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日本語教師だよりその24. 基礎のできている子ども生徒には(2)あの手この手


今はもう大きくなってヤングアダルトと呼びたい子供生徒たちですが、レッスンを始めてくれた時は、本当に小さかった。あどけないと言っていいくらいです。孫です孫。

セミリンガルの人には自然のことですが、話すことのほうが読み書きより進んでいました。
現代は書くことが少なくなったとはいえ、もし将来、日本語を使って何かしたいとか、日本に住みたいとなったとき、読めるに越したことはありません。



けれど、日本の教科書を使って、例えば、小学校1年国語、「くじらぐも」を一緒に読みましょう、ではちょっとどうかなと思いました。
そればかりではもたないのではないか。
(「くじらぐも」とか、「100万回生きた猫」とか、私はとても好きですが)

それに、音読してもらうだけでは煮詰まる気がしまして、
そこで暫くやってみたのが、「セレブ・インタビュー」です。

質問だけ書いてあるシートを渡します。
・生徒はアナウンサーになり、質問を読んでいきます(読みの練習)
・答えるのは私です。(聞いて理解する練習)
・わからないときは、わからないと言います。(新出語を入れていく)


こんな感じです。


アナウンサー:おはようございます。5月15日 げつよう日、
「セレブにきけ」の お時間です。

今日のミステリアス・ゲストは こちらです。
どうぞ、おすわりください。

セレブ:はい。

ア:今日は どうもありがとうございました。

セ:いいえ。

ア:ではさっそく、いろいろ しつもんさせていただきます。

え〜、あなたの おしごとはなんですか?

セ:パートタイムのヒーローです。

ア:そうですか。すごいですね。
おしごとを していないときは、何をしていますか?

セ:だいたい、こうこうにいっています。

ア:こうこうって何ですか?

セレブ:ハイスクールのことです。

ア:そうですか、わかりました。ありがとうございます。
あなたは そらをとべますか?

セレブ:いいえ、とべません。ジャンプはできます。

ア:しゅみは なんですか?

セ:たかいビルとビルのあいだをジャンプすることです。

しかい:ぶき はなんですか?

セレブ:手から、いと を だしますね。

・・・・・・・・・・

ここで、生徒に、「このヒーローはだれ?」と聞きますと、
スパイダーマン!
と答えてくれます。

当時、まだ漢字は日本の小一の1学期レベルでした。
習ったものをテキストに少し入れました。
カタカナをできるだけたくさん使いました。


次。

アナウンサー:今日のセレブのおきゃくさまは、このかたです。
どうぞお入りください。

セレブ:ありがとう。

ア:あなたは、くらいへやが すきですね?
スタジオをくらくしました。

セ:ありがとうございます。

ア:あなたはまいあさ、何時におきますか?

セ:私は あさは おきません。よる おきます。

ア:ああ、そうですか。なるほど。
きらいな食べ物はありますか?

セ:にんにくですね。

ア:にんにくって何ですか?

セ:ガーリックです。

ア:そうですか。
じゃ、イタリアンは たべられませんね?

セ:たべられません。
ガーリックにさわると しにそうになります。

ア:そうですか。たいへんですね。
ほかに きらいなものはありますか?

セそうですね、ぎんのだんがん、シルバーブレットとか、だめですね。
すぐ しにますね。

ア:なるほど。ねるときは、ふとんですか、ベッドですか?

セ:ひつぎです。

ア:ひつぎってなんですか?

セ:大きいながいはこです。
しんだら、ひつぎにはいります。

ア:なるほど、わかりました。

・・・・

私:この人は。

生徒:ドラキュラ!

私:ビンゴです。

これは主に、ヒーローものの映画をたくさん見ている男の子に使った教材でした。


その頃は教材をプリントしてファイルしてありました。

今出てきて見返したら、いろいろまずかったところが見つかるでしょうし、
今も使いまわせることあるかもしれません。

思い出しても楽しいことがいろいろあります。

アメリカに住んでいても日本語を忘れず、チャンスがあったらどんどん使ってもらいたいなぁと思っています。


サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。