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工具の世界 「ネジの起源を紐解こう」 No.243より

山田卓弥

ボルトとナットの黎明期

 今ではみなさんが当たり前のように見ている螺旋状のネジ。私たちが好きなバイクにも大小様々なネジが多く使われております。
 整備とは──と問われれば、ひとつの回答として「ネジを緩めて、そして締める事」と言えるくらいに密接な関係性があるわけです。
今回はそんな整備や工具とは切ってもきれない関係にあるネジの話を少しだけ掘り下げてみたいと思います。
 ネジの登場はいわゆるボルトナットから始まったと言われております。黎明期のボルトナットは金属加工の職人によってひとつずつ手作りで作成され全てが一品物でした。もちろん職人ごとにはある程度の決め事があったとは思いますが、厳密な角度とか太ささえも1本ずつ違っていたのです。そのためボルトかナットのどちらかを破損や紛失した場合には、ボルトナットをセットで交換する必要があったわけです。
 その後1800年代にネジを切る「ネジ切り旋盤」が登場。この旋盤によって同じネジの作成は可能になったのだけど、様々な種類のネジが乱立してしまい結果として手作りネジの時代とそれほど変わらない時代が続きました。
 そしてそんな非効率な状況を打開したのがネジ切り旋盤を発明したモーズリーの弟子であるイギリスのジョセフ・ウィットワース氏。もともと工作機械の製造業を行っていた彼は1841年にイギリス国内での鉄道事業におけるネジの統一規格を制定、当時は主産業であった鉄道事業での採用だったため様々な業種に広く普及しました。工業製品の量産化という意味では障壁となっていたネジが、規格化されることによって大きく発展したできごとでした。

ノギスをひとつ持っておこう

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