マンガ感想 乙嫁語り 第1巻

 まだ買ってないのですが乙嫁語りの14巻が出たそうで、この漫画の1巻を読んだ時の衝撃について、少し語ってみようかな、と。

 僕が若い頃書いていた小説に「七つのロータス」という小説があります。結婚で中断して、再開しよう再開しようと思っていても、なかなか果たせずにいます。再開に向けた環境づくりとして、書いたところまで再アップして読み返そうと思っていても、それすら何年もかかっている状況ですね。
 さてその「七つのロータス」なんですが、架空世界の青銅器時代を舞台に農耕民の作った帝国、周辺で帝国に臣従する定住牧畜民、そしてさらにその外縁からやってくる遊牧民という世界の中で、あるものは気高く、あるものは卑屈に、それぞれ必死に生きている姿を描こうという意図で書いている作品です(まだ過去形にはしないぞ)。
 特に描きたいのは馬と共に生きる人々の心の有りよう。牧畜とは無縁の身ながら精一杯想像して、それはファンタジーに過ぎないのであれば、僕にでき得る限りのファンタジーとして描き出したい。その一心で1章を原稿用紙10枚(当時はWordで20×20に設定して、書いていました)前後を1章として62章まで、何年もかけて書いていたんです。それが結婚後は、仕事上の色々や育児やで創作の時間が取れず中断。再始動できないままズルズルと日々を過ごしているわけです。

 最初は古書店の店頭でたまたま見かけて、「中央アジアっぽい服装だけど、ファンタジー?あ、『エマ(タイトルだけ知ってるけど、未読)』の人なんだ」と手に取ったのです。冒頭「19世紀、中央アジア」「カスピ海周辺」という説明でハイファンタジーではなく歴史物だとわかって、更に興味をそそられたわけです。
 で、冒頭、アミルさんがウサギ狩りするシーンで、本を取り落としそうになるほど衝撃を受けました。ああ、これだ!僕の書きたかったものはこれだ!今まさに自分の書きたかった世界のお手本を、圧倒的な力で見せつけられているんだ。それが僕の感想でした。
 そして日常の描写もこれまたおそろしく上手で、血の通ったキャラクターと言うのはこういうものだなと。そして嫁入りしたアミルさんと家族の距離感、アミルさんの実家と嫁ぎ先の文化の違いについての細々とした描写。自分の小説に活かすなら、ノートを取りながら読むべき作品でした。
 そして何より自分が自分のために書いた小説の世界以上に、この作品の世界は僕にとって心地良かったのです。

 13巻まで、そして14巻の感想は、またいずれ書ければと思います。

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