早わかり!FOMCのポイントは?
今回のFOMCのポイントについて纏めています(日本時間6月11日午前3時)。
ポイント① YCC(イールドカーブコントロール)の議論について
今回のFOMCで一番注目されているのはYCCです。
YCCは日銀が2016年に導入した金融緩和の枠組みの一つで、国債金利の誘導水準を定め、買い入れを行う金融政策です。
ちなみに日銀は10年国債金利を概ねゼロ%に定めています。
注目されているのは、YCCが今後どのような形(ターゲットとなる期間、導入時期など)で導入されるのかという点です。
ちなみに今回のFOMCでYCCがすぐに導入されると見ているエコノミストは殆どいません。しかし、9月16日のFOMCまでに導入されると見るエコノミストは意外と多く、今回そのヒントが出てくる可能性があります。
マーケットでは、YCCがターゲットとする米金利について2年から5年という予想が多いです。
仮に5年よりも長い年限でのYCCを示唆するようだと、ポジティブサプライズと言えます。
また、フォワードガイダンス強化の方法として、『経済指標連動型の金融政策』も議論されています。
これは失業率と物価目標を達成するまで利上げは行わないと、フォワードガイダンスをFEDのマンデートに結びつける方法です。
このフォワードガイダンス強化も今回のFOMCで出てくる可能性は低いですが、次回以降のFOMCに向けたヒントを出してくる可能性は十分にあります。
ポイント② 経済・政策金利見通し(SEP)について
FOMCは3ヶ月に一度、経済見通し(SEP)を公表しています。
しかし、3月はコロナウイルスの影響があまりに不透明であったため、経済見通しの発表を見送りました。
今回のFOMCでは発表されるとの見方が主流です。
ポイントになるのはFOMCメンバーの金利予想の中央値で、マーケットは2021年末までは現在のゼロ付近にとどまると予想する人が多いです。
2022年末は一部のメンバーが利上げを予想する可能性もあり、予想の幅は広がると考えられますが、中央値は2021年末と同様にゼロ付近にとどまるとの見方が多いです。
2022年末に一部のメンバーが利上げを主張したとしても、かなり先であるため、マーケットはあまり気にしないと考えます。
マーケットにとってネガティブサプライズとなるのは2021年末の中央値がゼロ付近ではなくなるケースです。(利上げになるケース)
今の米債市場は短期金利が金融政策によって強力にアンカーされることが前提になっています。株式市場も当然、金融政策のサポートによって買われているので、マーケットは梯子を外される形になります。
とはいえ、直近の当局者の発言は当面の期間、利上げは行わないことを示唆しており可能性はかなり低いと考えます。
ポイント③ QE買い入れ金額の変更
現在、FEDは毎週金曜日に翌週の米国債とMBS(モーゲージ証券)の買い入れ金額を発表しています。
ちなみに今週は一日平均で米債40億ドル、MBS45億ドルでした。
コロナで金融市場が荒れる中、FEDは足元の金融環境を見ながら買取金額を調整したかった為、週次の発表になっていました。
しかし、金融環境が落ち着きを取り戻しているため、以前のQEのように、月次の買い入れ目標を設定する可能性があります。
金額について、米国債は月額800億ドル(40億ドル×20営業日)で現状の買い入れペースが維持される可能性が高いと考えられます。MBSはモーゲージ市場の流動性の問題もあり、月額500億ドル(25億ドル×20営業日)程度まで縮小するリスクがあると考えています。
買い入れ金額の設定有無についてはマーケットの見方は定まっていません。
特にMBSの買い入れ金額は予想が難しく、今週は米国債よりもMBSの方が買取金額が多かった為、FEDの住宅市場に対するコミットはかなり大きいと考えます。
その為、MBSを月額500億ドルまで縮小させるのは時期尚早とFOMCメンバーは考えているかもしれません。