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学校でのワークショップ記録

連携を始めたきっかけ

教員1年目に青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム(以下WSD)を受講しました。オンライン+週末の対面講座で忙しかったけれど、教員なりたてのなか学校どっぷりになりすぎず、強制的に年齢も職業も全然異なる方々と学ぶことができたのはすごく刺激的でした。WSDきっかけに、私の学校における実践がスタートしました。

1人でできる授業には限界があります。特に小学校は1人の担任が複数教科を教えるのが今のところスタンダード。どうしたって先生個人による得意不得意や興味の偏りは出てしまうものです。しかし、そこに外部人材が加わることで学校というフィールドがすごく面白くなるんです♫
その人だからこそ伝えられることや作り出せる空気、価値観があり、そこに子供たちのこと(発達段階や集団の傾向、個々の特性や各教科で学ぶこと)や学校の仕組みをよく分かっている教員が加わることで本当に様々な授業・ワークショップを考えることができると思います。

ただ教科書の内容を教えるのではなく、尊敬できる誰かと一緒に1から作るからこそ、熱も入る。教師自身がめちゃくちゃ主体的になれます。そして、それらの大半は各教科や単元にきちんと位置付けることもできるものです。

以下はこれまでの実践です、それぞれいろんな経緯があって生まれたものだけど、ダイジェスト!!

2012

プロジェクト・エッグ(授業外)
工作用紙1枚とセロテープだけで生卵を入れて落としても割れないような入れ物を作るというワークショップ。WSDで共に学んだ仲間達15名近くが学校に来てくれて実現しました。

学校でダンス(授業外)
ダンスサークルOBの皆さんが来てヒップホップを子供たちと楽しく踊るというもの。参加したクラスの子供たちがお楽しみ会のダンス担当に立候補し、クラス全員でそのダンスを踊りました。

文化庁助成金にて演劇ワークショップ12回(国語・特別活動など)
WSDで出会った役者さん4名と作った12回の演劇ワークショップ。学芸会も重なっていたため台本作りから一緒に考えさせてもらいました。国語で学んだ物語の一場面を体育館で演じたり、「風になる!」ってみんなで駆け回ったり、楽しかったなぁ。

2013

asobi基地×tana project(授業外)
建築家の友人が震災をきっかけに作った段ボールの棚作りワークショップ。子供たちはワークショップに参加し、親御さんは観察シートで我が子を観察した後に児童精神科医の先生の話を聞いたり対話したりする時間。親子それぞれに学びがありました。

リアル脱出ゲーム(授業外)
外部人材じゃないけど、先生仲間と企画した夏休みワークショップ。校内に謎解きを散りばめました。

しゅんさくさんの部屋(授業外)
アーティストしゅんさくさんとの企画。繋ぎ合わせたいらなくなったシーツをジャングルジムにぶら下げて、カラフルな色水を染み込ませたスポンジをひたすら投げまくるというもの。みんなびちょびちょ。始めは鮮やかな色だったシーツも濁って最後はぐっちゃぐちゃになったけどそれも楽しかった。

 バードハウスをつくろう(授業外)
tana projectと同じ建築家の友人と作った親子向けのワークショップ。図工室で釘と金槌でトントンやってオリジナルのバードハウスを作りました。

星空観察会(授業外)
防災体験で夏休みに体育館に宿泊する行事があったので、天文学の普及活動をされてる団体の方をお招きし、本格的な望遠鏡でみんなで星空観察をしました。

しゅんさくさんの部屋Ⅱ(授業外)
せっかく宿泊でたくさんの段ボール(寝るための布団がわり)を使うのだからと、しゅんさくさんのアイディアで寝るために敷いた段ボールにクレヨンで絵を描いて、体育館中にオブジェを作りました。

ツリー!クリスマス!(授業外)
けんちく、アートな方々と段ボールに飾り付けをしてクリスマスツリーを作るワークショップをしました。最後は1人1人のツリーを重ねて大きなツリーを飾り、ゴスペルを聴くという時間。

2014

みんなの住まいをつくろう!(授業外)
段ボールを使って理想の住まいを作ってみようというもの。段ボールとガムテープを使ってのグループ活動。できたものを見合って違いを発見したりしました。

2015

道徳校内研究授業「よりよい生き方」(授業)
この年から授業として正式にゲストを招くことが増えてきました。道徳の研究校だったのですが、教材を読むのではなく「ゲストの話を目の前で聞かせて考えたい。」と熱弁して指導案作りが始まり、何度も議論を重ねたうえで当日の研究授業が実現しました。

総合:自分だけの仕事作り(授業)
小中一貫キャリア教育カリキュラム作成委員に所属して作った単元計画「自分だけの仕事作り」をもとに実現した授業。「子供たちの半分以上は将来、現在ない仕事に就く」というデータをもとに、自ら仕事を作り出してきたゲストを招いてお話しを聞きました。(→その後、子供達も空想の仕事を作りました)

2016

道徳授業「よりよい生き方」(授業)
2015のものを再考して作った授業。ゲストの話を聞いた後にワールドカフェで対話をしました。

総合:自分だけの仕事作り(授業)
前年のものを再考して作った授業。4人のゲストトークを小グループに分かれて聞きました。距離が近くなった分質問もしやすくなりました。

2018

車いすダンサーさんによる実演+講演(授業)
全校生徒の静まり返った空気が忘れられません。ダンスがかっこよくて鳥肌が立ちました。

キャリア教育:「困難を乗り越えて」(授業)

専科だったのでコーディネートさせてもらった授業、オリパラ予算も使って「人生の困難にどう向き合い、乗り越えるか」を話してもらいました。

2021

町のお店オンラインインタビュー(授業)
まちたんけんが出来ないため、子供が選んだ6店舗にオンラインインタビュー!その後、お礼の手紙やビデオメッセージ、校内放送での発表をしました。

その他、今後の予定
・キャリア教育
・道徳授業

私が外部の方を巻き込む理由

「やりっぱなし!」とか「活動して楽しそうだったからOK!」になってはいけないと思うし、そんなことしてる暇ないよって先生も多いと思います。だからみんなやればいいとは全く思ってないけれど、こういうことが好きな先生が学校に1人くらいいてもいいかなと思ってやってきました。

子どもたちに「いろんな大人や価値観と出会ってほしい」というのが1番の目的です。たとえ短い時間でも、
「あんなことを言ってた人がいたな。」
「あれは楽しかったな。」
「あんな生き方をしてる人もいたな。」
と、その出会いがいつかその子を支えてくれるかもしれないと信じています。

また、外部の方々に「簡単に学校を批判してほしくない。」という気持ちもあります。先生と一緒に授業を作るうちに、子供たちや学校の素晴らしさに気がついてもらえることもたくさんあります。先生たちが置かれている環境、難しさにも気がついてもらえます。先生は本当にたくさんいるから、どこかの誰かが呟いた先生に対する嘆きや、ニュースで流れてくるひどい事例だけを鵜呑みにするのではなく、先生方と直接関わりながら教育について考えて欲しいと思います。

こんな風に、学校に関わる大人を増やすことは子供にも先生にもプラスになると信じて、私はこれからも多様な人が教育に関われるきっかけを学校や街のあちこちに作っていきたいと思っています。