急増するドル需要に警鐘
利下げ後もドルの資金需要が増している
以下はNY連銀が行なっている10日物資金供給オペの結果である。
緑のSubmittedという欄がFEDがオファーしている金額だが、本日は$20blnのオファーに対して$72.55blnも札が集まっている。
3月に入ってから2回オペが行われているが、いずれも3.5倍超の倍率で2月から急激に跳ね上がっている。
緊急利下げ後もドルの資金需要が高いというのは懸念すべきことで、金融機関の資金がすでに調達難、あるいはそうなることを見越して、早めに取りに来ていることを示している。
株価下落に伴うクレジットのワイドニングが一番の要因と思われ、緊急利下げ後もクレジットはワイドニングが止まらなくない。(下記チャートの上方向がワイドニング=クレジットの悪化)
マーケットの起債市場でも発行体が急遽起債を取りやめるなど、若干混乱も出始めており、FEDが昨年夏以降、125bpsの利下げを行なったにも関わらず、クレジットが夏(リセッションが騒がれていた時)の水準まで悪化していることには注意が必要であろう。
また、企業の債務やCLOなどへの投資はリーマンショック以降、急速に拡大し、バブル状態だった為、ショックへの耐性が脆弱な構造的問題もある。
FEDはこうした問題に対する保険として、利下げを行なってきたわけだが、利下げを行なってもクレジットのワイドニングに歯止めがかからず、実体経済もリセッション入りした時に、緩和余地がない状態になることは最悪のシナリオとして考えておきたい。
マーケットは再びコロナウイルスを警戒
ニューヨーク時間は昼頃からAmazonやMicrosoftといった企業がシアトルで全従業員の在宅勤務を開始するといった話や、イタリアでの感染拡大などを懸念。
イタリアは死者数が148人に増えており、致死率を2.5%で見積もると潜在的には既に5,920人が感染していてもおかしくない計算になる。(公式の感染者数は3858人と発表されている)
為替は緩和余地の少ないJPYやEURを中心にドル安となっており、EM通貨は軒並み下落。また、米株は特にS&Pの旅客機企業Indexは悲惨な動きとなっており歯止めがかからない。(下チャート)
OPECは予想よりも多い150万バレルの減産で合意したと表明しているが、原油価格は続落。旅客需要などの落ち込みの方がより深刻であることに加えて、今回の会合にはロシアが参加しておらず、そもそもロシアの協力を得られるか不透明であることが要因。
一方、中国では、上海総合指数の上昇にも見られるように、中国の生産はコロナウイルスのショックから徐々に回復しつつある。
ここからは中央政府の強力な政策期待も相まって、中国株は底堅い展開になりそうで、欧米株とのディカップリングが予想される。
ポジションはドル人民元をショート。
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