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未来からの言葉

子育てに関して、自分の経験から感じたことをこれまでのnoteに綴っている。
今思えば、自分の子どもとの関わり方は、子育てを始める時点では全く予測していなかった方向へとベクトルが進み、思わぬ展開になってきた。

約10年前になるけれど、私は運営していた店を閉めた。
その時、周りの人からは
「残念だったね。」
という言葉をたくさんもらった。
店を閉めることは、周りから見ると諦めのようにしか見えないのだと思ったし、自分もそう思っていた。


そんな中、ただ一人
「本当によかったわね。」
という言葉をくれた人がいた。
同じマンションに住む、70代の女性だった。私にとっては、まさかの言葉だった。
彼女はマンションのエントランスやエレベーターで顔を合わせると、私にも、うちの子どもたちにも優しい言葉をかけてくれる人だった。

彼女は、仕事に明け暮れる私と、うちの子どもたちのことを心配していたという。


そして亡きご主人は、中学校の先生をしていたと話してくれた。
子どもが中学生になると多くのお母さんたちは、手が離れたということで仕事を始めたり、それまでのパート勤務をフルタイム勤務に切り替えたりする。
ご主人は、中学生になって物理的に母の目が離れたところで生徒がいわゆる非行行為をし、補導され、警察へ迎えに行くことがよくあったという。
でも教師は、子どもを警察に迎えに行くことはできても、心の穴は埋められない、といつも話していたという。

彼女は、私に対してはこうアドバイスをくれた。中学生や高校生になっても母親が家にいて、口は出さずとも見守ることで子どもたちは安心感を覚える、と。

この言葉をもらった時、私の子どもたちは小学生。
中学生、高校生になる未来には、すっかり手が離れて、私は改めて自分の仕事にたくさんの時間を割くのだろうと思っていた。

結局私は、我が子が中学生、高校生と成長した時も、仕事は最低限に抑え、なるべく子どもの近くにいることを選んだ。
中学生、高校生の我が子たちのハートはとてもデリケートな時期を迎え、さらに親を欲しているように感じた。


中学生、高校生を手が離れた時期とするか、まだまだ目を離してはいけない時期とするか、各個人それぞれの考え方があると思うし、子どもそれぞれの個性もあると思う。


ただ、彼女のくれた言葉が、未来からきたものだったような気がしてならなかった。

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