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「例のアレ」使ったら5日でTwitterが万垢になってしまった話

とある人から「アレが今ちょっと面白いことになっているらしい」と聞き、
マーケターとして興味を持ち実際に使ってみたというレポートです。

タイトルの通り、もともと1000人程度だったフォロワーが、
わずか1週間で1万8000フォロワーを超えるという猛烈な伸び方をしました。

フォロワーを買ったみたいに見えて胡散臭くなったことに若干後悔があるので(笑)、経緯をレポートとしてまとめることで浄化したいと思っています…

2022/01/22の僕
2022/01/27の僕

まずは簡単な自己紹介させてください

ココグルメというドッグフードD2Cをやっている、株式会社バイオフィリアという会社の創業者・取締役CMOの矢作です。
普段はデジタルマーケティング(主に広告運用)ばかりやってます。

情報商材屋さんではありませんので、謎のLINEアカウントに送客したりしてません。

デジタルマーケティングは最終的にアイデア勝負になることが多く、まだ誰も気が付いていないハックを見つけることが究極のミッションだったりします。

そんなアイデアの種になるのが試行錯誤を重ねて初めて得られる実体験だったりするので、自分も常日頃から積極的に新しいものに手を出してます。

今回もその一環でのトライでした。

「例のアレ」とは何か?

「例のアプリ」とは、これです。

ZOZO 創業者の前澤友作氏が立ち上げた寄付アプリ「kifutown」です。

簡単に言うと、
個人が「〇〇な人に〇〇円寄付したいです、該当する人応募してください!」という案内を出せるサービスです。


1年ほど前のリリース当初はネットでバズってましたが、ここ半年はほとんど話題になっていませんでした。

なので自分も存在を忘れていました。

たまたま髪を切ってくれている美容師さんに、「kifutownって使ってます?」と聞かれたことがきっかけで思い出しました。

このように目がシバシバしてきそうなタイトルが並んでます。

このアプリが面白いのは寄付抽選に応募できる条件として
「自分のTwitterアカウントをフォローすること」
が設定できる点です。

応募条件の例

なので単に寄付と言うより、実態はフォロー獲得広告として使われているようでした。

広告と聞くと試してみたくなるのがマーケターの性。
ということで自分も解説してみたという経緯です。

実施内容と結果

と言うことで、こんな感じで募集を出してみました。

募集の際にこちらでいじれる変数は
・募集人数
・当選時の金額
・募集のタイトル & ディスクリプション
・自動抽選 or 自分で選択
だけです。

そして最小の寄付単価はなんと10万円・・・
テスト利用にしてはデカすぎる・・・泣

ということで適当にやるわけにはいかず、真面目にテスト設計してから実施しました。

KPI設定

フォロー獲得広告として使うため、一つはフォロワーの増加数とおきました。万垢になれれば面白い…はず。

そして、CPF( cost per follow )をできるだけ下げることも考えています。
寄付総額をコストとして捉えて、フォロワー増を最大化しようという計算です。

CPF広告はTwitterやLineでお馴染みですが、今は1フォローあたり最低でも100~200円程度かかるので、なかなかの値段になっています…

今回は数十円くらいに収まれば嬉しいなーという見込みでした。


「フォロワーの質」という軸ももちろん考えましたが、
どんな人が使っているか?
どんな影響がでるか?
がまったく不明なので一旦目をつぶってます。

弱小個人アカウントなのでまあいいか、って感じです。

- 事例調査: どんな募集者がいるのか?

CPFをなるべく下げてフォロー数を最大化するために、先行事例を過去分も含めて確認しました。

まず募集者の分類ですが、
・法人アカウント
・実名個人アカウント
・匿名個人アカウント
の3種類でどれもフォロワーを集めて、どこかでマネタイズを狙うビジネス利用がほとんどのようです。

ビジネスモデルも大半が情報商材で、最終的にLINE@まで誘導して高額商材を売るみたいな流れのようです。

誰も真面目に寄付してないのが悲しい・・・

- 事例調査: どのくらい寄付しているのか?

前澤さんの寄付金額だけ3000万円とずば抜けて高いですが、それ以外の方はなんだかんだ現実的な価格で募集しています。

・100万円がMAX
・TOP10までが25万円程度
・ほとんどが最低募集金額の10万円

TOP11(調査時)の寄付金額

CPF最小化のための戦略

寄付募集は同時に50~100件ほど走っています。

その中でどれだけのユーザに目に留めてもらい、フォローして応募してもらえるか?
このファネルを最適化するのがCPFの最小化に必要です。

詳細 ~ フォロー ~ 応募 までのファネルは、応募意欲があればかなりの確率で完走してくれるはず。

最も重要なのは、数ある中から自分の募集を発見してもらうことです。

そのために重要なのが
・一覧画面のより上位に掲載されること
・一覧画面のぱっと見で「応募しよう」と思ってもらえること
です。

とにかくこの2つを最適化していきます。

- リスト順位の最適化

募集一覧ページにはソート機能があり、
・寄付合計金額順(デフォルト)
・締め切りが近い順
・新着順
の3パターン。

多分ソート機能は使われないので、デフォルトである金額順で上位に入るのが重要です。

寄付金額の予算は限られているので、金額順で少しでも上位に入るように、半端な金額を設定すべきでしょう。

10万ではなく11万、11万ではなく11.1万円とするべき。

ちなみに合計金額が同じ場合は1人当たりの金額が大きい順にソートされるっぽいので、なるべく当選人数を絞った方がよさそうです。

自分はもう少しだけ上乗せして12万円に設定しました。

※ちなみに寄付金額とは別で、アプリ側で手数料が10%取られるのも要注意です。

- 募集記載の最適化

このように一覧ページには
・募集者のアイコン
・募集者の名前
・募集のタイトル
などが掲載されます。

募集者のアイコンは、
・会社 or 組織ロゴ
・顔出し写真
・アニメ系アイコン
の3パターンがあります。
フォロー数(=応募数)が伸びていたのは、圧倒的に顔出し写真でした。

募集者の名前は、アイコンに大体紐づいており、顔出し写真を出す以上は実名を出すのとイコール。

そして一番重要なのはタイトル記載です。
・募集を集めたいだけの釣り型
・ペルソナを絞り型
の大きく2パターンがありました。

ペルソナを絞った募集はフォロワーの質も良くなるのでその後マネタイズしやすいというメリットもありそうでしたが、ものによっては厳しすぎてほとんど応募が集まっていないケースも。
( イラストレーター志望の人に・・・とかでもあまり集まっていない )

自分はフォロー数とCPFがKPIだったので、釣り型タイトルに設定しています。

釣り要素になりうるのは
・自動抽選であること
・自分も応募できそうと感じてもらうこと
の二つです。

その結果出来上がったタイトルがこれです。

これら以外の変数には募集の本文みないのがありますが、
ポエムっぽいのもから超シンプルなものまでバラバラ。

本文の書き方と応募数に関係はなさそうだったので、力尽きて適当に書いてしまいました笑

募集結果は…

12万円の軍資金をかけての結果はこちら。

過去28日間の比較
※それまではほとんど何もしてない

なんということでしょう。

なんの変哲もないフォロワー1000人程度の弱小アカウントが、
たったの1週間で16000フォロワーも増えてしまいました…

CPFなんと約7円!

普通のTwitter広告だと1フォロー取るのに最低でも100円以上かかることを考えると、パフォーマンスは15倍。

フォロワーを買うとしても相場は1フォロー100円程度なので正直激安です。

これは一時期Twitterでお金配り勢が爆増するわけだ・・・

考察

当初の目的である
・万垢になること
・CPF数十円程度に抑えること
は一旦達成できました。

もう少し今後の利用価値について考察してみます。

SNSのフォロワーを増やす方法として画期的…なのか?

CPFの安さやフォロワーの増加ペースを考えると、
お金配りというのは画期的なSNSのグロース方法かもしれません。

純粋な広告をどれだけ積んだとしても、たった5日間で10000フォローも増やす方法はない気がします…

また近年SNSアカウントの新規運用はどんどんレッドオーシャン化しており、あるSNSでフォロワーを囲っている人が他のSNSに進出しフォロワーを伸ばすことができるという構図になっています。

すでに有名ではない人は、今後も有名になれない。

新規でグロースするために唯一チャンスがあるのがTiktokだと言われていますが、もしかしたらお金配りもチャンスがあるのかもしれません。

とはいえ今のところ胡散臭さが拭えないですが。。。

本当に「フォロワーの質」は悪いの…?

フォロワーはとりあえず増えた。
コスパも良かった。
しかしこれでフォロワーを増やすことに意味はあったのでしょうか…?

今のところ、結論は出せていません。

一応ビジネス目的の宣伝ツイートを放ってみたところ、フォロワーさんの中から購入していただいた方が何人かいらっしゃったようです。


また、フォロワーのエンゲージメントは今のところ以下のようになってます。

直近28日間の推移
寄付企画は直近7日間部分

もともと対してエンゲージメントが高いアカウントではありませんでしたが、平均で見ても今のところパフォーマンスは変わっていません。


寄付募集が終わったのが昨日の夜なので、今後これらの数値がどう変わるのかは分かりません。
フォローめっちゃ外されたりして。。。泣

今後進捗があれば、別でnoteにまとめます。
(良かったらフォローしてください)

感情的な変化はあるか?

前澤さんがお金配りを始めた時は、
「承認欲求強すぎ・・・」
みたいなことを言われていましたが、果たしてお金配りで承認欲求は満たされるのか…?

自分の呟きが1万人くらいに見られる可能性を考えると、単にビビってしまうだけでした笑

身の丈に合わないリーチ数って本当に意味ないですね、、、

オファー単価実質マイナスのビジネスモデルは成立するのか?

お客さんにお支払い頂く最低金額と比べて、遥かに高い費用を広告に投下している会社が多く存在しています。

広告運用をしたことがあるなら、
「GAFAに広告費を払うより、お客さんにお金渡して商品提供もした方が(= オファー単価実質マイナスモデル )お互いハッピーじゃない?」
なんて思ったことがあるはず。

たしかに固定観念として
「そもそもお金払ってでも使う人ではないと継続して使ってくれないから、結局ビジネスとして成立しない」
という考えもあります。

しかし現代人の購買行動はどんどん変わってきているので、
・お金を渡した上で
・顧客リストも手に入れて
・結果としてマネタイズも成功する
なんて夢のモデルが出来上がるかもしれません。

これについても今後もう少し実験していければと思います。

ビジネス目的で活用するチャンスはあるか?

現段階でこのアプリでビジネスとして採算が取れているのは、怪しい高額な情報商材くらいかもしれません。

しかしやり方によっては上手くいく業態がある気もします。
以下に一例を挙げておきます。

マス層向けの無料サービス
寄付に応募する人は少なからず可処分時間が余っています。
とはいえセグメントは細かく切れない(効率が悪くなる)ので、マス向けのサービスであれば良いかも。

副業系のサービス
すでに一定の使われていますが、副業や在宅ワークなどちょっとしたお小遣い稼ぎがしたい層と親和性が高いサービスです。

同時にフリーランスや小規模事業者向けの支援サービスの集客とかも相性が良さそうです。
開業支援・独立支援系の士業の方が集客に使っていて、うまいな〜と思いました。

金融・カードローン系
Tiktokで最近ぶん回り続けているカードローン系のアフィとかは相性が良いかも。誰かやってみてほしいです。

まとめ

こんな感じにレポートとしてまとめることで、胡散臭さの浄化になればいいかなと思っています…汗

こんな荒い集客方法が実際どのような効果になるのか?
色々試して今後まとめていこうと思います。

こんな感じで定期的にマーケティングの話を発信しているので、noteもフォローしてみてください。

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