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フランス・リヨンの公衆浴場にて、タダでシャワーを浴びてきた

フランスには銭湯がない。銭湯なんか日本の文化だから、ヨーロッパにはなくて当たり前だろう、と思う人もいるかもしれない。

日本は地域にほぼ必ず銭湯や温泉があって、夜行バスで旅をしても困ることはほとんどない。

フランスは安い夜行バスがあっても、日本みたいに体を洗う場所はない。だから、嫌だなあ……


……と、思っていた。

たしかに銭湯はない。
でも、公衆浴場はある。無料の。

来た

パリでコンサートを聴いた足で夜行バスに飛び乗り、朝焼けとともにリヨンにたどり着く。

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慣れない駅で人込みをかき分けながら、地下鉄を乗り継ぐ。Stade de Gerland駅で下車し、住宅街を黙々と歩くこと約10分。

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公衆浴場に到着。見た目はなんだか全然わからないが、トリコロール色のマークのおかげでこれが公共の施設だということはわかる。

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こうして写真を撮っていると、中からご高齢のムッシューが出てきた。どうやらシャワーを浴びて出てきた様子。わたしも中に入ってみよう。

中に入り、受付のお姉さんに「シャワー浴びたいんですけど」と伝える。お姉さんは「そこにあるタオルと石鹸もってって?」と、こころなしかイライラしながら言う。初めて来たんです、ごめんなさいね。

受付から奥に進むと、トイレのような個室がいくつもある部屋に到着する。
右往左往していると、掃除をしている別のスタッフさんが面倒くさそうにシャワーの使い方を教えてくれた。やさしい。

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これが受け取ったタオルと石鹸。頭を洗う用と体を洗う用でふたつ用意してくれているのだと思う。タオルはペラペラだけど、ちゃんと洗ってあってニオイもしない。

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男湯・女湯のような区別はないが、シャワーの個室は密室になるので何も問題ない。鍵もしっかり掛けられて、まさにトイレの個室のような感じ。

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カラン。最新のものではないが、日本でたまに見る、お湯と水を少しずつひねって温度調節するやつよりは何倍もかんたん。ぽんと押せばシャワーからお湯が出る。

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シャワーのお湯を出した図。ちゃんと荷物を置いているところには水はかからないようになっていて安心。ひとしきり写真を撮って楽しんだので、わたしも体を洗うことにする。


シャワーを浴びて体をふいていると、隣の個室からはちゃぽん、ちゃぽんという音が聞こえてくる。湯船付きの個室があるのかな? などと想像を膨らませる。

個室を出てベンチに荷物を置き、髪の毛をタオルで拭いていると、隣の個室のマダムが沢山の荷物とともに出てくる。荷物の中にはバケツがあり、どうやらバケツで足湯を作っていたようだ。すばらしき発想の勝利。


フランスでは各地にこのような公衆浴場がある。公衆衛生を保つために、誰でも無料でシャワーを浴びることができる。旅人にもありがたい施設だ。車いすマークの付いた個室もあった。常にスタッフさんが見回りをしているおかげか、建物の中はどこも清潔に保たれていた。

こざっぱりした体で、リヨンの街に繰り出す。ありがとう公衆浴場。

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どこにあるの?

リヨン以外の都市にも公衆浴場はある。Bain douche municipauxで検索すると、詳しい情報が見つかるはず。

パリ市内には数か所ある。今は日本に帰国してしまったけど、パリ市内の公衆浴場にも行ってみればよかったと後悔している。行きたいと思いながらも、結局リヨンの公衆浴場しか行けなかった。

リヨンはここ。

13 rue Benjamin Delessert 69007 Lyon
https://www.lyon.fr/lieu/bains-douches/bains-douches-delessert

営業時間は月曜から金曜の7時30分から17時30分。
土日祝日と年末1週間はお休み。


公衆浴場に興味を持たれた方、この記事がおもしろかったのでぜひ。
パリにある銭湯はさまざまな人生が交差する場所だった - エキサイトニュース


リヨンの公衆浴場、現地の人の私生活に入り込めるような気がして、とても面白い体験だった。実はリヨンの観光はほとんどしておらず、スーパーと駅とレストランと公衆浴場しか行っていない。

今度フランスに行くときはリヨンの観光もしたいけど、色々な街の公衆浴場にもまた行ってみたい。おやすみなさい。