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海外ドラマ『LOST』のような作品を“AI脚本家”は描けるのか?

私の好きなハリウッドや海外ドラマ界にとって目が離せない状況となっていることがあります、それは、先月から続く全米脚本家組合による大規模なストライキです。

ChatGPTを始めとする生成AIの急速な普及により、脚本家という仕事を奪われかねないという危機感を抱く業界関係者がストライキを始めて既に1か月半が経ちました。


そんな中、ふと思い出しました、そういえば15年前にも大きなストライキがあったなと。そのストライキ、当時、海外ドラマファンだった私にとってはまさに暗黒時代とも呼べる時期でした。なぜなら、ストライキにより新作が全く放送されないという事態が発生したからです。

実はその15年前のストライキによって、影響を受けた作品のひとつが、本日のタイトルにもあります海外ドラマ『LOST』だったのです。

この『LOST』は世界中で社会現象となるまでの人気が高い海外ドラマでしたので、ストライキによる制作中断はファンにとっては忘れられない”黒い思い出”となっていることでしょう。

そんな『LOST』ですが、全くの予測不能なストーリー、謎が謎を呼ぶ展開だけでなく、4つの時間軸が入り乱れる世界観が描かれるという、まさに”カオス”的な海外ドラマでした。


そこで私は思いました。
今回のストライキで注目されている“AI脚本家”に、あの『LOST』のような作品を描くことができるのだろうか?と。


伝説的な海外ドラマ『LOST』


『LOST』は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を監督したことで有名なJ・J・エイブラムスさんが監督をした作品で、2004年9月から2010年5月までシーズン1~6までの全121話が放送された海外ドラマです。

エミー賞やゴールデングローブ賞をはじめとする各賞を受賞した『LOST』、世界中で熱狂的なファンが存在していて、彼らのことを通称ロスティ(Lostie)と呼ばれていました。

私も”なんちゃってロスティ”として、毎週のように放送終了後は色々なサイトに飛びながらエピソード考察や仮説で盛り上がっていました。

毎週のように盛り上がる理由は、ストーリーの謎が謎を呼ぶ展開、謎がめちゃくちゃ多い海外ドラマとしてギネスにも乗るんじゃないかと思うほどでした。


しかも、描かれている時間軸は4つ!!!

『LOST』の時間軸
①現在
②過去(フラッシュバック)
③近未来(フラッシュフォワード)
④もうひとつの世界(フラッシュ・サイドウェイ)

④の”もうひとつの世界”は今でもちゃんと解明されていない謎となっております。


放送から20年後に検証映画が作成される


なんとLOSTが放送された日から20年目となる2024年にドキュメンタリー映画『Getting Lost(原題)』が公開されることが発表されました。

エピソード考察だけでなく物議を醸したシリーズ最終話への反響など、あらゆる側面を取り上げる映画が20年目に作成されるということからもお分かりいただける通り、今でも熱狂的ファンが多い海外ドラマなのです。


「“AI脚本家”に揺れるハリウッド」


次は、ハリウッドで先月から続く大規模なストライキで「AI脚本家」をめぐる交渉のゆくえについてご紹介します。

このストライキにより映画や海外ドラマの作品作成への影響も出始めているのも事実ですが、ストライキは開始から1か月半が経った今でも終わりは見えていません。長期化するという予測です。

脚本家にとってはこの問題は死活問題で簡単には妥協はできないと考えられているためです。


AIによる学習に使われる作品の著作権や対価についての議論もストライキで起きております。

全米脚本家組合で求めているルール化
●原作にAIを使わない
●脚本家の過去の作品をAIの学習に使用しない


既にAIが作った映画がある!?


アメリカ国内ではすでにChatGPTが脚本を書き、撮影のカット割りまで指示したというショートムービーも登場しているんです!


その映画を作った方がおっしゃっていることがとっても印象的でした。

実際にAIが脚本のほぼすべてを書く7分の短編動画を作ったプロデューサー

「AIはこの物語のアイディアをわずか10秒で作り出した。」

「初めてAIの能力に感心させられました。能力の高い人がもう1人参加しているような感じでした。

「AIが作る映画やテレビ番組、演技や脚本は間違いなく誕生します。もはや避けられないでしょう。」

NHK番組『国際報道2023』「“AI脚本家”に揺れるハリウッド」2023/6/16放送分より


ちょっとだけですがその短編映画を観ましたが、はっきりいってハリウッド映画との競合相手になるくらいのレベルの完成度でした。


そんな状況の中で、脚本家たちはどう思っているのでしょうか。

脚本家たちは「人間にしか書けない物語がある」と信じ、再び脚本を書ける日を待ち望む。

脚本家
「(自分の)実体験をもとにすると、より共感を得られると思います。」

「(AIの脚本では)さまざまな経験を持つ人間と同じ質の作品は作れません。」

「脚本家が自分たちの経験を語り合い作品を生み出す、AIにはそれはできないのです。」

NHK番組『国際報道2023』「“AI脚本家”に揺れるハリウッド」2023/6/16放送分より


“AI脚本家”は『LOST』を超える作品を作れるのか?


今回のテーマである「海外ドラマ『LOST』のような作品を“AI脚本家”は描けるのか?」ということを考察したいのですが・・・


脚本家の熱い想いを受け止めている私にとっては「“AI脚本家”には『LOST』を超える作品は作れない!」と声を大にして言いたいところですが・・・

“AI脚本家”が作成したショートムービーの完成度をみたあとですので・・・「“AI脚本家”には『LOST』を超える作品は作れるかもしれない」とも言えると思います。


でも、まだ人間の底力を信じている私にとっては『LOST』の時間軸のひとつ、④もうひとつの世界(フラッシュ・サイドウェイ)のような愛で満ち溢れた美しい世界をAIはまだ作れない、人間だから天国のような世界を描ける!そう信じています。


ただAIはどんどん進化することでしょうから、脚本家が訴えるルールのひとつ"脚本家の過去の作品をAIの学習に使用しない"というルールがある限り、いまのところは「“AI脚本家”には『LOST』を超える作品は作れない!」と思っております。


まさに脚本家の方がおっしゃっていた「人間にしか書けない物語がある」、それこそが『LOST』だと!!!

そんなことを考えていたら・・・また『LOST』を観たくなりました。

再びロスティ、いっときますか!

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