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虚勢と空回り、そして感謝――MAKERS UNIVERSITYに参加していま思うこと。

12月の合宿で、MAKERS UNIVERSITY3期の長かったような短かったようなプログラムはひととおり終わる。

けれど変わらずMAKERS生たちは自分たちが進みたい道をそれぞれのやり方と速度で歩んでいく。

他の誰かが用意してくれた道を進むわけではないから、孤独や挫折に悩む日も来る。

そんなときに肩肘張らずいまの弱みを、みっともないところを打ち明けて励まし合えるであろう人たちの顔が僕の頭には何人も浮かぶ。とても心強く感じる。

この安心感はプログラムが2月に開講された直後にはまったくなかったもので、あったのはむしろ周りへの不安、不信感であった。

しかしこの不安は、9か月のあいだでだんだんと取り払われ、その場にいられることへの安心感と、感謝の気持ちが増していった。

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安心感は、ひとりひとりが目の前の困難とたたかいながら、どうしてもやるせなくなって、ひとつ、またひとつと自分の内面をMAKERSのなかでさらけ出すことによって育まれてきたと思っている。

仲間との人間関係、事業への違和感、お金へのプレッシャー…。様々なことに悩む人たちが打ち明ける心のうちは、どこか叫びに似ていた。

そしてMAKERSという場所には、それらをすべて受け入れるだけの許容度があった。

叫びを聞いた人たちが自分ごとのように悩み、問いかけ、提案する。弱いところを見せても受け入れてもらえるという感覚が、大きな安心感へとつながっていった。

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クロコム(黒越さんの特別ゼミ)の最初の集中合宿のときだっただろうか。どうしてMAKERSに応募しようと思ったかを尋ねると、「さあ、なんとなく面白そうだったから。来月にはもう辞めているかもしれない。」とそっけなく答えてくれた人がいた。

その返答にはすこし棘があって、自分には別にこのコミュニティが必要な訳ではないとも言っているように聞こえて、僕は「この人は自信をもったすごい人なんだなあ」と寂しながらに思っていた。

しかしいま思い返すと、きっと、これは虚勢の面がつよかったのだろう。

自分のなかを知られないようにしようと、あいだに一枚壁をつくり、無表情だったのが印象に残っている。

なぜ虚勢だったと思うのか。なんてことはない、そのとき僕も、他のMAKES生の多くも同じような状態だったからだ。

「メイカーズユニバーシティ」「イノベーター養成」「学生起業」そんなキラキラしたことばの下に集まった人たちは、誰しもが固い意志と優れた実績をもっていて、“強い”人たちだった、ように見えた。

実際は必ずしもそういうわけではなく、
やっていることの良し悪しに惑う人
過去にジレンマを抱える人
自分の素直な気持ちにではなく、他人のことばや評価に振り回されすぎてしまう人
…そんなけっして“強くはない”人たちの方が多かった。

弱さがあるからこそ、それを見られたくなくて一枚カッコイイ人格を被る。虚勢を張ってしまう。

張るのだけれど、実際の自分はもっと頼りなく、実現したい理想はたしかにあるのに思うように現実は進まない。空回り。

こんなはずじゃない。もっとできる。早く進もう。

そう思う、
けど、つらい。逃げ出したい。このやるせない現状を気軽に相談できる人も周りには少ない。

そんなタイミングで、月一回のMAKERSのゼミや合宿の日がまわってくるのだ。

業界も進度も全然違うけれどそれぞれが自分の山を登っている人たちが集まり、「最近どう?うまくいってる?」と問いあう。

本気で何かに打ち込んでいる人ばかりが集まっていると知っているからこそ、徐々に虚勢を脱ぎ、心のなかそのままを場に差し出す人が増えていった。

そうなると、なんだかその空間の雰囲気は温かいものになり、心地よくなっていった。

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このコミュニティは、この先何年もずっと活きる関係だと思う。

時間が経つにつれて関係が薄れるのではなく、さらに深まり新しいつながりも生まれていく、そんな関係性だと思っている。

そのなかに自分が入れたことはとても大きな財産だと思っているし、場をつくりあげてくださった事務局の方、メンター陣の方、1期2期の先輩方、同期の人たちにとても感謝している。

僕はいまはまだ足掻きながらなんとか自分らしい道を進んでいる感覚がやっと生まれてきたな、ってくらいの現状だけれど、今後も歩みを止めずにいきたい。

そしていつか、ペイフォワードの精神で、このコミュニティに恩返ししたい。

3月にそっけない返事をした人はいま11月になっても辞めることはなく、「入ってよかった」と笑っていた。

僕も自信をもって言える。MAKERSに入ってよかった。

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