パワハラ上司にメンクリ送りにされた後に大逆転勝利した話

 全てのハラスメントで悩んでいる人を救いたい。
 利害関係の無い第三者に相談しろ!
 
以上だ。
 続きは思い出話になりますが良かったら読んでください。

 5年ほど前の話である。

 当時のわたしは仕事のモチベーションに満ち溢れたバリキャリ爆乳爆美女新入社員だった。また、昔から教師や先輩など上の立場の人にも理不尽なことを言われると条件反射で反論してしまうため、このような性からか、アラフィフのバb…ではなく、ベテランの女上司に目をつけられてしまい、以下のようなパワハラ被害を受けた。

▪︎他のスタッフの前で1時間以上説教され、「やる気が無いなら結婚でもして仕事辞めたら?」と言われた。
 (↑結婚の予定無いから頑張って仕事してんねん、言わせんな)

▪︎お気に入りらしい部下のミスを押し付けられた。
 (↑代わりに怒られてやったのに自分は日和見決め込んでた古川雄輝似の色白のイケメン、おい、おまえだよ、顔に免じても許さねえぞ)

▪︎提出書類はノーミスだったのに、「本当は理解できてないんでしょ、顔を見れば分かる」と決めつけられた。
 (↑さすがに理不尽すぎる)

▪︎業務の期限は明確に伝えてほしいと依頼したら、「これ学校の宿題じゃないんだけど?そんなこといちいち言わなきゃ分からないとか、あなた小学生?」と言われた。
 (↑学校の宿題やったらどうせ出さんのでいちいち期限聞かんねん)

▪︎「東大や京大の女子は本物のキラキラ女子だけど●●大学の女子は中身が無い」と出身大学の悪口を言われた。
 (↑キラキラ女子とかいうワードセンスの昭和感すごい)

▪︎年次評価で全ての項目を最低点にされた。
 (↑これのせいで昇格1年遅れたので今も結構効いてる、やりおる)

▪︎既に2ヶ月連続で80時間以上残業していたのに「あなただけ全く働いていない」と言われた。
 (↑「てめーは越えてはならねえ過労死ラインを越えた…」ってジョセフパイセンも言ってました)

 ひたすら理不尽に「やる気が無いなら辞めろ」と言われ続け、ストレスのせいか身体に異変が生じ始めた。毎朝オフィスに向かおうとすると脚がガクガク震えて真っ直ぐ歩けなかった。毎日37.5℃程度の微熱が出て仕事以外の時間はずっと寝込むようになった。信頼していた上司に相談を持ちかけたが、「社会とはそういうものなんだよ」とお茶を濁された。仲の良い同期には、「巻き込まれたくない」と遠回しに伝えられた。当然だった。件のパワハラ上司は部署の最高権力者だった。皆それぞれ守りたいものがあるのだから。

 そんな日々が半年ほど続いた頃、父が死んだ。65歳だった。そのせいでストレスが重なったためか、学生時代から持っていた病気が再発した。メンタルもフィジカルも限界だった。普通に生活できる人たちが妬ましくて、情けなかった。駅のホームでまもなく電車がまいりますというアナウンスを聞くたびに「今すぐ線路に降りれば会社で理不尽な説教をされずに済む」と考えるようになった。でも「親より長く生きるのが唯一の親孝行」という母の言葉を思い出してギリギリ踏みとどまった。メンタルクリニックに行ったら、「典型的な自律神経失調症、うつ病」と診断された。

 幸い、抗うつ薬がよく効いた。さらに、駄目元で人事に診断書を提出し病気になった経緯を説明してみたら、パワハラ上司のチームから離れられることになった。それから少しずつ体調を崩す前のクオリティで業務ができるようになってきた。ちなみに、同じ時期に同じチームだった1つ上の先輩は突然連絡がとれなくなった。

 そしてここからタイトルの回収、つまり、わたしの大逆転劇が始まる!と言いたいところではあるが、ごめん、タイトルは釣りなんだ。チームを外れてからは、パワハラ上司のことはとっくにどうでも良くなっていた。ただ、新たに入社した1つ下の女の子がその上司から同じ被害を受けていてヤバそうだ、という話を同期から聞いて、そのとき今までの人生で抱いたことの無い強い怒りが沸いた。「部署に誰も味方してくれる人がいない」という孤独感を、他の人には味わわせたくなかった。というわけで、彼女にパワハラ上司から逃げる手順と、わたしが味方であることを伝えた。ついでに、自身の被害を弊社の顧問弁護士に話し、中立で正しい対応をお願いします、と依頼しておいた。自分のためにはここまで行動する気にはなれなかったのに、他人のことを思うとすんなりできた。弁護士もしっかり動いてくれたようで、数か月後にその上司が「最近の若い子は頭おかしい!普通に指導してるだけなのにすぐにパワハラとか言われるから仕事にならない!」と大声で騒いでいるのを見た。その後すぐ、会社を辞めて行った。理由は寿退社だと周りに説明していたらしいが、本当のところは知らないし、興味も無い。どうか幸せになって、もう誰も傷つけないでください。ちなみに、後輩の女の子は今も会社に残ってくれている。

 結論、最初から人事や弁護士に相談すれば良かった、という話ではあるのだが、実際に行動を起こすことは心情的にかなり難しい。相談したことが知られ権力者を敵に回してしまうと、一瞬にして社内で立つ瀬を失う可能性があるからだ。でもこの一件でメンタルの底を知った自分から言わせてもらうと、そんなリスクは大した問題じゃない。また、多くの人は転職という逃げの手段を選ぶが、ブラックな上司というものはどこの職場にも存在するため、根本的に理不尽に立ち向かう勇気が無いと、同じ苦しみとネガティブな転職を繰り返してしまうだろう。だからやはり、利害関係が少なく客観的に状況を判断してくれる、人事などの他部署の人、可能であれば弁護士に相談してみるのが最善だと考える。わたしはハラスメントで悩む人たちに、その勇気を授けたい。


 先日、弊部署の偉い人と話す機会があった。「時代に合わせて僕らも変化していかないとみんな辞めちゃうからね。嫌な上司がいたら遠慮せずガンガン相談してね、すぐチーム調整するからね」。数年前はそんなこと言ってくれなかった。もしかしたら、自分が勇気を出して前例を作ったおかげで、組織がちょっと良い方向に変わったのかもしれない、もしそうなら、たまには自惚れてもいいかなって、そんなことを思った。

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