦<出雲>が謎の巨大生物に襲撃される。
藤堂大輔は、そのとき海軍中尉として<出雲>に乗り込んでいた。
「クソッたれ! なんだ、ありゃ!?」
藤堂が悪態をついた瞬間、巨大生物がビームを放ち、<出雲>の艦橋を直撃。
藤堂以外の士官が全滅し、やむなく藤堂が代わりに指揮を執ることになった。
「化け物め! なめやがって、こちとら軍艦だぞ」
藤堂は<出雲>の主砲を巨大生物へ向ける。しかし巨大生物が再びビームを放った。
「南無三!」
最期を覚悟した瞬間、何者かが<出雲>の前に顕れる。
それは空中を浮遊する魔法少女レイだった。レイは障壁を展開し、巨大生物へビームを全て弾き返した。
自分のビームを食らい、巨大生物は毒々しい色の血をあたりにばらまく。そして咆哮を上げながら海中へ消えていった。
「助かったのか?」
藤堂が胸を撫でおろす一方、レイは力を使い果たして<出雲>の甲板に落下してしまう。 他の将兵が呆然とする中で藤堂は甲板へ駆け降り、レイを介抱した。
「寒い、私を温めて……」
レイは震えながら懇願する。レイを抱えた藤堂は困惑した。その肌が氷点下と思えるほど冷たかったのだ。
咄嗟に藤堂はレイを<出雲>の機関部へ連れていく。そこはボイラー室で、熱気に当てられ、まもなくレイは意識を取り戻した。
直後に止める間もなく、レイは燃え盛るボイラーへ飛び込んでしまった。
「おい莫迦!」
藤堂が怒号を上げるも、レイは全くの無傷だった。それどころかボイラーの熱で力を増していく。
「ありがとう。あなたのおかげで凍結しなくて済んだ」
「お前、大丈夫なのか? そもそも何者だ?」
藤堂は正体を確かめようとすると、巨大生物が再び出雲を襲撃してくる。
「このままではいけない。私に力を貸して。この船があれば勝てるかも……」
「博打は好きじゃないんだがな……どうすればいい?」
レイは<出雲>の船体に魔法陣を張り巡らせた。鮮やかな青の模様に彩られ、<出雲>が怪しく輝く。
藤堂は艦橋に戻り、再び主砲を巨大生物に向ける。
「射ッ」
巨大生物がビームを放つ同時に、<出雲>も主砲を発射。
それは魔法で加工された特殊砲弾だった。
<出雲>の砲弾はビームを切り裂くと、巨大生物に命中、爆散させる。
人類と魔法少女の共同作戦は勝利に終わった。
第2話以降のストーリー
巨大生物は有識者によってケートスと名付けられる。
ケートスは地中海だけではなく、世界中のあらゆる海域に出没していた。同時期に魔法少女も各地に現れ、戦いを繰り広げた。
しかし魔法少女だけではケートスを倒すのは困難で、徐々に追い詰められてしまう。
いつ現れるかもわからないケートスの影に人類は怯え、欧州各国は戦争どころではなくなり、第一次世界大戦を休戦せざるを得なくなった。
各国は利害を超えて団結、人類は魔法少女と協力してケートスへの対抗策を講じる。
魔法少女たちは異世界からケートスを追って地球に来ていた。ケートスは次元を超えて別宇宙へ渡りながら、色々な星の文明を破壊して回っているらしい。魔法少女たちの故郷もケートスに襲撃されたらしく、復讐のために戦っていた。
ケートスの出現から3年後、列強各国は対抗手段としてを葬艦と呼ばれる特殊兵器を開発、本格的な反抗を開始する。
葬艦は地中海での戦いを参考に、魔法少女の力を増幅する軍艦だった。装甲と魔法陣に覆われ、強力な砲を搭載しており、魔法少女が魔力で艦を操ることが出来た。
列強各国は魔法少女を一人ずつ自国の監督下に置き、葬艦に載せて運用するようになる。
▼7大列強国の葬艦と搭載した魔法少女たち
・大日本帝国 葬艦<出雲>
魔法少女レイ
・大英帝国 葬艦<ロイヤルサブリン>
魔法少女シャドー
・アメリカ合衆国 葬艦<テネシー>
魔法少女ミラージュ
・フランス共和国 葬艦<ロレーヌ>
魔法少女イリュジオン
・イタリア王国 葬艦<カイオ・ドゥイリオ>
魔法少女ヴィジョーネ
・ドイツ帝国 葬艦<バイエルン>
魔法少女リーレ
・ロシア帝国 葬艦<インペラトリッツァ・マリーヤ>
魔法少女ファンタジア
葬艦に載った魔法少女たちは世界中の海でケートスと戦い、次々と撃破、戦果を上げていく。やがて各国は国威発揚のため、競うようにリヴァイアサンを狩り、名声を高めていった。
いつしか人々は7隻の葬艦と7人の魔法少女を称え、マーベラス7と呼ぶようになった。
葬艦の活躍で、世界の海は少しずつ平穏を取り戻していく。
しかし凪の時間は長くは続かなかった。
1921年の12月7日、横須賀に超弩級ケートスが出現、リヴァイアサンと名付けられる。
リヴァイアサンは停泊していた日本艦隊を蹂躙し、市街地は火の海となった。
リヴァイアサンを撃滅するため、レイが艦長の藤堂と一緒に葬艦<出雲>で駆け付ける。
「畜生め、好き勝手しやがって。目標、敵獣正面。主砲発射準備」
「待って……あれは、いつもと違う」
リヴァイアサンはかつてないほどに強大で、<出雲>の攻撃は通じなかった。それどころか反撃によってレイと<出雲>は深刻なダメージを負ってしまう。
やむなく藤堂は撤退を決断、リヴァイアサンは暴れまわった後で海へ消えてしまった。
その後、リヴァイアサンは太平洋の島々を荒らしまわり、甚大な被害が出ていく。
次に狙われたのは合衆国領ハワイ諸島。
合衆国の葬艦<テネシー>と魔法少女ミラージュが迎撃に向かう。
<テネシー>とミラージュは新兵器の爆撃機と連携、リヴァイアサンを翻弄してハワイ諸島から引き離していく。
「はは、楽勝! 私がデリートしてあげる」
ミラージュが勝利を確信したとき、リヴァイアサンが空に向かって大量のビームを放ち、爆撃隊が撃墜されてしまう。
呆気にとられるミラージュ。
油断した隙をついてリヴァイアサンが体当たりを食らわせ、<テネシー>は吹き飛ばされてしまった。
<テネシー>は船腹に大穴が開き、航行不能になってしまう。
大海原に<テネシー>を残し、リヴァイアサンはハワイ諸島へ上陸。
次々と街を火の海に変え、最後は波間に消えていった。
リヴァイアサンを前に次々と葬艦が敗れ、ついに列強各国は国際連盟で緊急総会を開いた。
陰惨な政治的駆け引きの後で、ついにマーベラス7による特殊艦隊の設立を決定。
7隻の戦艦と7人の魔法少女の力を合わせて、リヴァイアサンを討伐することになった。
しかし、ここで問題が浮上する。
いったい、どこの国の誰が艦隊を指揮するのか?
これまでマーベラス7は単独でケートスと戦ってきたため、まともな連携ができなかった。とりあえず葬艦同士で陣形を組んでみても、各自が勝手気ままな方向へ舵を切ってしまう。
「あーあ、こりゃ駄目だぁ」
点でばらばらな艦列を目に藤堂はぼやいた。
「どうすればいいの?」
レイが伝声管ごしに聞いてくる。
「そんなもん決まっている。お山の大将を決めるのさ」
藤堂は各葬艦の艦長を集め、ある提案を出した。
「艦隊指揮官を決めましょうぜ。やり方は簡単。模擬演習を行い、勝ち残った奴がテッペンを張るってことでいかがです?」
かくしてマーベラス7の指揮官を決めるため、トーナメント形式で模擬演習が開かれる。
藤堂とレイのペアは初戦で合衆国のミラージュと対決することになる。
お互いリヴァイアサンに煮え湯を飲まされた者同士、因縁の組み合わせとなった。
模擬戦では決められた海域内で双方が主砲を撃ち合うことになっていた。相手を行動不能にするか、もしくは海域の外に出したほうが勝ちになる。
一次予選の舞台は太平洋南西部のソロモン海。
双方の艦が海域に入ったところで火ぶたが切られた。
戦況は序盤から<出雲>の方が不利だった。<出雲>は旧式艦で足が遅く、搭載している砲の威力や射程も<テネシー>より劣っている。
演習開始直後から<出雲>は一方的に<テネシー>から砲撃を食らう。<出雲>も果敢に反撃するが、<テネシー>まで砲弾が届かず、しかも狙いも定まっていなかった。
「沈めてあげる!」
<出雲>は水柱に包まれながら海中に没し、ミラージュは勝利を確信した。
しかしそれはレイと藤堂の作戦通りだった。
突如、海域一帯に濃霧が発生し、あたりが白く染まる。
「フワット?」
あたりを見回すミラージュ。すると霧の向こうから突如<出雲>が現れる。
<出雲>はレイによって沈んだように見せかけられ、自ら海中に潜航し、<テネシー>まで距離を詰めていたのだ。辺りに立ち込めた霧はレイが魔法で砲弾を加工し、発生させたものだった。
<出雲>は油断した<テネシー>へ横付けすると砲口を向けた。
「目標<テネシー>、距離零、射ッ」
「了解」
<出雲>が放った砲弾は<テネシー>を直撃、ミラージュが障壁で防ぐも魔力を使い果たして戦闘不能となる。
「これで勝ち?」
首を傾げるレイ。
「俺たちの勝ちだ。よくやった。寄港したらあんみつをおごってやろう、ハハッ!」
その後、藤堂とレイは<出雲>を駆使し、模擬演習を勝ち進んでいく。
そして決勝戦で勝利し、藤堂がマーベラス7の艦隊指揮官、<出雲>は旗艦、レイは嚮導魔法少女になる。
やがてマーベラス7は世界一の練度を誇る艦隊へ成長し、宿敵リヴァイアサンとの決戦に臨むのだった。
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