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見失い、見つけて、育てる。

自分の好きなもの、やりたいこと、が答えられない。

好きなもの、好きな食べ物、服のテイスト、色、景色。自分よりも優先すべきものができた時から、たくさんのものを見失い始めたのかもしれない。もちろん、やりたいことも。

1度見失うと、何が好きかすらもわからなくなる。

なんて、結婚したての22歳の私が知ったら結婚なんてしていないに違いない。それくらい、私は自分の欲望に正直に、まっすぐ好きなことだけをして生きてきた。
生きてこれるような、恵まれた環境にいた。

高校を出てから、アニメーターの専門学校に入った。兵庫の田舎から出てきての初めての一人暮らし。新大阪の近くにアパートを借りて、親から仕送りをもらい、毎日絵を描いたり、友達と遊んだり。あの頃が一番好き勝手に生きていた。

誰の目も気にせずに、欲望のまま行動できる喜び!あの高揚感は何物にも代えがたかった。と、今ならわかる。

絵を描いていたら、自分よりも上手い同年代がたくさんいることに気づいた。そのまま、絵を描くことを仕事にする未来が描けず、専門学校を1年でやめた。描くことと関係のないサービス業に就職し、旦那と出会い、結婚して、子供が生まれ、今にいたるる。

今でもふと、子供が生まれてからも産前に描いていたイラストブログを続けていられたら、あの頃の私はどんなに救われていただろうかと思うことがある。
育児の間に1枚だけでもイラストを描いて、SNSでつながったママブロガーさんたちとつながれていたら。
愚痴も、喜びも、共感してもらえただろうか。
あの、言葉にならない孤独感や焦りは昇華できただろうか。

現実世界の子育ては、家族の枠を超えると、とたんに厳しさを見せる。
濁流の中の孤島に取り残されたかのような孤独感。その厳しさのど真ん中に放り込まれたら、対岸に渡ることを想像することもできない。右にも左にも進めす、なすすべもなく、立ち尽くす。

そして孤独だったあのころ、現実逃避に選んだのは、買い物とレジャーだった。
毎週末、出かけてはお金を使い、生活の質を上げてくれそうなものや便利そうなものを買いあさる。思い通りにならない子供と日常生活。望んで手に入れたはずなのに、満たされない。

そんな日々の中で、好きなものや夢中になれるものを見失った。

好きな服のテイストもわからなくなった。気づくと、30歳の手前。自分の中の感覚は20代前半のままだったから、30手前になった自分がまとうべきものがわからない。
とりあえず、1枚2000円前後の動きやすい服を選ぶ。夏はTシャツにデニムにサンダル。冬はセーターにデニムにスニーカー。汚れてもいい服、すぐに代わりの見つかる服ばかり。着飾った自分を見せる相手もいない。

そうこうするうちに、子供たちは成長して、追いかけなくてもよくなった。

自由な服を着れるようになって、改めて実用性以外のフィルターで自分のまといたい服を選ふことになる。
あれ、自分の好きなものってなんだっけ?
自分の趣味嗜好を探し始めた。

自分探しなんて、10代の学生でもあるまいし…。
バカバカしいようだけれど、実際は10代のころよりも確実にいろんなものを見失っていた。

ワイドショーやSNSで見た、流行っている趣味を始めたりもした。ハンドメイドでアクセサリーを作ってみたり、ネイルに凝ってみたり…でも、すぐに飽きた。やめるたびに、材料費や道具にかけた金額を考えては罪悪感が芽生える。

ふと思いついて、育児絵日記ブログを始めた。
そういえば、私は絵を描くのが好きだった、と思い出した。

絵日記を描き始めるとネタ探しに、毎日子供たちを観察することになる。会話の1つ1つが私の想像を超えて、面白さに満ち溢れていることに気づく。
子供たちは、ひとりひとり何かを考えて生きている。当たり前なことなんだけれど、改めて目の前の生命体に興味がわいた。

辛さが大半だった日々が少しづつ和らいでいく。

あれ?子育ってってもしかして面白い?そんな感想を持つようになった。

最初は無料ブログをやっていた。ほとんど反応がなく、何度かやめようと思った。
つながりが欲しくて、次にインスタグラムに投稿を始めた。すると少しづつコメントしたりされたり、友達のような人が増えていく。

また世界が広がった。
何かを生み出して、そのことに対して反応がある。こんなに嬉しいことだったのか…!

その後、インスタのアカウントに入れなくなりなんやかんやでアカウントを削除した。だが、今もブログで子育てマンガを描き続けている。

好きなことは、やり続けないと見失う。

文章も絵もアウトプットし続けないと、あっという間に書けなくなる。反対にやり続ければ、拙いながらも何かを生み出すことができる。研ぎ澄ませていけば、それはきっと、財産にも糧にもなる。

今、私の中で楽しい、面白いがどんどん育っている。noteを始めたのも、イラストで表現しきれないものがあふれて、それを掬い取って形にしたかったから。

文章も絵も、表現方法が無限にあるのが面白い。
うまくなりたいと心から思うことの楽しさ!自分が直感で好きだと思ったものを、人生のフィルターにかけて、こしとっていく。
残ったものを自分と混ぜ合わせて、何かを産みだす。自分の中から言葉や感情を掬い取る、その形のあいまいなものを、この世界に表現する。

これは、知ってしまったら一生ものの刺激だ。
今も日々、刺激にさらされながら歩いていく。その道での出会いを楽しみながら。



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