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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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#ラリー

エンデューロ日記 No.47 - 速いマシンは美しいのか。

最近はあまり聞かなくなったが、レースに携わる人たちの間でよく使われた言葉である。レースおたくのような若者だったぼくは、RIDING SPORTS等のレース専門誌をよく読み、やはりこのフレーズによく行き当たった。そして当時は、それを額面通りに受け取り、例えばそれは機能美のようなものを指しているのだと思っていた。フォーミューラーワンのレーシングカーや、ホンダやヤマハのGP500マシンなど、いかつくも流麗な形をしていて本当に美しい。空を飛ぶ鳥の美しさも、一種の機能美といっていいかも

砂漠の思い出 - 三上勝久

text Katsuhisa Mikami 今から17 年前のこと。僕はエジプトで開催されていたファラオラリーにカメラマン兼レポーターとして訪れていた。移動は、雇い主が手配してくれたレンタカーだ。そこそこポンコツな、パジェロだったと思う。 毎日のルーティンは決まっていた。朝、スタートシーンを撮影して、すぐにコースをショートカットしてスペシャルステージの中間地点に向かい、そこで撮影する。その撮影が終わったら、再びコースをショートカットしてゴール地点に向かい、ゴールインしてくる

Interview ジェーン・ダニエルス 「女子チャンピオン ダカールへ」 No.248より

2023年、8戦全勝で4度目の女子エンデューロ世界タイトルを獲得したジェーン・ダニエルズはダカール2024に挑戦する。 ゴットランド島へ 4度のエンデューロ世界選手権ウイメンズクラスチャンピオン。ISDEでも英国女子チームのエースとして活躍し、2022年にウイメンズワールドトロフィを獲得。エルズベルグロデオ、SSDT(スコティッシュ6日間トライアル)にも挑戦してきた彼女が次の目標とするのは、他でもなく、ダカールラリーのフィニッシュラインだ。  ダカールに出場するためには、A

工具の世界 「第8回 整備を頼る」 No.248より

Text : 山田卓弥 プロの存在理由 工具の業界に身を置き長年にわたり工具の販売を行ってきまして「工具を販売する工具のプロ」だという自負はありますが──それでは実際に工具を使う作業、つまり整備の腕前もプロ並みなのかと言われれば全く違いまして。工具販売の仕事をしてますのでプロメカニックとも必然的に付き合いが多くなりますからプロの作業現場もたくさん見てきました。そのおかげもあって普通の人よりは少しだけ詳しいとはおもいますけど、ではプロ並みの作業が可能かと言われれば否なわけです

Roadbook 三橋淳 「デジタルか、紙か?」 No.248より

 2023年のダカールラリーの写真、だそうだ。私がダカールラリーを最後に走ったのは2016年。すでに8年も前の事だから、今のダカールラリーの写真を見せられても、コメントしようがない。ので、単純に解説するということになる。  本来なら2023年には紙のロードブックを廃止して、デジタル化されるはずだった。けれども、ライダーからの反対で延期になったという経緯がる。なんで反対したんだろ? みんなはどう思う? 紙の方が便利? 馴染みがあるから? 見やすい? 壊れたら困る? 日本では競技

TIME TO RIDE 大鶴義丹 「Door Of Adventure 秋の陣」 No.248より

 毎年楽しませて頂いている、人気コマ図ラリーイベント「DOOR OF ADVENTURE」の2023年秋の陣が行われた。  場所は福島県鮫川村で、ここでの開催はコロナ前から5年ぶり。当時私はアフリカツインで参加したのだが、福島の林道の奥深さに大感動した記憶が残っていた。この林道のボリュームと適度な難易度といい、福島と言うフィールドは東京からの距離を考えても、林道遊戯派には特筆すべきエリアだと思う。  昨今、本イベントの人気は凄まじく、参加チケットが初日ソールドアウトするほどに

雪国で体験するフリーライディング

今年もそろそろこの時期が近づいてきた。 スノーバイクによるフリーライディングの季節である。 誰にでもはオススメしないが、ダートバイクに乗れる人には、ぜひ、とお誘いしている。

古巣に戻ったジョアン・バレダ - Dakar2024

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連載 ROADBOOK 「黄金の都 トンブクトゥ」 三橋淳

 第9回ダカール・ラリーのマップ。マップなのか、これ? ルートイメージの概要じゃないのか? とも思うが、どうやらマップらしい。当時走ってないからわからないので憶測でしかないが、絵じゃなくて文字で書いてある。これを走りながら見るんじゃ、そりゃミスコースもするさ。しかも手書きだし。そう考えるとルートマップというのもの進化したんだなと思う。何せ今では電子デバイスで表示されるんだからね。バイク部門はまだ紙を使っているけど、もう時間の問題だろうね。  それでだ、第9回ダカール・ラリーと

エンデューロの原点とスポーツマンシップ

 「スポーツ守んシップとは何か」そんなことをテーマにし、あるプロスポーツの選手を講師に招いた特別講義を、テレビで見る機会があった。ごく普通の高校生たちに、わかりやすく語りかけ、問いかける。  いわく、スポーツマンシップとは「ルールを尊重し、審判を尊重し、相手を尊重することである」と。それを逆説的に証明してみせるロジックが鮮やかだった。  ルールを守らない。ジャッジを認めない。相手を尊重しない。それはスポーツではない。  ISDEも世界選手権も、今のJEC、日高の2日間競技も

HOW TO RIDE THE DOMESTIC RALLY 「第4回 使い終わったロードブック」

ロードブッグ自体は、ただの記号だが、ライダーが実際に走ることで空間的・時間的な立体性を帯びて再生される。 ラリーとは何か、ロードブックとは何か? コマ図こそがラリーというわけではないが、コマ図というものがあるからこそ、モーターサイクルによるラリーは長く愛されてきたのだろう。 Text : Hisashi Haruki  ラリーという単語には「再び集う」という意味がある、ということはみなさんも聞いたことがあるだろう。群雄割拠する中世ヨーロッパの領主たちが、自分の抱える騎士た

Roadbook 「ダブルコーションの罠」三橋淳 No.246より

 このロードブックを見てまず最初に思ったことは「あ、英語だ!」ってこと。普通ヨーロッパのロードブックはフランス語で表記されていることが多いので、そこがちょっと新鮮。もっとも今のダカールラリーは英語表記なので、そういう感覚に陥るのがすでに古い人間だというのを露呈しているとも言える。  で、このページを見て思うのは、ハイスピードな場所なんだろうなあ、と。黒い実線の矢印はグラベルロードを表す。エジプトのラリーのコマ図なので、その風景は何もないところをただぶっ飛ばしていくような、そん

「生きる力・ビバークより」 No.245より 

心のどこかで、会社勤めこそが人間の生きる方法だと思っていたのかもしれない。シングルファーザーとして二人の子供を育てるのに必死だった日々、そこに難病という予期できない現実が重なる。いつしか小さく収縮していた世界にあたたかい光を当ててくれたのは、ラリーに集まる仲間の笑顔だった。 インタビュー 古崎正樹さん Text : Hisashi Haruki 身近なラリーの存在  「もともとひとりで林道や山道を探索しながら走るのが好きなんです。実家は恵庭との境に近い千歳で、すぐ裏が山

2023年3月15日 「夏へ」

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