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「いつか」はきっと来ないから、まずやってみる。

EdcampTAITOにて「街中✖️子ども✖️場づくり」をテーマにしたゲスト企画をすることにしました。もはや本来のEdcampとはだいぶスタイルが異なってきているのですが、この1年半試行錯誤していく中での気づきと共に、今回の企画に至った経緯とイベントに込めた想いをここに残しておこうと思います。

地域のことを何も知らなかった

簡単に言えば、これまでは私(たち)の必要感で企画をしてきました。

「子どもたちのために地域としてできること」
「第3の場とは?」
「小学生のITリテラシー・現役先生に聞きたいこと・地域連携の仕方」
「ちょっと気になる学校のあれこれ」
「ゆるゆる座談会」
「遊びの中で学べることってなんだろう?」

という、その時期に考えたいテーマで、参加者同士フラットに対話をしてきました。何か1つの答えがある訳ではないし、答えを出さなくてはいけない訳でもない。それぞれが他者とのやりとりを通じて異なる視点を得たり、思考を深めたりする時間。もちろん、繋がりが生まれることも大切にしてきました。

けれど、どの企画も「地域✖️教育」をテーマに実施しているはずなのに、運営者の私たちが「台東区」のことを全然分かっていませんでした。それぞれ個人の視点で話すことはできても、全体が見えておらず、そもそも私自身の繋がりも少なかったのです。「そんなこと今さら・・・」と思われてしまうかもしれませんが、がむしゃらに始めた当時は「台東区在住・小学校教員・子育て中の母」という点だけで「地域✖️教育」にとてつもなく当事者意識を感じていたのです。コロナ休校中&育休中ということもあり、いち地域住民として「やらねば!!!」と責任感すら感じていました。(求められてなかったかも・・・)

そこで、今年始めの運営ミーティングで実行委員の太郎くん(キャリア教育コーディネーター&謎解きクリエイターの彼は、出会った時には想像できないほど実践を積み重ね、活躍している)とじっくりと話し合い、もっと視野を広げること、地域ですでに活動している方や行政の方に話を聞くことを自分自身の目標に決めました。

その後、今回の企画に至るまで本当にたくさんの方にお世話になりました。その中で、代々受け継がれた町会やPTAがいかに地域で大きな役割を担っているのかも分かりました。(正確には立ち上げ前から聞いてはいたのですが、さらに実感が伴ったという感じ。)穏やかな下町感や、人情味溢れる人との関わりなど、古くからの文化が受け継がれているからこその恩恵を無自覚に受けてきたことにも気がつきました。代々住み続けてきた地元の方々と、新たに住み始めた人との距離が少なからずあること、「台東区」と言っても区内のエリアによって抱える課題が大きく異なることも分かってきました。

ゲストでお話いただく方々

そして、そんな中繋いでいただいたのが石田真理子さんでした。(繋いでくださった方も近所で月1ごはん会を開いたり、アフターケアの分野で1人1人に伴走するとてもとても魅力的な大先輩。)町会活動が盛んなこともあり、なかなか自主的活動が生まれにくい台東区で20年もの間、NPO法人台東区の子育てを支え合うネットワークにて生活困窮家庭の無償学習支援・食の支援をされています。真理子さんご自身も台東区生まれ台東区育ち。子育て期をカナダで過ごしていることも、ご自身の教育感に大きく影響を受けているそうです。活動は学習支援だけに留まることなく、家族のフォロー、専門家への橋渡し、進路相談(学校見学への同行も)など、1人1人の子どもたちと丁寧に関わっていることが分かり、本当に頭が下がる思いです。「出会ったからには、やらずにはいられない。」というお人柄がにじみ出ていました。真理子さんのお話を、もっとたくさんの方に聞いて欲しいと思いました。

NPO法人台東区の子育てを支え合うネットワークより
NPO法人台東区の子育てを支え合うネットワークより

また、真理子さんとは専門も対象も大きく異なる方で、ぜひお話をお聞きしたいと思ったのがPinpinさんです。子ども達の年齢も近く、プライベートでもお世話になっているPinpinさんは、最近自宅のスペースを解放してご近所さんとマーケットを始めています。谷中をベースに、飲食店・宿泊施設・建築設計事務所を営む会社 HAGI STUDIOの取締役であり、企画運営やデザインの専門家であるPinpinさん。だからこそ、その空間はとても気持ちがよく、大人も子どもも思い思いに楽しめる緩やかな空気が流れています。ふらりと立ち寄る人もいれば、じっと本を読んだり、子ども自らコーナーを開いたり。そんなマーケットを、たまたま近所に住んでいた方々と始めたという経緯や、そこで見えて来たことをじっくりお聞きしたいと思っています。

緩やかなマーケットの様子

行政窓口にも足を運んで

もともと社会福祉協議会の方々にはとてもお世話になっていました。Edcampだけでなく、それ以外の活動についても何かと連絡を取らせていただいています。打合せに同席してアドバイスをくださったり、休日にも関わらずイベントの様子を見にきてくださったり。顔を合わす、話をする機会が増えるほど信頼感が増します。この「応援してくれている。」という安心感は本当に心強いです。

今回の企画にあたっては、生涯学習課や子育て若者支援課にも繋いでいただきご挨拶させてもらいました。どちらの窓口でも区の特徴と共に、今後の活動に対するアドバイスを丁寧にしてくださいました。個人的には現在受講中の社会教育主事の方からお話が聞けたことも非常にありがたかったです。また、次回イベントでは子育て若者支援課の課長さんより「子育て若者支援として、新たな地域活動に期待すること」というテーマでお話もいただけることになりました。行政の立場だからこそ分かる地域の現状や課題についてお話が聞ける貴重な機会だと思っています。

以下は、イベント告知文。

子どもは学校だけで育てるんじゃない。地域みんなで育てるんだ。だから、子どもたちのためにできることがあればやりたいし、一緒に企める仲間がいたら、きっと私たち自身の暮らしも豊かになる。

分かってはいるけれど、「何から始めたらいいか分からない。」そう思ったことは、ありませんか?今回のEdcamp TAITOは、そんな方が一歩を踏み出すためのリアルイベントです!!

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昔ながらの町会活動やお祭り、NPO団体のボランティアやPTA活動など、子どものための地域活動は調べれば既にたくさんあるもの。「やってみたい!」と思ったら、関心の近い活動団体に参加してみるのも大きな一歩だと思います。

しかし一方で、「こんな場所があったらいいのに。」という願いや想いにぴったりくる活動がなかったり、あったとしても生活圏からは少し遠かったりと、関わるに至らないことも多いのではないでしょうか。

だからこそ、今回のEdcamp TAITOは『作る』ことにフォーカスします!

既にあるものに参加するだけでなく、”自分にできることを、できる範囲で新しくやってみる”そんな人を増やしていけたらと思っています。

これまでの経験・価値観も、置かれた環境も違うからこそ、”あなた”だからできる場があります。そして、そんな”場”を心地よいと感じる子が、きっといるはずなんです。

何より、子どもたちのことを考えて『楽しそうに企む大人の姿』そのものが、子どもにとって良い刺激になります。そうして、結果的に子どもたちにとっての選択肢が増えることが大切だと思うのです。

【前編】はじめてみた 人の話 では、既に区内で地域活動を始めている方をゲストにお招きしてお話をお聞きします。
【後編】はじめてみたい人の話 では、これからやってみたい方同士がアイディアを出し合い、プロジェクトへと繋げていきます。

地域での小さな一歩を踏み出してみたい方、ぜひぜひご参加お待ちしております♪
Edcamp TAITO#7.8告知文より

今回ゲストにお招きするお2人の活動は専門も対象も大きく異なります。でもだからこそ、気付きが多いのではないかと思っています。子どもがいる・いないに関わらず、世代を問わず、地域や教育に当事者意識を持って関わる人を増やしたいという願いを持っている私としては「教育のことは分からないから。」「場所がないから。」なんて思う必要はないと思っています。
「自分にできることを、できる範囲でやればいい。」そんな風に、参加してくださった方が前向きな気持ちになってくれたらと思います。そして、こういった会を積み重ねることで、あわよくば「台東区って、いいね」「これからよくなっていきそうだね」という空気が生まれていったらいいし、立場を超えて繋がりが生まれ、小さなプロジェクトが生まれていったら嬉しいです。

イベント前編はこちら。
イベント後編はこちら。

終わりに

思えば、大学卒業後すぐ先生にならなかったのは「私みたいな人間が先生になっちゃいけない。」という理由からでした。学校が大好きだったし、先生にとても影響を受けて育った自覚があるからこそ、そう思っていました。だから「いつか、いろんな経験をして自信が持てたら・・・」と就職したのです。けれど2年後、そんな自信はいつまでたっても生まれないことに気がつきました。そして、とりあえずやってみることにしたのです。やってみて初めて分かることがあるし、やりながら学んだ方が力がつくということが分かりました。

Edcamp TAITOも同じでした。振り返れば地域のことを何も分からずに始めたと思っていますし、なんなら今も知らないことだらけです。でも、「今の私はまだ何も知らないから、もっと地域のことを知ってから・・・」なんて思っていたら、きっと一生始められません。いち住民である時点で地域の一員であることには変わらないし、「地域のことは地元の人じゃなければ・・・とか、〇〇になってからでないとやってはいけない。」なんて決まりはないのです。学校教育で働いてきた経験や、教育に関する知識・専門性は多少なりともあるのだから、それを最大限に活かして、やってみる。やりながらの方が、よっぽど教えてもらう機会も学びも多いに違いありません。

活動していると、厳しい言葉をもらうこともあります。でも、最後には「まぁ、頑張ってみな!必要な時には力を貸すよ!」と励ましてもらってばかり。そうやって応援してくださる方々の言葉を力に変えて、そして、最終的には子どもたちにとって安心できる居場所が少しでも街中に増えるように、諦めずに頑張っていきたいと思っています。

今回は3人の方にお話をお聞きしますが、まだまだ出会いたい、お話をお聞きしたい方ばかりです。私自身、講師としてだけでなく、もっと街中で子どもたちと関わっていきたいし「学校」の可能性も模索していきたいと思っています。先の見えない中ではありますが、少しずつ声をかけていただくことも増えてきました。

諦めることなく、ゆっくりと着実に進んでいきます。