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特濃な1日 2024/7/12の0.9日分


ビジネスホテルで目覚める。
チェックアウト直前の時間で焦ったが、寝る前に荷物をまとめておいたのでなんとか間に合った。3時間前のわたし、グッジョブ。

一度家に帰ろうと地下鉄を乗り継いで鶴橋に帰った。すっかり体が冷えて元気がないので湯船にお湯をためてあったまる。7月の中旬でもきっと夜中の市場は寒い。真冬などこの比ではないだろう。本当に大変なお仕事だな。
今朝の明け方に取材した市場で見聞きしたことを振り返っていたらポカポカしてきて、調子も出てきた。あったかいお茶も淹れて、仕事のいくつかを処理して家を出た。
よーし、おなか減ったぞ!

弁天町でナオさんと待ち合わせ、食堂へ向かいお昼ごはんとする。この食堂が心に残る良いお店だった。

弁天町の井筒さん

入店すると、13:30と昼のピークを過ぎた時間だからだろう。「もうおかずがほとんどないのよ、ごめんね」と店員さんに謝られる。しかしパッと見いくつか残っているし、うどんや丼もある。全然!と答え食事させてもらう。

お盆とお茶碗をいただき、おかずはセルフで取って、ごはん類は注文して配膳してもらうスタイルだ。席に荷物を置いておかず棚を見に行く。数皿しか残っていない状態でも、素晴らしい店だと確信して思わずナオさんと目を見合わせる。季節のおかずと慣れ親しんだ小鉢、壁の短冊にはきっとリクエストに応えるうち増えたのだろう、バリエーション豊かな麺類やごはんのサイズがメニューとして貼ってある。

ふだんはここがおかずで埋め尽くされるそう。シルバーラックの下の段までおかずが詰まっているのがSNSで見られる。
見よ!このウマそうな品々。ポテトサラダ、冬瓜と春雨の煮物、ポークピカタ、サラダ。

好きなものを取って瓶ビールでいただくと、しみじみとおいしい。店員さんが「何もなくてごめんね」とサラダをサービスしてくださる。終始気遣ってくださるのだ。

またこのサラダがうんまいんだ。今度マネしよう。大根の細切り、えのき、しそ、ちくわ

何よりすごかったのが、場のすばらしさ!長年、しっかり磨きながら営業を続けてきた店特有の、濃い色艶のある色合いや大切に使われてきた道具達が構成する空間よ……!近所の方だろう、女性が集まって宴会していたり、ご夫婦がおいしそうに食を摂ったり、ひとりでのんびり飲んでいる人がいるのもいい。
入店してから出るまでずーっと、店員さんがあたたかく見守ってくださり、おいしく安心して食事をできる場を作り上げようと接してくださるのが伝わってきた。

良い場すぎる

弁天町になったのは乗り換えのために偶然で、ならここでどこか、と検索で見つかったお店でほぼ偶然の出会いなのだが、こういうことがあるから飲食店巡りは楽しい!ナオさんと盛り上がって店を後にした。


地下鉄で大阪港へ。

ナオさんは昨日まで四国に出張していたそうで、旅路の話を聞く。なんて楽しそうなんだ……!四国の会社に営業してみようかな。出張したい。

大阪港駅からギャラリーへ向かう。今日は古屋兎丸展を見に来たのだ。

兎丸さんは学生の頃好きで読んでいた漫画家だ。好きだったのは「π」というギャグマンガで、繊細な雰囲気の絵柄と非常にバカバカしいストーリーの対比が好きだった。その後「ライチ☆光クラブ」や「帝一の國」が書かれるわけだが、今回の展示はその原画を含む書き下ろしイラストやグッズがあるもののよう。

入場して初めて知ったのだが、どうやらそのライチ類に濃いファンがついているようで、コスプレをした若い女性が沢山いた。コスプレをしていなくても客層が明らかにゴシックな雰囲気だ。アニメ化、舞台化があったりしてその少年たちの妖しい狂気的な世界観が、耽美的で退廃的で、ウケたのだろうな。

じっくり絵を見て回る。

髪の毛一本の線も緊張感ある、緻密な絵が美しい。少し繊細というか、神経質っぽい感じがまた世界観を形作っているようだ。特に兎丸さんの書く粘膜まわりの皮膚がすごい。目元の粘膜、唇、乳首とか、そういうもの。
しかし、わたしは「π」から入っているからか、どんなに美しい兎丸さんの絵もすこし面白く見えてしまう。特に大人の女性が服をはぎ取られて胸の部分があらわになるシーンの原画はもう、πにしか見えず笑ってしまった。

少しグッズを売っていたのだが、アイテム展開が推し活方向だ。アクスタとか、トレカとか。トレーディングカードには当たりとして直筆サインが混ざっているそうなので、1枚買った。外れた。

記念に写真を撮って去った。行って良かった。

ギャラリーの横にある広場が気持ちよかったな。


ここまでナオさんには兎丸展に付き合ってもらったのだが、ここからはナオさんのロケハンにわたしがくっついて行く形で飲み歩く予定。電車を乗り継いで西宮へと行く。


1軒目はクラフトビールの店。今日はそんなに暑い日ではなかったが湿気がすごく、どうも喉が渇いていたのだ!渡りに船!
駅から少し歩く場所だが、ブルワリーと併設されている場所のようで、新鮮なビールが飲めるのだとか。なんとも嬉しいじゃないか。

クラフトビールを2杯、アテにソーセージを食べる。店員さんがとてもやさしく親切なお店だった。今日はなんだか人に恵まれているな。

次は人気店らしい、すぐそばの和食店へ。アプローチの奥にある店の扉を開けて2名入れるか聞くと、残念ながら満席らしい。早い時間だったが金曜だし、何より本当に評判の良いお店なのだろう。また来ます、と出口へ向かうと感じの良いお店の方が見送ってくださった。

ではもう1軒候補の店へ、ということで駅近くにある立ち飲み屋へ寄った。野菜ピクルスをアテにチューハイを飲みつつだらだらとしていたら、ナオさんとやり取りしていた編集の方が合流したいとのこと。もちろん構わないので一緒に飲みましょう、と店を出て挨拶する。

どうやら打ち合わせっぽくお話もしたいよう。わたし、いて大丈夫かなと聞くと良いらしい。んじゃー、気楽に飲ませてもらいます。

編集のMさんが目星をつけてきた角打ちに移動するが、なんと現在営業していないそう。角打ちって結構ネットの情報が更新されていなかったり、急にたたんでしまったり、こういうこと、あるよねー。

その場でネット検索をして、ここどうだろう?と思った店が、Mさんも気になっていた店だそう。そのまま歩いて向かった。


この店も、今日何度目にこう言うだろう。形容しがたい、すごい店だった。

ごめんください、と入店すると、本来予約しか受け付けていないそうなのだが、せっかくだしと招き入れてくださった。それだけでなく、プチ唎酒として貴重なお酒をたくさん振舞ってくださった。
店主は様々な経験をされた知識豊富な方で、出て来るお話がすべておもしろい。お店のつくりや成り立ち、すべてにギュギュとストーリーがある。

通常のお店のように、ふらりと立ち寄って一杯飲むスタイルではないものの、確実にうまい酒を飲めて、酒について語れる。こんなお店があったのか。店内の見学もさせていただき、Mさんがその場で取材の約束を取り付けていらした。ノリでわたしも同席させてもらえることに。いいのかしら。良いらしい。んじゃー、気楽に参加させてもらいます。

すっかりほろ酔いになった一同、駅まで歩いて電車に乗り、それぞれの駅で降りていった。

濃い~~ぃ1日だったなあ。

なんだかんだでちゃんと夜ごはんを食べていなかったので、コンビニでつくねとナスのお浸しを買って、家でチューハイを飲んで夕飯とした。お土産にもらったイモけんぴを食べたかったが、眠くて食べられず。明日のお楽しみに。


今日のお花

マリーゴールド。最後に行った店の店主が育てたそう。あいみょんがカワイイから。

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