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”週4日通学”と”1日3時間労働”、そして野球少年

コロナ渦後「“週休2日制”という常識を疑おう」という言葉をよく目にするようになりましたが、まさか「”週5日制の通学”という常識を疑おう」という時代が訪れるかもしれない?そんな国際ニュースをみてのボソッとをしたいと思います。

一般的な公立学校は月曜日から金曜日まで学校に通いますよね、月に数回土曜日も通う学校もありますが、”週5日制の通学”が基本だと思います。

しかし、アメリカでは”週4日制”にならざるを得ない状況になっているというニュースを観ました。

学校が”週4日制”になると、デメリットしかないのでは?と思っていたのですが、このニュースではメリット面についても取材してくれたという、とっても勉強になる内容でした。


もちろん、デメリット面のほうが深刻な問題だと思いますが、メリット面のことだけを考えたら・・・うむうむ、”週4日制”もアリなのかもしれないな~。

しかも、もし学校が”週4日制”となれば、野球少年には「うらやましい~」と言う子は決して少なくはないのではないでしょうか。

それでは、まずは”週4日制”に検討している学校についてのニュースからご紹介します。


教員不足で”週4日制”に


アメリカの公立学校の全体で45%が教員不足の問題を抱えているようです。

教員不足の主な原因は「教職員から求められている処遇の改善ができていない」から。

しかし、財政難の自治体では教員の処遇改善できないため苦肉の策として”週4日制”を採用する学校が確実に増えているそうです。


週4日制を導入する学校


州によっては異なりますが、州が年間の授業時間数を定めている学校では授業時間数確保のため授業時間を増やしながら”週4日制”を導入しています。

学校が休みとなるのは、基本的には土曜・日曜のほかに金曜日が休みとなります。

学区によっては金曜日の半日は別の活動を行う”4.5日制度”を導入しながら、金曜日は地域の大学やNPOの力を借りながら、学習クラブやスポーツ教育など行う場を無料で提供しているところもあります。


週4日制を導入する学区の教育委員長
「登校日が少なくなっても必要な授業時間は減らしません。」
「変化を恐れる人が多いですが地域社会の協力を得て無料で様々なプログラムを提供できるようにしました。」

週4日制を導入する学区の保護者
「共働きの家は大変なのでは?」
「やってみてダメなら5日に戻せばよいと思います。」
「うちの子供は8歳と10歳ですが長い時間、机に向かってじっとしていられないんです」

NHK番組『国際報道2023』「教員不足で”週4日制”に アメリカ 公立学校の模索」(2023/6/6放送分より)


そうですよね、1日の授業時間を増やすということは、子供たちの集中力が続くのか?しかも、給食がなくなることを考えると家庭の負担も増えますよね。

しかも、週4日制を導入する学区は財政難のところが多いわけですから、教職員の給与面の改善が難しいこともあって、週4日制が必ずしも教員確保につながっていない現状もあるようです。


”週4日制”をメリットにした学校


しかし、中には”週4日制”によって教員不足問題を解消させる効果をだしただけでなく、子供たちにもメリットがある”週4日制”を導入した学校もあります、その工夫内容をご紹介しましょう。


5年前から週4日制に移行した高校のお話ですが、登校日を減らしても授業時間は減らさないようにしている中で、金曜日ではなく月曜日を休みにしたことで、高校の卒業率も向上させたようです

月曜日を休みにした理由として、土日はスポーツに励んでもらい、休みの月曜日に疲れをとってもらい、火曜日から4日間、学校活動を意欲的に行ってもらうということです。

教職員も生徒も、まさに”ワークライフバランス”を実現させたことで、メリットを生じさせたのでしょう。


高校の教員
「週末、生徒たちは野球や吹奏楽の大会など大忙しです。」
「週5日制だと金土日と活動して月曜には登校しなけらばなりません」
「週4日制で月曜休みなら生徒はすっきりした状態で火曜日を迎えることができます」

週4日制を採用している高校生
「我が家はスポーツに熱心な家庭なので3日休みがあるのはよいです。」
「月曜日は親が仕事に行って家は静かなので、色々とできます。」
「アートや裁縫、音楽など趣味に集中できる時間が増えました。」
「週4日制のいいところはスポーツの練習や仕事に時間を割けることです。私はITエンジニアとして家で仕事もしているので、それに集中することができます」

NHK番組『国際報道2023』「教員不足で”週4日制”に アメリカ 公立学校の模索」(2023/6/6放送分より)


週4日制での余暇時間の使い方


上記の週4日制を採用している高校生のお話を聞くだけでもわかる通り、休みとなった1日で何をするのか?つまり、余暇時間の過ごし方をどするのか?という課題にも挑戦しないといけない、そういうことを”週4日制学校”のニュースを観て、そう思いました。


その際にふと、ケインズのことを思い出しました。

ケインズは、経済問題が解決されると「1日に3時間働けば十分に生きていける社会がやってくるだろう」ということを予言、このような成熟社会での最大の課題は、非労働時間の過ごし方、つまり余暇をいかに豊かに過ごすことができるかという課題があるとも述べていました。

この余暇の過ごし方、”週4日制”となった子供たちだけでなく、私たち大人にとっても他人事ではないと思います。

前述したとおり、「“週休2日制”という常識を疑おう」という言葉通り、近い将来やってくるかもしれない”大人の週4日制”、AIの進化によって夢物語ではなくなるかもしれない”1日3時間労働”の社会、そのような中で私たちは余暇をどのように過ごしましょうか。


通信制高校を選ぶ生徒たち


学校の週4日制ニュースを観て、ケインズだけでなく、通信制高校を選ぶ生徒についてのニュースを観たことを思い出しました。


インターネットなどを活用した通信制高校は、生徒数がここ20年増加傾向しているというニュース。

その際に紹介してくれた通信制に通う生徒たちの通学時間や隙間時間を使った”いわゆる余暇時間”の過ごし方がとっても印象的でした。


【通信制高校に通う生徒の”隙間時間”の過ごし方】
余暇時間を使って海に良く行っていたら、海に関する勉強に興味を持ち、海に関する仕事に就くことを夢見て海関係の大学に通うことを決めた!

趣味の絵の練習に時間を費やせるので、絵の仕事の依頼も入ってきた!

ダブルスクール生活を送りながら将来の夢をかなえたい!

このような子供たちもいるんだな!こんな余暇時間の過ごし方としてはとっても理想的ですね。


野球少年と”週4日制学校”


学校の週4日制ニュースを観て思い浮かべたのが、ケインズ、通信制高校、そして”野球少年”のことです。


野球をしている子供たちに「週4日制学校がアメリカにはあって、月曜日は休みなんだよ」って言ったら絶対に、「俺、アメリカに行きたい!」と言う子はいることでしょう。

全国の野球少年は土日1日中、野球漬けの日々を過ごしていますので、月曜日は学校が休みと聞けば、日曜夜からもうウキウキでしょうね。

なにせ日曜日の帰り道は疲れ果てている子たち、月曜日朝は眠さとの戦いというサイクルを続けていますからね。


もし学校が月曜日に休みになったら野球少年たちはどのような余暇を過ごすのだろうか。

土日できなかったことをするのでしょうが、勉強をしたり、趣味のことをやったり、それともゲームばかりか、YouTubeばかりなのか、ケインズがおっしゃった通り「21世紀最大の課題は余暇」ということも分かる気がします。


どちらにせよ、様々な事情がある中でアメリカでは”週4日制学校”が導入されていますが、アメリカの高校生や通信制高校に通う子たちの余暇時間の過ごし方を踏まえれば、「”週5日制の通学”という常識を疑おう」という考え方が広がる可能性もあるかもしれませんね。


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