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理想のカレーミックス

スパイスを売っているとたまに相当前に買ったものなのだけれども使えるかどうか聞かれることがたまにある。香りや色が大丈夫であれば使えると伝えてきているが、やはり使いきれなくて困っている人が多いような気がする。

台所にあるスパイスがより身近になってもらいたく、料理教室、講座などを開催してきたが、春頃には「ブリンジャル」というスパイスのことがより深く学べる学校を始めてみた。スパイスの歴史や効能を勉強してもらうのだが、メインは香り知ってもらったり、世界中でよく使われているスパイスミックスの内容を解体してどのような目的でそのスパイスがブレンドされているのかをスパイスをカテゴリーに分けて知ってもらうようにしている。スパイスを使う目的がわかると料理がもっと自由になると思うし、身近にも感じてもらえるのではないかと思っている。

スパイスを知り、世界中のスパイスミックスを解体して、使い道や理由などが分かってくると次はそれぞれのオリジナルのスパイスミックスを作りたくなってくる。ただスパイスをミックスしてもなかなか思い通りの感じになっているかは何度か経験を重ねてみないと少し難しい。


そこでカレーを作る料理教室などで基本のスパイスと説明している「ターメリック」「コリアンダー」「クミン」「レッドペッパー」をブレンドして美味しいカレーが作れるミックスを考えてみることにした。土っぽさが強いターメリックや辛みが特徴的なレッドペッパーはあまり入れすぎず、爽やかなコリアンダーは多めに、カレーっぽい香りがするクミンもそこそこ入れてみることにした。比率はこんな感じである。

ターメリック1:コリアンダー4:クミン3:レッドペッパー1。

良い香りもするし、使い勝手が良いシンプルなカレーミックスができたような気がする。
ただみんなが好きなカレーミックスになったかは疑問である。料理教室ではスパイスは香りが大事だと言っているので香りを見てもらうことが多い。そこでどの香りが好きだったか聞いてみるとやはり圧倒的にコリアンダーやクミンといったカレーを作るときに多く入れるスパイスを選ぶ人が多い中、少ないが必ずターメリックやレッドペッパーを選ぶ人もいるのが面白い。色々なところで料理教室を開催するたびに香りを見てもらい、好きなスパイスを基本のスパイスから選んでもらうとだんだんと全体の比率が見えてくるようになった。そこで数年前、とある大学でスパイスの話を学生200人くらい前でする際に、ターメリック、コリアンダー、クミン、レッドペッパーの基本のスパイスの香りを見てもらいそれぞれの好きなスパイスを大さじ1杯すくっていただき、用意しておいたボウルに入れてもらった。200人の学生たちがそれぞれの好きなスパイスを大さじ1杯ずつ入れ終わったらボウルの中のスパイスをよくかき混ぜた。出来上がったスパイスミックスは大さじ1杯ずつ持って帰ってもらった。

200人が好きなスパイスを4つのうちから選んでできたスパイスミックスはかなり良い感じのカレーのブレンドになっていた。


もしかしたら、人数をもっと増やせば、もっと理想のカレーミックスができるのではないだろうか、大学の学生全員でやったらもっと素晴らしいものができるのかもしれない。ディズニーランドに来ている人たちがやったら面白そうだ。スパイスを選ぶ環境でも結果は違うかもしれない。人数が多ければよりみんなの理想のカレーパウダーが出来上がるのかもしれない。

1万人だったらもっと面白い。1億人だったら、70億人だったら、、、と夢は膨らむ。

今度「理想のカレーミックス」作りの実験を時間をかけて色々な人に聞いて作ってみようかな。

1年後の夏にみんなの「好きな香り」を入れたスパイスミックスはどんな感じに出来上がるのだろうか。

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