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日本語教師日記その10. ガラパゴスへの道④ー日本語教育能力検定試験(中)

私が重い腰を上げて、日本語教育能力試験を初めて受けたのは、
娘二人がもう大きくなっていたころです。

出産以後、日本語学校に属することをせず、
出産前から続いていた、個人で獲得した生徒たちに、
細々と週何回か、カフェで教えることを続けていました。
そのころは、オンラインレッスンはまだ一般的ではありません。

しかし、同僚というものがなくなってみますと、
必要な情報が入ってこないような気がしてきます。
足元や口元が、さわさわして、落ち着かなくなるのです。

また、日本語教師募集の記事を見れば、
このようなものが目につくようになっていました。

1.大学で日本語教育専攻・副専攻を修了された方
2.大卒で420時間の日本語養成講座を修了もしくは修了見込みの方
3.日本語教育能力試験に合格された方

一番はもう、とっくに過ぎてしまったので無理として、
言い訳がましく聞こえると思いますが、
私が日本語教師になったときは、420時間の・・というものはなかったです。

調べてみますと、当時でも50〜60万円の講座が主であり、
それは今でも同じだと思います。
しかし、さすがにもう、何年も教えていますので、
それだけのお金を払って最初からやり直す気にはなりません。

「一人でできるも〜ん♬」

と、やっぱりつい、思ってしまうわけです。


そうすると、子育て時代が終わっていこうとするときに、
縁故採用ではなく、個人営業でもなく、
コンスタントに教えていこうと思うのなら、
やはり日本語学校に採用されることが肝要でしょう。

そこで、思い立ったが吉日と、全く準備をしないで初回に臨みました。
そこが私独特の、考えの足らないところです。
なにか、受かるような気がしていたのでした。(笑ってもいいですよ)



・・・・・・・すみません、日教なめてました。

・・・・・・・・・・・・・・・落ちました。

しかし、今でもそうかどうかはわからないのですが、
最初の不合格ハガキの上の方に、あなたは落ちた人の中でも、
A判定(だったかな? すみません、昔すぎて忘れました)
であり、あとこのぐらいで受かっていたかもね?
というようなことを言っている欄がありました。

家に帰ってまあ、夫にいばるいばる。

夫おっと、ちょっとこっちへおいでなさい。
私はね、すごく難しいと評判のこの試験に、
無準備で、ぎりぎり惜しい感じで落ちましたぞ!

と。


しかし、この検定試験に受かっていないため、
無免許でずっと畦道を乱暴運転しているような気がするのは、
残念ながら否めませんでした。
生徒をだましているようなね?
本当はそこまで騙してはいなかったと思うのですが。

とはいえこの日教、一度受けてみた印象を言わせていただくと、

おふざけではないわよ?!

でした。

これに合格するほどまでに正解できたとして、
みなさんは、明日からクラスで教えられるんですか?
これを作成した人は、こういう問題に答えられると、
もう日本語教師ができるようになった、と言えると、
正気で思っていらっしゃるのでしょうか.

それは、最後の方には、

こんな状況になりました、あなたはどうしますか。
1から4のうちで一番いいものを選べ。

1)生徒に それは関係ないからあとでと言う。
2)その授業の予定を変更して、わかるまで教える。
3)答えられないので次回に教えると伝える。
4)(あとなんだっけ?忘れました)

と、いうような、少しは現実に即した説文もありましたが、
重箱の隅をつつくようなその問題の作り。
それを知ってたからどうだっていうのだ、
クイズ王決定戦ではないわいな、
と言いたくなるような珍問奇問。

これでは、検定を受けず、大金を払って420時間を、長い時間かけて修了し、
教え始める皆さんがとても多いのは、自然なことです。

私も実際、じっくり420時間現役日本語教師に習えるのなら、
はっきり言って、(検定に猛勉強で合格し、経験0の方よりも)
生徒のためにはなると、感じてしまいますね。

(両方とも、それを経て教師になった皆さんに、
失礼なことを言いたいわけではないので、ご容赦ください)

その頃どこかで見た、ある日本語教師志望の方の投稿:

しかし、日本語教育業界も儲けるよな。
日本語学校で生徒で儲け、
日本語学校で日本語教師養成講座で儲け、
日本語能力検定試験でも儲け、
日本語教育能力検定試験準備講座で儲け、
その全てにまつわる教科書やドリルで儲け・・・。

なんか、身につまされるような怨嗟の声に、
深く頷きかけましたが、いやいや、いやいやいや!

自分で選んだ業界であり、こんな搾取体質はどこでも同じ。
嫌ならそこまで。
なんなら自分がそこらへんをカイゼンするぐらいでなくちゃね。

まだまだ若かった(美人だった・スリムだった)(嘘)私は、
そのように気持ちを持ち上げ、次の一歩に進もうとしていました。

いやまあ、単に、

悔し〜い!
次は受かってやるわよ!

というモードに入っただけなのですが・・。


もう一回ぐらい、続きますね。



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