日本語教師日記 94. 時効かな?(5)板挟みで冷や汗
プライベートで教えていますと、
悩み事の相談を受けるのはよくあることです。
そういうときは、聴くことに徹するようにしています。
日本語教師は生徒にとって、会社や家族の外の人間であり、
外に漏れる心配なく、話すことができる相手だろうと思うのです。
少しでも慰めになればと思うときは、私の短期間の会社員時代や、
夫の30年にわたる日本でのリーマン生活についてもお話しています。
そして、
「会社勤めって、辛いよね!」
と励ましています
「ママ友づきあいは大変よね!」とか、
「お姑さんて難しいですよね」
ということもあります。
外国人であって、日本で働いている人特有の辛さもあり、よくわかります。
「目からの情報は意外と気持ちを左右するそうです。
苦手な人がいるときは、その相手が見えないように、
不自然でない程度に、ファイルなどを置くといいそうですよ」
(これは効果があるそうです。
苦手な方が職場などにいらしたら、こっそりお試しください)
「外耳から入ってくる音は、自分の声でも暗示となるそうです。
だから、『私はだめだ』という代わりに、『今私は頑張っている』、
というふうに言うといいそうです」
など、少しでもお力になれればと思い、お話ししています。
以下は、10年ぐらい前に短期間だけあったことです。
オンラインの授業が一件成立し、同じ週ぐらいだったでしょうか、
もう一件始まりました。
その2レッスンが、5分の休憩を挟んで、連続的に行われることになりました。
日本語教師の方は皆そうだと思いますが、
根掘り葉掘りにはならないように気をつけていても、
お互いのプライベートなことは少しずつ、わかってきます。
「あれ、結局買ったんですか?」
「先生、ひびの入った足の指はどうですか?」
「先生、また調理器具買っちゃったの?」
とか、そんなおしゃべりがレッスンにまざってきます。
(1ヶ月ぐらい前に上がり框に強打して、
足の人差し指にひび入ってます)
さて、新しく始まった授業の、
時間が前後にくっついているその生徒二人。
生徒Aさんは、新しく日本にやってきた会社のために、赴任してきた人です。
生徒Bさんは、新しく日本にやってきた会社に就職した人です。
なんか嫌な予感がしたので、お仕事については、極力話すのを避けました。
でも、生徒さんたちの方から話してくるのを止めることはできません。
このお二人が、同時進行的に、どんどんどんどんブルーな感じになっていき、
「すみません、日本の雇用事情についてお聞きしたいのですが」
と、言い始めました。
そのときにはすでにお二人の会社名をおしえてもらっています。
はい。
同じ会社に働くお二人なのでした。
10年経ったとは言え、差し障りがありそうですから、
詳しいことは書けませんが、困りました。
何が起きているか、つぶさにわかります。
両方から聞きますから、両方の気持ちも理解できます。
例えば片方に、「それははっきり抗議したらどうですか」
と言っておきながら、もう片方に、
「抗議を受けようとも、言うべきことは言うものではないでしょうか」
とは・・さすがに言えません。
何を聞いても、歯切れの悪いことしか言えなくなっていきました。
ちゃんと考えて答えてはくれない人だなぁ、
と思われても仕方がありません。
片方の利益は、片方の不利益。
会社用語で、そういうことを表現する言葉がありませんでしたっけ。
この人について、どう思われますか?
なぜそういうことをするのかわかりますか?
と尋ねられても、そう言っている人のサイドに立てません。
5分の休憩時間を挟み、「この人」が目の前の画面に現れて、逆に、
この人はなぜそう言うことをするのだと思いますか?
と訊かれてしまったりするからです。
一つの件でも、立場が違えばこんなに白が黒、黒が白になってしまうのか、
と、驚きの連続でした。
板挟みに苦んだ数ヶ月😭
あのような偶然は最初で最後でしたが、二度とは嫌だなぁと思います。
お二人は、会社が提供した回数のレッスンを終え、
そこそこ話せるようになってからレッスンをやめられました。
王様の耳はロバの耳状態だったあの頃。
今でもときどき思い出したりしています。
写真は小松菜の根っこを植物活性剤「メネデール」とともに水耕栽培したら、すごく元気になったものです。
せっかく大きくなっても、すぐ私に食べられてしまう運命です。
リボベジも、葉物は食べられるまでになるので楽しいです。
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。