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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2022年11月の記事一覧

その輝き、まさに流星 - Kawasaki KLX250SR

市販トレールバイクとして発売され、現在もその基本設計が受け継がれている「知られざる名車」が、ワールドエンデューロの歴史に刻み付けたものとは何か? 理解不能のポテンシャル  「闘う4スト」というカタログのキャッチコピーが正しく理解されるようになるのは、1993年のデビューから少なくとも数年は要したのではないだろうか。低回転でのパワーが貧弱で、エンジンは始動性が悪いとも評価された。高性能の2ストロークエンデューロモデルのKDXシリーズから譲り受けた高剛性のペリメターフレーム、

TIMER TO RIDE 「890アドベンチャーRという難問」 大鶴義丹 No.243より

 某ウェブマガジンの記事経由で、KTMジャパンさんから、最新の890 ADVENTURE Rを10日間ほどお借りした。まだ400キロくらいしか走っていない新車同然の車体であった。  大型アドベンチャーバイクに関しては、アフリカツインからGS、トライアンフまで、大半の車種をダートで激しく乗った経験がある。獣道で苦しみ、転倒もしている。GSだけは独自の哲学があるが、あの大きさをダートや獣道などで扱うと言う点においては、基本的にどの車種も同じだ。借り物CRF250RALLYを、自分

工具の世界 「ネジの起源を紐解こう」 No.243より

山田卓弥 ボルトとナットの黎明期  今ではみなさんが当たり前のように見ている螺旋状のネジ。私たちが好きなバイクにも大小様々なネジが多く使われております。  整備とは──と問われれば、ひとつの回答として「ネジを緩めて、そして締める事」と言えるくらいに密接な関係性があるわけです。 今回はそんな整備や工具とは切ってもきれない関係にあるネジの話を少しだけ掘り下げてみたいと思います。  ネジの登場はいわゆるボルトナットから始まったと言われております。黎明期のボルトナットは金属加工の

地獄門の思い出 - Hell's Gate 2010

イタリアのエンデューロレジェンドであるファビオ・ファゾーラが主催するハードエンデューロイベントの雄である。風光明媚なトスカーナ地方のアグリツーリズモ「イル・チョッコ」が舞台。イル・チョッコは、古くからエンデューロ、また、4輪のラリーなどの舞台になってきた。

モーターサイクルとともに生きること - Parc Ferme No.243より

Josep Garcia ISDE France 2022 - Future7Media  ルートをタイムチェックで仕切り、その区間の所要時間を指定する。ある区間を「スペシャルテスト」として設定し、そこでスピード(タイム)を競う。こうしたエンデューロの基本的なフォーマットは、一般の交通がある道路を含んだコースで競技を開催していく中で、自然に形成されていったものだ。街の中の車両保管場所を出発し、郊外に出て山野を駆け巡り、そして夕方には街に戻って来る。そうしたアウトラインを成立

スタートまでの15分間 - エンデューロ日記 No.42

エンデューロの朝は早い。国代表のワールドトロフィチームと、23歳以下のナショナルチームであるワールドジュニアトロフィチームのライダーたちがスタートするのは、大抵、日の出と同時ぐらいの時間。各自のスタートの15分前にパルクフェルメの入口でその日のタイムカードを受け取り、夜の間車両保管されていた自分のモーターサイクルのそばに行くことが許される。 しかしパルクフェルメの中では、モーターサイクルに対する作業は一切禁止されている。燃料コックを開けたり、サスペンションダンパーのダイヤル