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日本語教師日記159.初めてオンライン生徒に会う(2)

割と若くして日本語教師になった私は、最初のころの生徒たちは少し年下・同じぐらい・少し年上・ずっと年上と、幅広い年齢層でした。
中にはその会社の日本支社の社長とか支配人とか頭取とか、そういう人たちもいて、帰国時の送別会以外にも、自分では行けないようなところでご馳走になることがありました。その頃から考えると、みなさん非常に高齢になっているはずですし、訃報を聞くこともあります。
そしてあっという間に自分は生徒の親御さんの年となっています。

若い頃食事のあと、先輩や上司、生徒の前であたふたとお財布を開けていて、まぁまぁまぁまぁ、と止められていた私が、今度はまぁまぁまぁまぁ・・と言って手で制することに。(遠い目)

ところが、このところ立て続けに奢ってもらってしまいました。
それもずっと年下の生徒に。

「先生、お世話になったので、ご馳走させてください」
とのメッセージはいただいたものの、すごい素早いアクションで伝票をさっと取ろうと決めていたのですが。


一組目は、ご夫婦で東京で起業されて、日本に落ち着き、
「ご馳走したいです。ご主人も来てください」と連絡をくれました。
コロナ禍の飲食も本当に緩くなり、予約がないと入れないことはざらになりましたね。
ご夫婦のお住まいの近くの駅で、これは良さそうと思った居酒屋を予約しました。

「初めまして、3Dバージョンでは!」
「先生、お目にかかれて嬉しいです、in person では!」
こちらは主人です」
「うちのはもうすぐ来ます。ご主人も初めまして」

彼女が私と同じぐらいの身長で嬉しかったです。
普通はたいてい、生徒を見上げるようになり、たいてい、
「先生はもっともっと背が高いと思っていました」
と驚かれるからです。
画面越しだとわかりませんからね。

宴は賑やかに始まりました。
お二人は昔日本に長く住んでいたので、突き出しのもずくもきんぴらも美味しいおいしいと。宴会メニューには、白モツのさっと焼きなどもあり、「これは・・」と思うものは、お店の方が「もし苦手なようでしたら、他のものに変えられますが」と言いにきてくださいました。でも、食べられないものはなかったです。ご主人の方だけ、「らっきょうが苦手だけど、出て来れば食べます」と言っていました。
この人とは、画面越しに数年、シドニーと名古屋間でのオンラインレッスンでした。会った時にはすでにJLPTのN1目指しだったので、会話は全て日本語ですが、ご主人がいらしたので、この日は英語となりました。
思えば、芋焼酎が好きなこの生徒さんと、
「もうすぐお互い、東京ですね、楽しみね」
「そうですね、黒霧島のあるお店に行きたいです」
と話していたのは去年の秋頃。
今回は長く住む予定なので、またレッスンを始めてくれるそうです。
ご馳走様でした。

二人目もまたシドニーから。
ワーホリやJETプログラムの先生ではなく、自分の教科を英語で教える先生として赴任したのでした。
彼女は偶然、私と同じ沿線の数駅先に住むことになり、私の最寄り駅まで会いに来てくれました。
平日の早い時間で、空いたお店でゆっくり会うことができました。
この彼女ともレッスンは全て日本語でできていましたが、話が佳境に入ると英語にスイッチ。時間に限りのあるオンラインレッスンではあまり脱線できませんでしたが、いろいろな話ができて嬉しかったです。
「飲まずに朝までカラオケ、いけます。大好き」と言うので、次回は彼女の最寄駅で、オールは流石に無理目なので、フリータイムで歌うことになりました。
伝票の奪い合いになりましたが、「本当にそのつもりでいたので!」と言うので、これまたありがたくご馳走になりました。

飲んだのはウルトラマン商店街の居酒屋です。

「今年は日本に来る生徒さんが多くて、このあと今週中にあと二人会うんです」
と言ったら、
「じゃあ、先生の生徒たちを集めて会ったら面白いかも」
と言われました。
そんなのも楽しそうです。

ちょっと続きます。


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