赤ちゃんゾウ、マーラの思い出 #世界ゾウの日

 本日は世界ゾウの日ということで、ゾウの記事をもう一つ。
 現在、札幌の円山動物園でアジアゾウが出産間近であるとの報道を目にしました。東山動植物園のさくらとうららなど、近年動物園でのアジアゾウの繁殖例が増えています。上野動物園や市原ぞうの国などでもアジアゾウの繁殖に成功しています。

 2011年、豊橋市ののんほいパークで生まれたのがマーラでした。日本国内の繁殖としては4例目でした。ところがマーラは1歳になったばかりで、両前脚を骨折しました。大型草食獣にとって骨折は命にかかわります。それも両前脚骨折となれば、安楽死の判断が下されても不思議ではありません。残された脚にかかる負担は大きく、また運動量が減ることで内臓などの不調につながります。
 怪我の兆候が見られた時から公開は中止され、一般のファンはのんほいパークからの発表をサイトやニュースで追う事しかできませんでした。骨折が治りリハビリに入ったことが伝えられた時、専用のリハビリプールが完成したと伝えられた時には、順調に回復しているのかと思っていました。しかし実際にはほとんど寝たきりの状態で過ごしていたようです。
 運動量の低下が内蔵機能の低下につながるのは大型草食獣の宿命で、6歳の誕生日を前に腸捻転でマーラは亡くなりました。
 安楽死ではなく治療を選んだ関係者の選択が間違ったものではなく、マーラの生涯が苦しみだけでなく喜びも多かったのだと、またマーラの治療のための努力は獣医学を進歩させ、その知見は将来生まれてくるゾウたちの命を助けるのだと信じたいです。
 マーラの両親にはその後、もう一度子どもが生まれています。この時は生まれたゾウを無事に成長させた経験のある市原ぞうの国へ、母ゾウのアーシャーを移動させての出産となりましたが、生まれたラージャはのんほいパークに来ることなく1歳1か月で心不全で亡くなりました。

 まだ怪我をする前、何回かマーラに会いに行ったことがあります。そのうちの1回では、飼育員さんが飼育場の外へマーラを連れ出して解説をしてくれました。
 飼育員さんの後ろに隠れようとするマーラは、人見知りする人間の子どもとまるで同じ様子で、「ごめんね、怖くないからね」と心の中で思ったものです。あの姿は今でもはっきり覚えています。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。悲しいお話なので、本業のサイトへのリンクは割愛します。

 

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