車のエンジン始動

父は自営業を営んでいた。緑色の軽トラックを運転していた。幼稚園の頃は、父の工場の近くで遊ぶことが多かった。チョークで道路に絵を書いたり、自転車で公園に行ったりして遊んでいた。車に乗って、自動車を運転するような真似もした。

この車には、スイッチがあった。鍵がなくてもスイッチを押すとエンジンがかかる仕組みのようだった。車の鍵は父が持っていたはずなので、鍵は刺さっていなかった。不覚にも、そのスイッチを興味本位で押してしまった。

エンジンがかかり、幼い私は車が動き出すと思ってしまい、そのまま頭を抱えて怖がってしまった。父がすぐに駆け付けてエンジンを切ってくれた。父はよく𠮟る人だったが、その時は叱られなかった。

この時の恐怖心と目から見た景色は今でも覚えている。ただ、この後も車を運転する真似はしていた。今でも車を運転するのは好きだが、この頃から車を運転して、大きなものを自分の意志通りに動かすことが好きだったのだろうと思う。

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