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膨大な選択肢から「最善」を選ぶ方法|『Think clearly』

本日は『Think clearly』から実践するポイントを紹介します。

本書は、よい人生を送るために必要なさまざまな思考法が詰まった、「思考の道具箱」です。心理学、行動経済学、哲学、投資家や起業家の思想をひもとき、著者が人生で直面する問題や課題を克服してきた「52の思考法」が紹介されています。

なぜ「思考の道具箱」を持つことが重要なのか。それは、よい人生を生きるための「たったひとつの原則」や「たったひとつの原理」など存在しないからです。

この複雑な世界を生き抜くためには、いろいろな思考法がつまった「道具箱」を持つことが大切です。

本書の「52の思考法」の中で、私が実践したいと思ったのは、「大事な決断をするときは、十分な選択肢を検討しよう」です。

「秘書問題」とは?

数学者のあいだで「秘書問題」として知られる命題があります。

あなたはいま、秘書(いま風の言い方をするなら「アシスタント」と呼ぶべきなのだろうか)をひとり雇い入れたいと思っている。求人を出すと100人の女性から応募があった。あなたは無作為に順番を決めて、一人一人を面接する。

面接が終わるごとに、あなたはその応募者を採用するかどうかを決めなくてはならない。翌日まで考えたり、全員の面接が終わるまで決断を先延ばしにしたりしてはならない。そして面接直後の決断を撤回することもできない。

そうだとしたら、あなたはどんなふうに「採用・不採用」を決めるだろうか?

印象のよかった最初の面接者を採用したらどうだろう? だがそうすると、一番優秀な応募者を雇いそこねる恐れがある。彼女と同じくらい優秀な、あるいはもっと優秀な女性は、応募者の中にまだたくさんいるかもしれない。

では、ひとまず95人の面接をして応募者全体の傾向をつかんだ後、最後に残った5人の中から、それまでに面接した中でもっとも有能そうに見えた応募者と一番印象の似ている人を選んだらどうだろうか?

けれどもひょっとしたらその5人の中には、いいと思える人がひとりものこっていないかもしれない。

『Think clearly』(p.36)

驚くべきことに、この秘書問題の適切な解法は、たったひとつしかありません。その手順は以下の通りです。

  • まず、「最初の37人」は、面接しても全員不採用にして、ひとまずその37人のなかでもっとも優秀な女性のレベルを把握する。

  • その後も面接を続け、それまでの37人のうちもっとも優秀だった人のレベルを上回った最初の応募者を採用する。

この方法をとれば、優秀な秘書を採用できる確率は非常に高くなります。ひょっとしたら採用を決めた女性は、100人いる応募者の中で最高の秘書ではないかもしれませんが、それでも、確実に優秀な秘書を雇うことができます。

ほかのどんな方法をとっても、統計的にこの方法を上回る結果は出ないそうです。

37とは、応募者である100を、数学定数e(=2.718)で割って求めた数です。

そのため応募者が50人だった場合は、最初の18人(50÷e)を不採用にし、その18人のうちもっとも優秀だった人を上回った最初の応募者を採用すればいいということになります。

秘書問題は、重要なことを決めるときに「どのぐらいいろいろなことを試してみてから、最終決定を下すべきか」その指針を示してくれます。

短期間にできるだけたくさんの選択肢を試す

著者は「たいていの人は決断のタイミングが早すぎる」ため、もっとたくさんの選択肢を見ることの重要性を伝える意図で、この「秘書問題」を紹介しています。

つまり多くの人は、37人も面接せずに秘書を決めてしまうため、それでは早計すぎると忠告しているのです。どんな選択肢があるか、全体像をつかむ前にひとつを選びとってしまうと、最適な選択ができる確率は低くなるからです。

しかし私は、どちらかというと(ほぼ)すべての選択肢を検討した上でないと、「もっといい選択肢があるかもしれない」と考えてしまい、1つに選びきれないタイプです。

秘書問題の「制約」がなければ、100人全員を面接してから、優秀な秘書を複数人残し、さらにその中から最高に優秀な秘書を探そうとするでしょう。

そのせいで、ほとんど変わらない「誤差」の見極めに、必要以上の時間をかけてしまうのです。

そのため私は、この「秘書問題」を「選択肢を効率的に絞るための基準」として活用したいと思いました。

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