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vol.1 読書感想文 神様のカルテ2

読書の秋というのは本当にあるようだ。
ふと本を手に取り、この気持ちをどこかに記したくなった。

記念すべき初投稿は、神様のカルテ2と共に。

中学生の頃初めてよんだ神様のカルテ。
私に医療人という夢を与えた本である。

6年越しにこの本を手に取った。
あの頃は、医療に携わり人を助ける一止先生の姿に憧れ、医療は多くの人を救い、幸せにすると心から信じていた。
医療学生となった今、本当に医療は人を救えるのかと考えることがある。
私が進むべき道は本当にこの道なのか、私如きが医療に携わっていいのか、そんな迷いがあるからこそ、神様のカルテを再び手に取ったのだと思う。


多忙を極める本庄病院で、相変わらず先生たちは奔走している。
大学時代を共に過ごした親友である進藤先生の妻が、病院の多忙さ故に心を病み、進藤先生は本庄病院へと帰る。
6年前と変わらないなぁと小説なのだから当たり前だがそう思う。
コロナで医療現場の現状が浮き彫りにされた。
現実の医療現場は、本庄病院とさして変わらないのではないか。

私が本を読みたいと思う理由の1つ、それは物語の人の人生に触れ、自分の生き方を見つけたい、である。

一止先生は、夜中の呼び出しや休日の電話に応じない進藤先生のことを変わってしまったと評する。
しかし、進藤先生も家庭の事情を抱え、1人の医師を人間として扱わない医療現場への不満を持っていた。
患者か家庭か、どちらをとっても不正解ではないこの問いで2人はぶつかり合う。

人の数だけ生き方がある。当たり前のようで簡単に忘れてしまうことを、神様のカルテ2は思い出させてくれる。
自分と違う考え方は理解しにくい。
本庄病院には自分の生き方を持ち、それでもなお人の生き方を肯定する強さを持った人が集まっている。
だからこそ、患者は自分の命を預け、共に闘おうと思うのではないか。

神様のカルテの舞台は本庄病院だけではない。
一止の住処、御嶽荘も大切な舞台だ。
一見訳ありの住人ばかりに見える。
生き方も違う、価値観も違う住人同士が御嶽荘で暮らせるのは、お互いの生き方を言葉に出さずとも肯定しているからだと思う。

一止先生、ハル、男爵、大狸先生、、、様々な背景を持ちながら生きる神様のカルテの住人に触れると、多様な価値観が混じり合うからこそ人と関わりたくなるのだと思い出させてくれる。


医療は本当に患者を救えるのか、そう思うことは今後数えきれないほどあるのだろう。
ただ、6年前、本庄病院で働く人に憧れを持った気持ちは忘れてはいない。
だから私は、知識をただひたすらに積み上げていくしかないのだと思う。

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