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Billboard Japanのセールス・チャートの話(note読者様限定公開BIG LOVE NOTE RADIO VOL.8もあり)



未だにCDが売れている稀有な国、日本故に起きたおもしろい話でした。



「Billboard Japanはシングル・セールスとデジタル・セールスのバランスをさらに安定させるためそのままポイント化せず、具体的には30万枚以上の売上に対しポイントを1/10以下にするといった係数処理しており、それが今週になってさらに強化された。」


AKBグループやジャニーズなど一部のCDセールスに偏っているアーティストへの対応らしく、CDの売り上げよりデジタルの係数をさらに大きくしたといった話なのだけど、その中でも「30万枚以上の売上に対しポイントを1/10以下」といった部分が狙い撃ち感があり、それは「このご時世、30万枚以上CDが純粋に売れることはもはやない」と言っているようなもので凄い。「30万枚以上は同じ人間が2枚以上買っているのである。それは正しいチャートにとって不平等な行為。よって30万枚以上からは1/10以下としてカウントするものとする!」みたいな感じ。なんかこれは凄いよ。


確かにもはやヒット・チャートはあってないようなもので、そして世間に人気といった指数としてはもはやデジタル・メインでいいんだろうけど、すると欧米のようにいきなり Tiktokでバズってフリートウッド・マックの「ドリームス/Dreams」がヒット・チャートに入ってくるような古い楽曲が入り乱れるといったヒット・チャート全盛期ではなかった構図になるだろうし、それはそれで果たして正しいものなのか、少なくとも過去にあったヒット・チャートの面白みはない感じないかもしれません。


そして今回のBillboard Japanの対応は欧米のそれと全く逆となっているのも面白い点です。欧米、少なくとイギリスにおいてはフィジカルの売り上げに対しポイントを上げているに違いありません。例えば昨年同じ週に発売されたテイラー・スウィフトとフォンテインズD.C.のアルバム場合、ジャニーズやAKBグループが何種類ものCDを発売するのとは逆で、フォンテインズD.C.の方がレコードの通常黒盤、レコードのカラー盤、レコードのデラックス盤、そしてCDとカセット、さらに通販専用VinylMeで限定500枚の特別カラー盤とamazon限定でCDのSlipcaseヴァージョンの計7種類をリリースに対して、テイラーはCDのみリリース(当初)でした。よって、人気の差が10倍どころか100倍もありそうなフォンテインズD.C.がテイラーに続いて僅差の2位となったのは、ある英国音楽チャートにおいてはフィジカルの売上ポイントがデジタルよりも特別に高いからであろう、といった話は以前の記事「UKチャート1位のテイラー・スウィフトと2位のフォンテインズD.C.。気になったのでその差を調べてみた。」で書きましたので気になる方はどうぞ。


つまりBillboard Japanは一部のアーティストが持つ熱狂的なファンが何枚ものCDを買う行為は正しいチャートに反映されるべきものではない。それよりもデジタルで聴く行為の方が純粋で正しい楽曲及び作品の人気を反映している。と言いたいのかな?そうとも言えない部分もある、から30万枚以上に対してとしているのだろうけど、でもフォンテインズD.C.だって7種も出していて、あなたも私もデラックス盤もカラー盤もカセットも欲しかったりする、しかも我々はそれらのシールドを開けたくないために聴かなかったりするのだぞ。と威張る私たちは偽物のリスナーなのだろうか?それは絶対に違うと断言できます。逆とさえ主張したいほどです。というわけで気になるので、Billboard Japanのチャートを見てみます。



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https://www.billboard-japan.com/charts/


こちらの一番下にフィジカル・チャートと思われるTop Singles SalesとTop Albums Salesがあって、たしかに日向坂46の「君しか勝たん」は50万枚以上売り上げており、続く2位のSwitchの「あんさんぶるスターズ!! ESアイドルソング season1」は4,3047枚、ひとつ飛んで4位のKing & Princeの「Magic Touch/Beating Hearts」は21,060枚といっきに落ちています。しかもBillboard Japanが対象としたと思われるそのジャニーズのKing & Princeにこの曲は2週目で前週は記事に書いてあるように1位で470,605枚を売り上げていて、ファンが第1週目に圧倒的な力を入れているのが確かにわかります。


そうみるとBillboard Japanによる「30万枚以上の売上に対しポイントを1/10以下にする」といった係数処理は見事な狙い撃ちを決めることが出来ています。いや君たち正しいかもしんない。しかしちょっと待てよ。これ実はBillboard Japanはデジタル・セールスを優先しその覇者であるBTSなどを正しい、と見なしているわけではなく、ジャニーズやAKBグループに対して、デジタル・セールスやストリーミング・サービスの方にも力を入れてみては?と促しているのかもしんない、と捉えることもできるかも。だって彼らのファンは、訴えかけられさえすればそれに答える可能性は高く、今後はCDも買ってダウンロードも買ってストリーミングは永遠ループ、みたいな状況はマジありえます。よってジャニーズのデジタル解禁も促しているのかも。


えーと、ここまで書いておいてなんですが、いつものように皆様にとっても僕にとってもどうでもいい話ですみません。でもあと少し気になったのが残っています。フィジカルのアルバム・セールス・チャートであるTop Albums Salesの枚数。知ってはいたけど、見てみると1位の鬼滅でさえ22,585枚です。まあずっとチャートインしてるのでしょう。しかし今や2万人以上の大会社の社員が社歌のCD買ったら1位取れる可能性があるんだな。でも1位は無理だからと下を見てみると、すとぷりという方の「Strawberry Prince」が680枚で50位。残念ながら51位からは枚数が書いてありません。オイ、サボるんじゃないよ、Billboard Japan!こういうのは数字が大事だぞ。ダウンロードの回数なども全部しっかり出さないと、数字で表さないのは仕事してないに等しいのです。反省し即修正しなさい。といったわけでしかし100位までチャートはあるので、うん、待てよ?これ、大和那南のレコード盤、この前も200枚1日で完売しているのだから、ちゃんと手続きとればチャート100には入れるんじゃないか?よし、やってみよう。



といったわけで土曜日ですので仲真史の雑談ラジオ番組、BIG LOVE NOTE RADIOの8回目、note読者様限定公開です。

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