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サン=サーンスがサクソフォンを取り入れた作品を作曲していた? 常識を破る再発見

フランスのサクソフォン奏者 ニコラ・プロストが自身のFacebookにて、まだ誰にも知られていない楽譜の入手を公表した。楽譜はカミーユ・サン=サーンス(Charles Camille Saint-Saëns,1835-1921)の作品で、サクソフォン四重奏と声楽5部、弦楽器、オルガンの編成だという。

その作品はPsaume 136 "Super Flumina Babylonis"、日本語訳で詩篇唱第136番「バビロンの川のほとりに」のタイトルとなる教会音楽。プロスト氏によると、楽譜には作曲年が記されていないとのこと。
Wikipediaにあるサン=サーンスの作品リストをあたると、作品名は存在しているものの作品番号は振られておらず、演奏形態は合唱と記載されている。

サン=サーンスはサクソフォンを編成に含む作品を書いていないと長らく考えられてきた。プロスト氏の投稿には、驚きを隠せない多くのサクソフォン奏者たちからコメントが寄せられている。

ロンデックス氏の著書によると、サン=サーンスはルイ・マイヨール(Louis Mayeur, 1837-1894)の演奏を聴き、彼の資質に興味を持ったという。マイヨールはのちにパリオペラ座管弦楽団のサクソフォン奏者となる人物で、有名なサクソフォンソロがあることで知られるビゼー「アルルの女」の初演も務めた当時の名手だ。

最晩年の1921年まで作曲を続けたサン=サーンスの人生において、「バビロンの川のほとりに」がどのタイミングで生まれたのかはわからない。しかし、もしこのニュースが本当なのであれば、この曲はサクソフォンの最初期の貴重な作品のひとつとなるだろう。

「バビロンの川のほとりに」は、プロスト氏が主催するフェスティバル・サクシアーナのコンサートにて演奏される。会場はパリ・サンメリー教会の予定。

■ソース
ニコラ・プロストのFacebook
Jean-Marie LONDEIX - Pour une histoire du saxophone et des saxophonistes - Livre 1

(カバー写真はサン=サーンスがオルガニストを務めていたマドレーヌ寺院の内部の写真、筆者撮影。この内容とは無関係です)