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糖尿病の引き金になった精神科の薬

*これはけして誰にでも当てはまるものではないことを先に記しておきます。


わたしの場合、躁鬱病関連の薬を何種類か飲んでいたので、入院時に病院にお薬手帳と共に提出した。

と言っても3日間意識が無くて、その間に夫が主治医に指示されて、家にある薬の一切合切を提出したので…大変なことになった。

メンタルクリニックには2週間ごとに通院し薬を微調整しながら飲んでいるのだが、

「毎日必ず飲む薬」

「不調の時だけプラスする薬」

「以前飲んでたけど、今は頓服でしか飲まない薬」

「以前飲んでたけど、今は必要ない薬」

「急に不調になった時のためのお守りとしての薬」

「便秘がひどくなった時の薬」

など、整理整頓の苦手なわたしが自分にしかわからない区分で保管していたから、指示された夫は途方に暮れたらしい。

日頃はわたしの病気には無関心だから、薬の名前も効能もさっぱりわからなかったのだろう。お薬手帳を見るということも考えつかなかった。

それで目につく限りの薬を提出したところ、治療チームは驚いた。病院の薬剤師も驚いた。

「こんなに、飲んでるの?」

驚いて当然だと思う。ちゃんと整理しないままだったわたしが悪い。

つまりはわたしの躁鬱病が酷く重いものだと捉えられた。当たり前だ。けっこう強めの眠剤も数種類あったし、いつ飲んでいたのか忘れるほど前の処方の薬も捨ててなかった。


意識のない間は当然飲み薬は無しで、点滴とインスリン注射だけだった。目が覚めて病室に移動したらすぐに主治医が来て(初対面)、山のような種類の薬について尋ねられた。

わたしは現在は最近のお薬手帳にある薬だけでコントロールできていることを説明した。少し安心した顔をされた。そして入院中は持ち込んだ薬は規則で飲めないので、同じ薬を処方するから糖尿病の薬と一緒に飲むようにと言い置いて戻っていった。

さっそく、その昼食の後から配られる薬を飲み始めた。1回分ずつバラされて名前の書かれた容器に入ったものを渡されたので、なんの疑問も持たずに飲んでいた。

アタマはまだまとまって物事を考えられなくて、友人に「生きてるよ」と連絡する短文のメールを打つにも時間がかかるくらいだったから、薬の種類が少し違っていたのにも気がつかなかった。

わたしがわけのわからない状態になってる間に、主治医はメンタルクリニックで処方されている薬の成分を調べてくれた。またクリニックに電話していくつか確認もしてくれた。その上での処方だった。仕事のできるいいドクターだと思う。

わたしがメンタルクリニックで処方され、飲んでいる薬の中に「副作用として血糖値を上げる作用のある薬」がふくまれていた。

その薬は飲まないようにしましたよ。あちらの先生にも話してありますよ。

と主治医から聞かされて、考え込んだ。その薬は睡眠時に夢を少なくする作用があり、覚醒時には気分の浮き沈みを軽減する作用があるもので、7〜8ヶ月飲み続けていたのだった。聞いていた副作用は多少眠くなるということにとどまっていた。

わたしはもともと…子供の頃から悪夢を見ることが多い。それも細部に渡ってリアルで、実際の家族知人友人が出てきて、理不尽な設定で苦しめられる。時々は現実との境目が無くなり、目が覚めても夢だったと認識できないことがあるくらいだ。そしてフルカラーである。

なによりも辛いのは一度悪夢に囚われると、夜中に何度起きてもふたたび眠ると続きが始まることだ。例えばトイレに行くとか、水を飲むとか、起き上がってクッションを入れた後にも続きが襲ってくる。

躁鬱病を抱えている場合ではなくても、悪夢が多いということは脳も体も休めていない。夢から覚めるとグッタリと疲れて手足も怠い。そして不調になる程夢は増える。悪夢が。それは起きている時間をも蝕み、気分を暗くし、常に眠い。

それを改善する作用の薬を処方されていたのだ。夢を見ないための薬。

劇的な作用ではなかったけれど、確実に効いていることを感じていた。

メンタルクリニックのドクターの名誉のために書いておく。クリニックでは最初のカウンセリングでわたしが糖尿病患者を家族に持っていることを話してはいたけれど、年に一度の血液検査では血糖値で引っかかったことはない。普段の食生活についてもよく話していたが、野菜を多めに摂っていて酒も週に2回程度。糖尿病になるような食生活ではなかったから、薬がトリガーになっていたなんて思いもしなかったはず。

20年ものかかりつけの内科医だって健康診断の結果を聞きに行くと、心電図とコルステロール値について指摘するだけで、血糖値が高いと言われたことはない。少しダイエットしなさいとは言われたけど。

でも、主治医の見解はその薬がトリガーで、検査などで現れる前に短期間で一気に病状が進み、重い糖尿病に罹患したというものだった。

だから逆に、と主治医は続けた。糖尿病にかかっていた期間はとても短かったと考えられる。まだ他の臓器や血管を悪くする前だったと。(血管のエコーでもそれは証明されていた)

その薬をやめたことで、すぐに夢を見るようになったか、といえばそうではない。特に入院中に夢らしい夢を見たのは一度きりだった。あとは熟睡かお腹が空いて眠れないかの二択だった。


そして退院後、3ヶ月間というものわたしは絶好調だった。あんなに夜眠れなくて眠剤を服用していたのがウソのように眠れる。朝のウォーキングが習慣化してきたら鬱々とした気分も晴れやかになってくる。長い長いトンネルから抜け出したような気分。

もしかして意識不明の3日間の点滴で、わたしの憑物は落ちたのではないか。14日間の規則正しい入院生活で歪んだ体内時計が正確になったのではないか。そんな風に思っていた。

もちろんメンタルクリニックの通院は続けていたし、薬の服用を勝手にやめたりはしていない。診察時に気分が晴れやかなことを報告してはいたが。ドクターがこの間のわたしの躁状態をどう見ていたのかわからないけれど、手放しで喜んでいないことは最近わかった。

退院から4ヶ月。最近また寝つきがあまり良くない。

夢も増えてきた。

家での生活は退院時と変わっていない。規則正しく起きて必ず朝食をとり、ウォーキングをして、せっせと野菜中心の食事を作る。

新型コロナ自粛のおかげで、趣味の美術館博物館映画館は気軽に行けないし、生きる源のような生のクラッシック音楽の演奏会にも行けていない。様々な工夫で安全が確保されているとはいえ、基礎疾患持ちだからやはり腰が引ける。だから同じ生活を送っている。

血糖値を上げる作用のある例の薬は、生涯二度と飲みたくない。メンタルクリニックのドクターからは、辛くなったら代替の薬を処方できるよ。と言われている。血糖値には関係しない薬を。

でも、できれば飲みたくない。

薬の種類を増やしたくないのだ。血糖値を下げる薬はずっと飲むワケだし。

報告はしているけれど夢に押し潰されないように生活できないものかとも思っている。

枕をすごく良いものに替えてみたら、少し改善したように思う。薬ほどじゃないけど、こんな風にしばらくは自分について考察を続けることにしている。

ともあれ。

もしも普段通っているクリニックの薬を飲んでいて、糖尿病(とまで行かなくても血糖値が高い場合)と診断されたら、一度は申し出て薬の成分を検討してもらうのも、患者の知識として持っていると良いかもしれない。


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