白人が創造した黒人とアジア人の区別
この話は以前にもどこかで書いたかもしれないが、改めて書くことにする。
横浜だと思ったが、友達数名と一緒にバーに入ったらバーテンダーも客も黒人だったということがあった。
そのバーの常連だという胡散臭い日本人男性によれば「この人達は外交官とか大学教授なんだよ」とのことだったが、私はたまたま席を隣り合わせた黒人のおばさんに「ギャングスタラップが好きです」と自己紹介混じりに言った。私は黒人文化に興味がありますというニュアンスで言ったのだが、黒人おばさんは一呼吸置いてから、説得するような口調でのたまった。
「私とあの人達は違う、ということを理解して下さい」
人種に限らず欧米人が説得するような口調で何かを言う時、その人は苛立ちを抑えているのだと一応理解していたし、黒人社会にも階級差があると知識として知ってはいたが、その階級差は予想以上のものだった。
「…やってしまった」と私がうつむいている間にも彼女は「本当にもうあの人達は自分達が黒人代表みたいなことを言って」とN.W.Aの悪口を言っていた。話の流れでN.W.Aのことを言っているのだと分かるのだが、「N.W.Aと口にしたくもない」という様子だった。
N.W.Aを知らない人達の為にリンクを貼っておくが、正式名称がN***az With Attitudesなので一部伏字にしておく。
この動画を初めて見た時、どうして米国の警官がトンファーを持っているのだろうと不思議だったが、米国在住の日本人空手家がトンファーの使い方を警官に教え、トンファー型の警棒が正式に採用されたと後に知る。
それはともかく、黒人だからみんなヒップホップが好きということもなく、ヘビーメタルが好きという人もいるらしい。そして「ギャングスタラップが好き」ということは黒人上流階級にとってはありえないことらしい。
日本人が漠然とストリートライフに憧れるというのは結構痛いことで、ギャングスタラップの伝説2PACすら「教育があるから本物のThug(チンピラ)ではない」と批判を受けていた。2PAC自身もデジタルアンダーグラウンド時代は普通の青年だったのに「Thugらしく振る舞わなければ」というプレッシャーにさいなまれて素行不良になり、いまだに犯人不明の暗殺事件の犠牲者となった。
日本にもラッパーは居るが、ラッパーはミュージシャンとして本物である前にThugとして本物でなければという思い込んでいる人が少なからずいる。北欧のブラックメタルにも似たようなところがあり、音楽ジャンルとしては現在何も残っていない。
話を黒人に戻す。民主党大統領候補のカマラ・ハリスは父親がジャマイカ出身の黒人で母親がタミル系インド人なので一時期アジア系と自称し今は黒人と自称しているが、N.W.Aや2PACの曲は聴いたことがあっても興味も無いだろう。
髪型も白人風で喋り方にも黒人訛り(その黒人訛りが米国語に強い影響を与えた)が無く、色も黒人にしては薄い彼女がもし米大統領になったら「史上初の米黒人女性大統領誕生!」と騒がれるのだろうがあまりピンと来ない。
米国には他の国と同じく外国人には理解し難い社会構造があるのは理解している。ただ、「インドには文明があるからインド人は黒人ではなくアフリカには文明が無いからアフリカ人は黒人」と恐ろしくみすぼらしい人種分類を行ったのはイギリス人やフランス人などの白人だということが明らかに置き去りにされている。
文明の有無をどこで判定したのか全く理解出来ないのだが、1980年代になっても「奴隷として米国に連れて来られた黒人はアフリカの黒人より豊かな暮らしをしていたのだから奴隷制は悪いものではなかった」と主張する白人が結構いた。これがKKKのメンバーの主張ではなく普通の白人クリスチャンの発言だったのだから恐れ入る。
一方の黒人は当然そうした意見を受け入れず「イエス・キリストも仏陀も黒人だった」と主張。白人の条件はコーカソイドでクリスチャンであることだが、血統的にユダヤの王(聖書の前書きにイエス・キリストの家系が書いてある)であるはずのイエス・キリストがユダヤ人では都合が悪いので屁理屈で白人に仕立て上げた。そして確かに当時のユダヤ人はアラブ人的に肌が浅黒かった。今でもイスラエル人の中には色黒な人がいる。
仏陀黒人説については、私は仏陀生誕の地ネパールに行ったことがある。仏陀を輩出したシャカ族が西アフリカの黒人とどれくらい違うのか分からないが、確かに黒い。
古代エジプト文明はギリシャ・ローマ文明に影響を与えた。つまり文明が明らかにあった。
それゆえに前時代的な白人達は「古代エジプト人は黒人ではない」と決めつけた。とにかく20世紀の欧米文化人達は黒人に文明があったことをひたすら否定した。しかし、古代エジプト文明がインダス文明に影響を与えた形跡は無視出来ない。ただ、それを認めるとアフリカ黒人に文明があったことになり、「彼等を奴隷にはしたが文明を与えた」という言い訳が通用しなくなってしまう。
西アフリカの古代文明については色々あるのだが、話はヒップホップに戻る。本来の英語にはヒップホップもロックンロールも無かった。簡単にまとめると、西アフリカ文明が無かったら欧米の音楽産業は存在しなかっただろう。
ジャマイカと言えばレゲエだが、アフリカにレレエと呼ばれる独特の音楽があって、その独特のリズムがレゲエになったという説も聞いたことがある。カマラ・ハリスの父親はジャマイカ系移民なので全く無関係な話ではない。
なので、カマラ・ハリスが米大統領になったら初のアジア系かつ黒人女性大統領であり、リベラルの勝利であり云々というのは極めて底の浅い話となる。インド系もアジアンというのも白人視点の分類で、しかも欧米ですら一般的でない。
第二次世界大戦前は日本人も「文明はあるにはあるがチビガリメガネ」と欧米全体からバカにされていた。そのチビガリメガネ軍団が戦闘機を操縦して英領シンガポールを陥落させたので、「戦闘機の操縦士はドイツ人じゃないのか?」とさえイギリス側は疑ったそうだが、当時の日本人に対する評価はおそろしく低かった。
パリオリンピックでの「差別判定」が話題になったが、1992年冬季オリンピックでフィギュアスケート米国代表の日系3世クリスティ・ヤマグチが金メダルを獲ったはいいがCM出演依頼がゼロだったという話がある。「たとえ実力があってもジャパニーズを認めたくない」という風潮は今に始まったことではない。旧ソビエト出身者はもっと認めたくなかったかもしれない。東ヨーロッパ人はたまに「日本人より差別されてないか?」と思わせる程度には酷い扱いを受けている。
今はウクライナ侵略でロシア人が極悪人扱いされているが、悪いのはネットで情報戦をやっている奴等だけで、普通の人達は実直な印象しかない。ロシアも欧米の都合で白人になったりアジア人扱いされたり結構忙しい。
黒人票欲しさに黒人女性を自称するカマラ・ハリスは米国内の黒人の歴史すらよく理解していないのではないかという頼りなさがある。米国人が彼女を大統領に選ぶならその選択は尊重するが、弱弱しい米国になるだろう。
で、私には黒人の祖先は居ないのだが、彼等の名誉の為に言っておくと、普通の黒人は大陸的なおおらかさがあり、どちらかというと温和で、「だから奴隷になってしまったのかな」と思わせるところがある。
ただ、既存欧米メディアは「暴れている黒人」「怒っている黒人」の画像や映像が今現在でも大好きで、私もそれに影響されて育ったひとりだったので告白すると「黒人は怒りっぽい」という偏見を実際の彼等を見るまでは持っていた。
それでも「実際黒人に差別された」という日本人が実在するのは知っているが、話を聞く限り白人の日本人差別の足元にも及ばない。Xで30秒程度の黒人が暴れるスクープ動画的なものがたまに流れてくるが、あの手の動画を100回観ても真実には辿り着けないだろう。
暴力的で説明不足な動画を観ると理解が抜け落ちたショックだけが残る。前にも書いた記憶があるが、少なからずのインフルエンサーが理解者ではなくフォロワーという信者獲得の為に暴力的なだけの動画を「これが世界の現実だ!」とばかりにタイムラインに流している。洗脳されている自分を自覚出来る人ならいいが、まだ自我が形成されていない中高生に洗脳されるなと言っても無理な話で、インプ稼ぎなら他の手段にして欲しい。
こんな日本人の祖先に黒人が居るわけがない。もしかすると英領シンガポールを陥落させた時代の日本人には黒人の血が入っていたのかもしれない。だが戦後どこかで漂白された日本人は欧米人のように攻撃的で陰険になり、人間的にも底が浅くなったのだろう。私も漂白されているのかもしれない。
トップ画像は黒人女性で私もそのつもりで選んだのだが、改めてよく見ると黒人にもインド系にもアジア系にも見える。さて、あなたは彼女の人種を言い当てられるだろうか(了)