初めての自転車

父は工場を営んでいた。自宅とは違うところに工場があったので、たまに行くのが楽しかった。2枚のシャッターがあり、父はそれぞれのシャッターを開け、真ん中の支柱を外す。いつもシャッターにつかまって途中まで引き上げられて遊んでいた。

幼稚園の時に父がシャッターを開けた。すると駒(補助輪)付自転車があった。私にとって初めての自転車である。父と母がニコニコしていた。本当にとても嬉しかった。この気持ちは、私の子どもに味わさせてあげたいと思い、今でも親としてサプライズをしている。特に「子どものため」という思いも嬉しい。

工場のまわりは、道が狭く、車がスピードを上げて走るところではなかった。また工場の前には広い駐車場があったので、自転車の練習には良かった、駒付だが。

他にも緑色のジープ型足けり車、なぜかラグビーボールをサプライズでもらった。自転車もそうだが、これらも弟と遊んだ。つまり、弟はサプライズが少ない。これは弟の立場になると悲しい気持ちになるので、私の子どもには、できる限り同等のサプライズができるようにしている。

実は、この自転車は、もう一人の弟まで使っていた。私は、この自転車は幼稚園のころまでしか使っておらず、小学校の時には、すでに大人用自転車(24インチ)を乗っていた。これは母のお下がりである。

大人になって、自分で自転車を買ったときも、この時の喜びがよみがえる。

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