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意外と動いた中国株、米株、ポンドに対する解釈

今週の米国市場は24日が半ドン、25日はクリスマス休暇の為、市場参加者は一層少なくなってきている。そのような中、マーケットで目立つのは a)中国株の下落、b)米株の上昇、c)GBP の下落だが、各々のポイントについては以下のように解釈。

a)中国株の下落については政府系半導体ファンド(国家集積回路産業投資基金)が半導体関係の3銘柄について保有比率を引き下げると発表したことが主な要因。加えて上海香港ストックコネクトが祝日の為、営業日数が少なくインフローが期待できないことも理由だろう。政府系ファンドの保有比率引き下げが米国との通商協議の一環のものか否かは不明だが、売却対象の3銘柄は今年93%~213%も上昇していたことを踏まえると合理的な投資判断によるものといえそう。

b)S&Pは今年に入って+28%上昇(配当前)しているが、セクター別では情報技術が+47%でトップ、エネルギーが+7%で最下位となっている。一方、残念なことにヘッジファンドのリターンは Long Short戦略が+8.6%、マクロ戦略は+7.3%に留まる結果に。インデックスがこれほど大きくアウトパフォームしているため、リターンはプラスであっても多くのヘッジファンドは敗北感が漂っており、年末のこの上昇相場に乗れたファンドはまだマシだったという感じか。来年を見通す上で抑えておきたい客観的データとして、まず S&P は過去90年のうち平均8%のリターンを勝率67%であげているという事実。加えて今年のように年間の上昇率が 25%以上あった年は過去18回あるが、その翌年も勝率 67%で平均6%のリターンをあげている。その為、統計的には“今年これだけ上昇したから来年は下がりそう”と感じるのは全く根拠の無い事実ということは抑えておきたい。

c)12/17時点でGBPの IMMポジションは▲0.6万枚まで縮小。8月の▲10万枚から大幅なショートカバーが進む中、節目の1.35まで上昇したが足許は“合意無き Brexit リスク”の高まりで1.30を割り込んできている。IMMのデータを見ても分かるようにポジションが軽くなってきたことから、テクニカルには11月のレンジである1.28~1.30に落ち着いてくると考えている。確かに“合意無き Brexit リスク”はジョンソン首相が離脱期限の延期を認めない形で法案を作成したことで高まっているものの、およそ1年の期間がまだあることを踏まえると、再びショートで攻めるとも考えにくいと感じている。

本日はアジア時間に中国から859品目の関税引き下げの発表があったが、昨年もこの時期に700品目程度の引き下げを発表しており、米中協議とは関係の無い定例的な措置と思われる。
一方、米国では耐久材受注が▲2.0%と予想+1.5%を大幅に下回ったほか、新築住宅販売も71.9万件と予想よりも弱く若干鈍化した。

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