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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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エンデューロ日記 No.45 - 真のプライズが宿るものとは

毎年12月に東京で開催されているMFJ MOTO AWARD(モトアワード=一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会主催の年間表彰式)では、ロードレース、モトクロス、トライアル、エンデューロ、スーパーモトの全日本選手権シリーズのランキング表彰を始め、世界選手権功労賞など、多くの特別賞も併せて顕彰されるものだが、その中に、エンデューロ特別賞として「ベルナード・ホジキンス記念トロフィー」というものもある。 これは、FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ(ISD

Parc Ferme 「エンデューロのメカニックとは?」 No.248より

Image : ISDE France2022 - Future7Media Text : Hisashi Haruki  エンデューロという競技の起源は、モーターサイクルとそれに関連するイクイップメントの性能向上、そしてモーターサイクル操縦技術の鍛錬に資する「トライアル=試験」にある。その目的を現在まで継承していることから、他のモータースポーツとは違った特徴を持っている。その大きなもののひとつが、モーターサイクル固有の信頼性を問うものであること、同時に、それを操る選手本人

ISDE スペイン2024は10/14-19開催

FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ(ISDE)の2024年大会は、当初、9月の開催と予告されていたが、このほど10月14~19日の6日間になることが発表された。FIMエンデューロ世界選手権の最終戦フランスGPが、9月中旬に設定されていることが大きな理由だ。 開催地はスペイン北西部のガリシア州。スペインでのISDE開催は史上5度目で、2016年にナバラで開催されて以来。

Parc Ferme 「よく齢を重ねること」 No.246より

 FIMエンデューロヴィンテージトロフィというイベントがある。今年は10月18~21日にスペインで開催されることになっている。その名が示す通り旧年式のモーターサイクルによるエンデューロ競技会。2016年に初めて、スペインで開催され、以来年に1回のイベントとして定着しつつある。  2019年までは、FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ、すなわちISDEと同日、同会場で行われていた。が、それ以降は「ISDEとは別に開催されなければならない」ということがルールとして明

2023年2月19日 「史上最強のエンデューロライダー」

TMのメディアセンターで、2023年のENDURO GPを戦うジョセップ・ガルシアのバイクが紹介され、ワールドワイドメディアで一斉に報じられましたね。 異論は承知のうえで言いますが、ジョセップ・ガルシアは、史上最強のエンデューロライダーであり、そして現役トップのライダーです。 そのように断言する理由。 彼は世界最高峰の「エンデューロ」と名がつくイベントのすべてて、誰も真似の出ない活躍を続けているからです。

「四国のラリーで体得したものが活きた6日間」杉村晋吾 No.244より

距離と時間。スピード持久力。エンデューロに取り組んでまだ数年の、決して若手とは言えないライダーが初挑戦でブロンズメダルを掴んだ。そのバックグラウンドには何かあったのか Text Hisashi Haruki 縁遠かった6日間  ISDEのことを知ったのは、モンゴルとか北海道4デイズも走っていた伊藤キヨハルさんを通じてです。伊藤さんのスゴさの根っこにISDEへの参戦経験(11回)があるって。どんなレースかな、って興味は持ってましたけど、ぼくなんかが出るようなレースではない

Parc Ferme 「ファイナルスピードテスト」 No.244より

 正式にはファイナルスピードテストという。ISDEの最終日である6日目に行われる。一斉スタートの形式で行われるので、モトクロスのように着順を競っているように見えるが、実は所要時間を競っている。クロステストやエンデューロテストと同じように、スタートからフィニッシュまでの時間が計測され、他のスペシャルテストの成績と同様に、リザルトに合算される。  2022年のフランス大会のリザルトを見ると、トップクラスのライダーで13分台だった。最近のISDEにおけるエンデューロテストより、少し

工具の世界 「整備力を磨く」 No.244より

Text : 山田卓弥 Image : Future7Media 車載工具とは?  このコラムでは主にラリーやオンタイムでのレースを想定しつつ、それらの情報を基にツーリング等での出先の急な整備でも役立つ工具や整備の話を書いております。しかし「工具」や「整備」といってもみなさんが思っている以上に広範囲な上に、さらには各個人の出来る整備のスキルまで違っていてなかなか万人に届くような話を書くのが難しいのです。そこで今回は超基本に立ち返りまして1でも2でもない0地点での話をしてみ

エンデューロとは自主、自律を楽しむこと - エンデューロ日記 No.44

写真/文 春木久史 エンデューロの朝はパルクフェルメから始まる。Parc Fermeとは、フランス語源のモータースポーツ用語で車両保管所のことだ。 この競技では、各選手ごとに毎日、朝パルクフェルメに入る時刻、モーターサイクルを整備するるワーキングエリアに入る時刻、エンジンをかけてスタートする時刻、各タイムチェックポイントに到着すべき時刻、そしてまたパドックに戻ってきてモーターサイクルを整備する時間、それを終えて再びパルクフェルメにモーターサイクルを収める時刻まで。これらが

女王の在位とワールドトロフィ - エンデューロ日記 No.43

隔月刊で発行しているBIGTANKのフィジカル(印刷)版。2022年の最終号になるNo.244を脱稿した。いくつもの記事の中に、8~9月に開催されたISDE=国際6日間エンデューロのフランス大会も含まれている。今さら感がないでもないが、印刷された本では、もはや速報的な内容はほとんど意味を成さない。まとまった記事にするのならば、いくらか時間を置いて、事実の解釈が熟成するのを待つというのもひとつの方法と考えることができる。今回は、日本人参加者のうち、2名のインタビューもあわせて掲

スタートまでの15分間 - エンデューロ日記 No.42

エンデューロの朝は早い。国代表のワールドトロフィチームと、23歳以下のナショナルチームであるワールドジュニアトロフィチームのライダーたちがスタートするのは、大抵、日の出と同時ぐらいの時間。各自のスタートの15分前にパルクフェルメの入口でその日のタイムカードを受け取り、夜の間車両保管されていた自分のモーターサイクルのそばに行くことが許される。 しかしパルクフェルメの中では、モーターサイクルに対する作業は一切禁止されている。燃料コックを開けたり、サスペンションダンパーのダイヤル

No.242 カバー写真

すみません。No.241に続けて、今回、No.242も約1週間遅れての発送となってしまいました。印刷版のリテイルショップの皆様、読者の皆様にも、ご迷惑をおかけしております。これから、競技会、イベントもシーズンオフになるので、この遅れ体制も是正していきます。m(__)m このライダー、わかりますか?本誌のカバー写真は、その時活躍している、輝いているライダー、って基準で選んでいるのが多いです。バイクそのものの写真も多いですが、それも、ENDURO GPにおける「旬」が選ばれます

シックスデイズとエックスアール - Parc Ferme 0802号

アメリカのオープンエリアやトレイルライディング、またはBAJAのようなデザートレースを楽しむライダーに供されるマシンというイメージが強いホンダのXRシリーズだが、この空冷のSHOC4バルブエンジンを積んだマシンが、シックスデイズやエンデューロ世界選手権の舞台に登場してきた時期がある。世界的な環境保護=エコロジー意識の高まりに呼応し、FIMがエンデューロの4ストローク化を進める一方、欧州のエンデューロマシンブランド各社による新しい4ストロークマシンの開発が途上にあった頃のことだ

「さすがはフランコ!」 ISDE ブラジル2003 

当時、自動車用として販売されるガソリンにサトウキビを原料とするエタノールを25%混合することが義務付けられていたブラジルでは、レース用のガソリンがスムーズに供給されるのかどうかが心配されていた。チーム、ライダーは車検の前に、マシンセッティングのために少しは走っておかなければならないのだが、エンデューロマシンのタンクを満たすべきガソリンが手に入らない。聞けば、遠く数千キロ離れたリオデジャネイロから、大量のハイオクガソリンがタンクローリーで運ばれている途中だという。期間中に合計1