日本語教師日記145.戻ってくる生徒
R君から、久しぶりにメッセージをもらいました。
「先生、お元気ですか?
レッスンをするすると言っていたのに、全然連絡をしなくてすみませんでした。
僕は仕事を変え、今は上海に住んでいます。
また先生とレッスンをしたいです。
先生は今、おいくらですか?」
惜しい!
私のレッスンに定価はありますが、私には値段はついていません。
でも、5年も全く日本語を使っていなかったのに、
さすが香港人のR君は漢字に強い。
発音できなくても、なんとなく掴めてしまいます。
彼が日本語授業を受けたいのは、流暢な日本語が錆び付いてきた時に、メンテナンスをしたいからです。ですので、たまに連絡を取ってきて、数回レッスンを受け、
「また来ます」
ということが多いです。
ほかに、
年に一度、日本語でスピーチをしなければいけないので、
3月ごろに連絡してきて、2回レッスンを受ける
という、渡り鳥のような人もいます。
R君を筆頭に、「レッスンするするナントカ」の人は結構います。
定期的に上記のようなメッセージをくれますので、
楕円の軌跡を描いて近づいてくる惑星のようで、可愛いです。
このR君との思い出です。
2016年11月8日の火曜日。ちょうど今から6年前になるのですね。
トランプ氏が米国大統領に当選した日です。
偶然かもしれませんが、私がずっと教えてきている生徒たちは全員、
「青い方の人」で、トランピーはいません。
日本になぜかトランプ支持者や陰謀論者のみなさんがいることを知り、
興味津々で説明を求めてきたりするので、よく冷や汗をかきます。
あのときの米国大統領選挙を通して、それまでよく知らなかったアメリカの選挙制度や、二分化されつつあった社会について、少しずつ知ることができました。面白いと言っては申し訳ありませんが、とても面白かったです。
で、トランプ氏が決めた11月8日火曜日は、時差のために日本では翌日11月9日の水曜日でした。
米国では夜になる開票も、日本時間ではちょうど朝9時ごろから始まり、テレビ桟敷にかじりつくには最高でした。
アメリカ人の生徒からは、その日は全員キャンセルが入りました。
中継を見たいからです。
そのために私は、一つのレッスンを除いては、何も予定がなくなりました。
そのレッスンは午後4時のR君のレッスンでしたので、それまでにはさすがに決着はついているだろうと思って、こちらからのキャンセルはお願いしませんでした。
朝からテレビを見ながらご飯を食べ、おやつを食べ、眠くなっても昼寝はしないで見ていたと思います。
中継では、テレビがいろいろコメントや説明を入れてくれたので、政治音痴でもなかなか面白く見ることができました。
この開票は、いろいろ遅れる要件が重なったということで、普通なら昼過ぎに出る結果がなかなか出ませんでした。
(いや、早く決めてもらわないと、4時になってしまう、困ったな)
と思っていたら、4時直前に、
この州の(オクラホマ州?)開票が終われば本当に、大統領が決定する!
というところまで来ていたのです。
4時になり、後ろ髪を引かれながらR君にスカイプしました。
先生、こんにちは。
Rさん こんにちは、お元気ですか?
今何時ですか?
今ですか? 今3時です。
そうか、時差1時間でしたね。
さてと、何かこの1週間で、ありましたか?
面白かったとか、頭に来たとか、嬉しかったとか・・
いいえ、私のニュースはありませんが、
先生、トランプ勝ちましたね。
えっ?
いつ?
今?
はい。今。
テレビ見てたの?
見てなかったです。
なんで知ってるの?
友達が今教えてくれました。
Rくんはテレビ見てなかったの?
見てなかったです。
なんで?
興味ないですから。
😐😐😐・・・・
そうか〜。
興味なかったか。
ああ残念。
どんな結果になろうとも、これから始まる4年間の舵取りを誰がやるか、決まった瞬間に居合わせたかった!
(テレビを見ているだけですけど)
残念だったので、よく覚えています。
トランプ氏当選の瞬間、あなたはどこで何をしていましたか?
どう思いましたか?
というのは、結構今でも私が生徒にする質問です。
「その瞬間、泣きました」
という人が今でも多いです。
これから始まる大レース。
どうなるのでしょうか。
あ、R君は来週の金曜日から、本当にレッスンを受けてくれるそうです。
何回続くのかな?
頑張ってさらに上を目指してほしいです。
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。