歴史・伝説・古典文学に名前の残る馬たち(随時更新予定)

 世界史には君主や将軍の愛馬として、数多くの名馬が登場します。動物好きとしては、それらの名馬を纏めてみたいという気持ちはあったのですが、歴史上といっても名馬の名前などは、比較的正確な年代記などより、どの程度創作が混じっているか不明な逸話集などで登場する場合が多いです。そもそも古い時代になればなるほど、歴史と伝説、神話、創作の境は曖昧になってきますし、実在の人物が登場しているけれど、明らかに創作という作品も出てきます。
 僕は教養=共有される知識という認識で記事を書いておりますので、ここではあまり厳密な区別はせずに、思いつくまま上げていこうかなぁと思います。また教養という観点から、古典文学までをその対象にしました。現代文学まで手を広げると、ちょっと数が多すぎるのでやめますけど、「はてしない物語」のアトレーユの愛馬(名前はなんだっけ?)とかも、ちょっと取り上げたかったり・・・。まあこれは項を改めて、自分の読んだ作品縛りでやるかもしれません。
 まずは自分の思いつくまま、上げてみました。まだ数は少ないですが、これから増やしていこうと思います。


神話

・バリオス
・クサントス

 アキレウスの愛馬。アキレウスの両親、ペレウスとテティスの婚礼に際し、ポセイドンから贈られました。

古代ギリシア・ローマ

・ブケファロス
 アレクサンドロス大王の愛馬。Wikipediaには「ブケパロス」で立項されています。名前は「牡牛の頭」という意味で、牛の頭の形の星(額の模様)があったことに因むとされていますが、実際に牛のような角が生えていたという伝説もあります。
 誰の手にも負えない暴れ馬であったブケファロスはアレクサンドロスの父フィリッポスによって殺処分が命じられますが、12歳の若きアレクサンドロスは彼が自分の影におびえているのに気づいて見事に乗りこなし、以後インドまでの征服の行程を共にしました。インドで戦いに斃れたブケファロスを悼んで、アレクサンドロスは愛馬の名を冠した街を建てたということです。
 ブケファロスはアレクサンドロスと同じ年に生まれたという伝承もあるようです。

・インキタトゥス
 ローマ皇帝カリグラの馬。カリグラにより元老院議員に任命されました。

中国

すい
 項羽の馬。項羽の最期をうたった垓下の歌に名前を残しています。

・赤兎馬
 三国志に登場する名馬。正史では呂布が「赤兎」という名馬に乗っていたことが書かれていますが、実はこれは優秀な馬を指す形容の一種で個体名ではないようです。
 三国志演義では個体名として扱われ、呂布の死後、曹操から関羽に与えられ関羽の死までを共にします。関羽の死後は自ら食を断って死んでしまいました。

近代ヨーロッパ

・ゴドルフィンアラビアン
・ダーレーアラビアン
・バイアリーターク

 競馬好きなら覚えておきたいサラブレッドの三大始祖。後にサラブレッドと呼ばれることになった馬たちの父系を遡ると、17世紀後半~18世紀初頭の3頭の種牡馬に行きつきます。

近代欧米文学

・ロシナンテ
 小説「ドン・キホーテ」の主人公、ドン・キホーテの愛馬。

まとめ

 生活の中で馬が重要な文化でも、だからこそ実用品・消耗品という要素が強くなってしまう場合もあり、意外と馬の個体名は残っていないことが多いようです。アレクサンドロスとブケファロスのような人馬一体の関係というのは稀ですけど、それだけにロマンを感じますね。
 今後も個体名の残っている歴史上の名馬に気づいたら、追加していこうと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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