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頼んだ!イフェクサーSR

3月、すこぶる調子が悪い。
世界からもたされる重圧にひたすらに押しつぶされて、心がぺっちゃんこになっている。
意欲がない。関心がない。集中力がないから好きな物にも没頭しきれず、世界が灰色を帯びてきた。

ひたすら、横になっている。
小説を読んでも文字は目を滑っていくし、映画を見ても心はついて行かない。映像と音のエネルギーに疲弊する。絵を描こうと思っても腕は動かず、もどかしさが身体を縛り付ける。
息苦しい。
こんなとき、SNSをだらだらと見てしまう。新しい情報が入ってくる時は少しだけ脳みそが動いてる気がして気分が良くなる。また浅く思考し、言葉をあてはめて、ツイートして、昇華する。これも少しだけ何かを成し遂げた気持ちになれるのである。結局塵しか産んでないのだけれど。
こんな状態に陥ったとき、解決の糸口が全く見つからないのが辛い。現状を打破したくてもできない。何かをしないと変われないのに、何も出来ない。『変わらなきゃ』という気持ちがどんどん加速していき、その分『何も出来ない』自分が嫌になっていく。日々自己嫌悪に身を焼かれる。

もう毎日、
朝起きる→寝る→ご飯を食べる→横になって天井を見る→インターネットを眺める→寝る
の繰り返しだ。無の無限ループから抜け出せない。
眠いから寝るんじゃなくて、なにもできないから仕方なく寝ている。8割は横になっている。
インターネットを眺めているときも多くのアカウントが目にはいると嫌になってくるから、少数の情報を繰り返し見ている。
他人が怖いのでインターネット上でも人と話さない。
現実世界でなるべく他人の声を聞きたくないのと同様に、ネットでも静かな空間を望んでいる。『人』としての自我がなるべく少ない『情報』を目にしたい。
こうして唯一私に変化をもたらす可能性があるであろう他者を拒むことで、徹底的に無の無限ループを保っている。

そんな私の生活に新しく舞い込んできたのがイフェクサーSRだ。今日病院に行って新しく貰った薬。
彼の登場が何かのきっかけになりますように。平坦な私の心に些細でもいいなら、揺らぎをもたらして欲しい。ほんの少し水面を波打たせるだけで十分だ。その微細な変化さえも渇望している。
祈りを込めて小さなカプセルを水で流し込んだ。これからも仕方なく、また目を瞑る。

こんな灰色の生活が延々と続くのなら、人生っていったい何なんだろう、なんて考える。何に向かって?何を目的にして?生きるのか、その意味をぼんやりと考えて、そしてまた、ゆっくりと目をつぶるのだ。

おわり