バランスオブゲームの思い出

 先日のサイレンススズカの記事で、サイレンススズカのことを本格化後も馬券的には信用できていなかったという話を書きました。逆に馬券的に信用していた馬は、と言えば得意不得意がはっきりしていて、得意な条件では相手が強くてもしっかり連に絡んでくれる馬、ついでに言うと、こういう言い方は非常に申し訳ないのですが、得意な条件からちょっと外れたレースで人気で消えてくれると、馬券的には良い思いが出来たりもします。いや馬にも関係者にも本当に申し訳ない言いぐさではあるんですが、人気薄で勝てる馬、人気で負ける馬を見抜くのが馬券検討の基本と思って呑み込んでいただければ幸いです。

 例えばかつてトロットサンダーという馬がいて、マイルでは抜群の安定感がありました。8歳のGIだろうがなんだろうが、マイル戦では無条件に軸にしていました。
 この項で取り上げたいのはバランスオブゲームです。競馬ゲーム「ダービースタリオン」開発者の持ち馬としても知られる馬ですが、GIIでは強い、という特徴がありました。複数のGIホースがいてもあまり連を外さないので特に信用している馬の一頭でした。
 印象に残っているのは2006年の中山記念。前年中山記念の勝馬でありながら、バランスオブゲームは6番人気という低評価でした。皐月賞馬ダイワメジャー、秋華賞馬エアメサイア、日本と香港でGI2勝のハットトリックなどの実績馬が犇めき、前走勝利のカンパニーなど好調な馬もいたため、7歳で前走二桁着順、前年の中山記念から丸一年連に絡んでいない、中には得意の筈のGII毎日王冠の4着も含まれているバランスオブゲームは人気を落としても仕方のない状況ではあります。ですが前走は初ダートの根岸ステークス。毎日王冠と根岸ステークス以外は全てGI。
 馬券自慢になってしまうのですが、ここで6番人気は軽視されすぎでは?バランスオブゲームはGIIでは強いぞ。そう思った時、バランスオブゲームから流すことに心が決まりました。これが2、3番人気では軸にする気にはならなかったかもしれません。
 結果はバランスオブゲームの連覇。1番人気、皐月賞馬でこの後更にGI4勝を積み上げることになるダイワメジャーを退けての連覇となりました。たぶん馬単ではなく馬連で買っていたと思うので、1番人気との組み合わせでは配当はそれほどではなかったと思います。ですが配当以上に自分の予想通りになったことが満足なレースでした。

 バランスオブゲームは生涯29戦8勝、GI勝ち無し。この成績だけ見れば、同時代のファンの印象には残ってもいずれ忘れられてしまう準一流馬と言った雰囲気です。ですが、彼にはGIIでやたら強いという特徴がありました。GIIに限れば1着6回2着3回4着3回、掲示板を外したことは無しという成績になります。GII6勝は、JRA史上最多になるそうです。
 有力馬が全力を出していない場合もあるトライアルレースで、有力馬に土をつけることの多いトライアルホースと呼ばれる馬は時々登場しますが、バランスオブゲームはそのトライアルホースの中でも特に顕著なトライアルホースっぷりを見せた個性派だと言えるでしょう。

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