TIME TO RIDE 「バイクは道具か否か」大鶴義丹 No.246より
バイクのエンジンや車のエンジンを触ったり改造したりすることの原点は、16歳の時に乗っていたヤマハDT200RのYPVSのメンテだ。言うまでもなくネットや専門書もない時代なので、ショップのオジサンから教わった通りの、見よう見まねの素人作業。しかし顔が写るまで鏡面加工したYPVSで走り出すと、すごく速くなったような気がしたのが不思議だ。もちろんプラシーボ効果なのは言うまでもないが、気分は「よろしくメカドック」である。
そんな昭和昔話から40年近くの時間が過ぎている。内燃機関そのものの行く末自体が不透明となり、当時のバイク仲間の多くは、もうバイクなんてものからは離れてしまっている。だが内燃機関という魅力を知ることができた、幸せな時代だった。SNSなどに無駄に振り回されることもなく「大らかに」バイクを楽しんだ。
結局は昭和話になってしまうが、やはりモーターやハイテクは面白くない。煙を吐き出すローテク機械仕掛けが好きだ。とくにキャブが好きだ。どうやってガソリンが吸い出されて爆発エネルギーに変わるかが「文系」でも理解できる。ポイント点火くらいの電気なら理解できるが、インジェクションの制御プログラムまで言ってしまうと、もう別の世界。
そんな「酔狂」が行き過ぎて、一年近くの時間をかけて、「空冷カタナ」こと、スズキGSX1100Sのエンジンをオーバーホールした。それも走っているバイクのエンジンではなく、中古エンジンを買い足しての贅沢である。
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