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労働|2023-06-05

今回は、うでパスタが書きます。

ボストンへ住まうために西早稲田のマンションを引き払ってから、おそらく九年がまもなく経とうとしています。
ボストンに暮らしたのは四年半で、ちょうどそのまんなかあたりで当時の会社の経営からは身を引くことを決めたわけですので、考えてみればそれから六年、その後もちょっとは自分で仕事らしいことをしたのを勘定にいれても、もう五年は「何もしないをしている(doing nothing)」ことになります。“Nothing is better than working!”といえば「やっぱり仕事をするのがいちばん!」と訳さなければどんな試験も通りませんが、「仕事をするぐらいなら何もしない方がマシ!」というシャレも効くということを「シンパサイザー」で学んだことは何度繰り返しても足りません。
「シンパサイザー」は映像化されるような話が最近発表されておりました。北ベトナムのかつての上司(ハンドラー)であり友人でもあった人物から拷問を受けながら、“Nothing is more precious than Communism!”(「共産主義よりは何もない方がまだいい!」)と叫んである境地にいたる場面が非常に印象的です。これについてはこのノートでもすでに何度も書いているのですが、なにぶんnoteは過去記事からの検索があまりうまくなくて、いつどこに何を書いたのかがよく分かりません。分かる方がいらっしゃったら教えてください。後日この部分を編集しようと思います。

ところで「シンパサイザー」を読むのは、続編というにはあまりに独自の深みをもった「シンパサイザーII 革命と献身」を読む楽しみを得るということでもあります。

そんなこんなでそろそろ偽装もしんどくなってきたため、最近はあちこちで「本業は育児」「仕事はしていない」ということを話しておりますが、これがなかなか信じてもらうことができません。
親戚のあいだでも、法事の席で「いまは何しているの」と問われたため「何もしていません」と答えたところ、「いや何かしているでしょう」「だから仕事は何をしてるの」と何回も何回も問われて困ってしまいました。「だから(労働者の数に)入ってねぇんだよ!!!」と赤星みたいなキレ方をしそうになったとき、ようやっと伯父が助け船を出してくれて助かったというような次第です。

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