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彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.34

著 / 山田徹

第六章 最終章
其の十 捜索


捜索は夜を徹して続けられた。大会本部のゲルでは、集められた情報と各捜索チームとの衛星を通じた電話のやり取りや、無線交信で騒然としていた。広げられた広大な地図には、赤鉛筆で捜索範囲の消し込みがなされ、広大なエリアが少しずつ絞り込まれていった。
アルベイヘールの警察の捜索協力も得た。こうした活動にあたる軍の警備捜索チームの専門官も合流していた。バイクの目撃情報も寄せられ「まだ走っている」という観測がわれわれ捜索チームを支配していたのも事実だ。
「それは楽観すぎる。最悪の事態と最良の事態の、いずれも考えて動こう」
そう指示したものの、どこかわからぬところでマシントラブルを起こしたり、負傷して動けなくなって呻吟している姿が、脳裏をよぎる。夜が明けた。ラリーは一日の臨時休息日を経て最終エタップ、ウランバートルへ凱旋する。


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1,051字
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