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僕らが「買う客以外お断り」とした話



私のインスタグラムでやってますBIG LOVE TVは基本日曜日の夜9時からやっておりますが、ここ1ヶ月くらいはリモート・ゲストを迎えてお送りしています。


BIG LOVE TV VOL.18

まずは幡ヶ谷と代々木上原の間にある西原商店街にある超人気古着屋PALETOWNの店主・谷川浩志さん。緊急事態宣言が出たあとはこれまで行っていなかったネット販売も。ただし営業が再開したあとは売り上げも戻り現在通販は行っていない。しかし海外に買い付けに行かなければ古着屋としての個性は出せない。新しいオリジナル商品なども制作している。


BIG LOVE TV VOL.19

続いて8月16日のリモート・ゲストは、渋谷Bistro Rojiura、昨年白金台にオープンしたLIKE、そしてパティシエの後藤裕一さんと運営する代々木八幡PATHといった東京を代表するカフェ・レストラン3店舗のオーナー・シャフ原太一さん。この時はコロナ禍については多く話しませんでしたが、緊急事態宣言のあとPATHさんではテイク・アウトのお弁当などもやられていました(元々超人気店なので逆にコッチとしてはラッキーな気持ちになりました)。また休業要請に従うも東京の人気地域で3店舗といった規模の家賃など諸々規模的には給付金で賄えるものではないためそれらの対策は早めにしっかりと行った、とおっしゃってました。


BIG LOVE TV VOL.20

そして今週の日曜日に登場してもらったのはPALETOWNのすぐ近く西原商店街の横を入ったこちらも東京のコーヒー・ショップを代表するこちらも超人気店Paddlers Coffee松島大介さん。コロナ禍により諸々制限をしなければならず、それにより諦めなければいけないことが生まれたが、その結果、多くのことが逆に楽になった。現在も店外での先会計、営業時間短縮、また席を半減させるなど緊急事態宣言以降もコロナ対策は緩めず営業している。


といった感じでこちらの3店舗はコロナ前からの人気店ではありますが、緊急事態宣言解除後早々人気店として変わらず維持できているのは、なにより彼らには正しいファンの方々がついていた、からに違いありません。実際今回は全てにおいてこれに尽きると思います。コロナがなくともいずれは同じ結果は出るけど、しかしコロナは「はい、テストの時間ここまで!」と突然コロナ以前の結果発表してきた感じです。



松島さんとの話の中でも出てきましたが、コロナで気づいたことのひとつは僕らは余分なことを大事なものとしていたのかも、です。BIG LOVE RECORDSは、今回のコロナ禍でこんな張り紙をしていました。

こちらは都の休業要請を受けての4月頃です。この頃は店頭の売り上げがガクっと落ちてきたところで、常連様でさえなかなかご来店いただけない時期でした。ですが新規のお客様が沢山いらっしゃったのです。カップルとか家族とか。なぜだろう。考えたのですが、おそらくその頃の原宿は休業要請に従いデパートから個人店まで多くが閉まっており暇なカップルや家族がここは開いてるぞとやって来てくれたのではないか、としか思えません。だってみんながみんな何も買わずに出て行くのだもの。全然興味なさそうだし。コロナだからなのに困ちゃうなー。


なので次の張り紙はこう書きました。コロナって書いてあるのがなんだか逆に許されるワードに入ってる気がしたので今回はなし。なのに状況は全く変わりません。全然買わない人がやってくるぅ〜!店としては色々なたくさんのお客さまにご来店いただけるのはありがたいと思うべきですが、全然買う気なさそうな人がまたそういう人たちに限って4人組とか(2名様までと書いてあるのに)やってきます。コロナだから制限してるのにー。まだまだ困ります。

確かにデパートや路面店は「見て行くだけでも良いので、ハハーお客様」といったビジネス・スタイルだと思うのですが、ウチはなんだか超怖いマンションの3階の奥にある本当に来たいと思ってた人も階段の下まで来たのに2回諦めて3回目で勇気を振り絞ってドアを開ける...みたいなハードルを下げたくても下げれない最低な店です。でも張り紙見た彼らは「いえ大丈夫です。私はただ店がどんな感じか見たいだけなので入っても良いのです」とガンガン入って来ます。実際に「表に書いてあるん奴なんですけど、本当に買わないとダメなんですか?」と聞かれ「えーとまあ大丈夫は大丈夫ですけど」と答えると数分店内を周り「じゃ、どーもー」と帰られた方がいて、買わないとダメですか?じゃなくて買う気がないとダメですか?じゃん!と笑ってしまったのですが、実際いまの世の中こんな感じになってるのかもしれません。


だったらもうこれでどうだ!もうこれでわかる。だってコロナだぞ!でも僕も思いますが「お断り」って言葉はちょっときついです。嫌です、怖いです。その昔、フールズメイトに載ってた明大前にあったレコード店モダーン・ミュージックの小さな広告に「当店はお子様用のインディは一切扱っていません。電話しないでください」と書いてあってココはヘタなもの買ったら怒られるとビビって中々行けませんでした。またあるエロビデオ屋に行くと扉に「ウチはエロはエロでもエロ専門店です。ひやかしはお断りします」と張り紙がしてあって、エロはエロでもエロ専門店というとんでもワードな異次元の世界にさらなる興味は増すばかりでしたが、小心者の僕は結局エロのエロの先のエロの扉を開けずエロの階段は登ることはできない、結果ノーマルな青年となりました。でもまあしょうがないのです、コロナだし。「お断り」も許されると取引先の外人がコロナを理由にどう考えてもサマーホリデーしてるとしか思えない仕事っぷりを真似て、私もコチラでコロナを盾にOKにします。


そして実はこの張り紙の効果もあるのではという結果も出てます。ここからは赤裸々なコロナ禍のビジネスな話ですよ!現在の当店BIG LOVE RECORDSの来店数はコロナ前と比べ1/3ほど。海外からのお客様が40%弱占めていたのでその影響もでかいです。そして7月を調べてみると取引数(実際にお買い上げいただいたお客様数)と店頭売り上げはどちらも前年比66%。商品を購入されるお客様の割合が大きく増えているのがわかります。平均単価はほぼ変わりませんでした。ですがマーチャンダイズを大量購入される海外からのお客様が多くいらっしゃったのを考慮するとかなり上がってるのではないかなと思います。そしてネット通販。コチラおかげさまで前年比366%!ありがとうございます!もちろんこれまでとんでもなくネットはサボっていたというのもありますが、とにかく常連様が店頭の代わりにご利用いただいたのと、さらに多くの新規お客様にご利用いただけるようになった結果だと思います。本当にありがとうございます。ネットやSNSに関して僕らはこれまでとてもサボっていて今でも本当によくわからないままやらせていただいているのですが、その点も踏まえお客様に支えてもらっているのだと思います。感謝いたします。ただ僕らはツイているだけだと思います。これまでサボってたネットやSNSに気づくことが出来たのも大きな反省です。

インターネットやSNS、それらは実体験以上によりリアルが伝わるツールでした。本物か偽物か、アホなこともマジでやらなきゃすぐにバレ逆効果になる。ユーチューバーも大変なんです。と、気づきました。


そして仕事はとても楽になりました。張り紙をしてからは、最初から購入していただけると思い我々も対応でき、みなストレスがなくなったと思います。そして今月になってからですがカフェの売り上げがコロナ以前と同じになりました。でも忙しさは以前の1/3くらい。まぜまら同じ方が2杯、3杯と注文してくれているからです。確かに海外からの4人組のお客様がいらっしゃったら1時間以上はいてくれただろうし、ウチは10人も入れば一杯だし、なんだかずっと一杯で忙し忙しと言っていたのはありがたいことでしたが、回転率は悪かったのだと思います。今はひとりか2人でご利用いただく方だけで、しかもソフトドリンクでさえも少しいると二杯頼んでくれる方ばかり。お客様もなんだか前より居心地よく過ごしてくれている気もして、以前より頻繁に利用してくれる方もいます。もちろんコロナなので大騒ぎなどはなく、というかアホみたいに大騒ぎするお客様はいなくなりました。

コロナは自分たちがダメだったところを沢山というかたんまり教えてくれました。僕はコロナ前に戻りたいと思いません。僕らはマンションの3階にある小さな店でデパートや路面店と同じような営業をしなくても良いはずなのに、いや逆にしない方がいい、むしろしてはいけない!と、本当はそんなこと影では偉そうに言っていたのだけど、でも現実ではなかなかそんな言うようにはできませんでした。でもそれがコロナを言い訳に今ならできました。

でもまあ「買う客以外お断り」とか書いてあってもどうなのかなー?と僕だって思います。結局来ちゃうだろうし、こっちも怒んないし。結局一緒かもしれませんが、でもそんな姿勢を示すのは僕らみたいな業種にとって、だいぶリスク背負っても良いかもなと、やはり思いました。以上です!


サポート!とんでもない人だな!