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幸せの丸いラドゥー

「昔々あるところにラーマという王様がいました。

ラーマ王には姫がいて名前をシータと言いました。

優しい王と女王は素敵な王国に暮らしていました。

ある日、鬼がやってきてシータを誘拐してしまいました。

困った王はハヌマーンと言う猿に頼み姫を探しに行ってもらいました。

鬼が住む鬼ヶ島を見つけた王は姫を奪い返しに行きました。

鬼にはなんと十個も顔があったので、一日一つずつ首を落としていき十日間かけて鬼を退治しました。

長い戦いに勝利して姫と一緒に王国に戻ると国民は歓喜してたくさんの光を灯しました。」


北インドでは毎年10月の終わりから11月の中頃のどこかで光の祭典「DIWALI」のお祭りがある。商売人にとっては1年の節目となるので日本ではわかりやくすくインドの正月として紹介されることが多い。この期間になると町中で花火が打ち上げられたり、家々は色彩豊かなデコレーションで覆われたりする。商売人はディワリが開けた翌日の早朝にはお世話になっている取引先に赴き最初の注文をもらうのである。年の一番最初に自分たちの注文が記載されることが縁起が良いことだと言われているのである。

そんなハッピーな時に必ずと言って良いほど登場するのがラドゥー(Ladoo)というお菓子である。甘くて丸い形状のラドゥーは地域によって味付けが異なり、ラジャスタンやウッタルプラデッシュのモティチョールラドゥー、南インドではココナッツがまぶしてあるココナッツラドゥーやアッサムではゴマのティルラドゥーが有名である。

このまあるいラドゥーは婚約のとき、結婚式で、子どもが生まれた時、新しい商売を始める時など、喜びを分かち合う時に配る一つのものとしてよく登場する。

幸せとともにやってくるラドゥーはなぜ丸いのだろう。

もともとはお菓子ではなくアーユルヴェーダの処方箋として登場したのが起源なのだそうだ。

紀元前4世紀ごろにいたアーユルヴェーダのお医者さん、スシュルタさん(Susruta)が胡麻、黒糖、ピーナッツなどを蜂蜜で丸めて食べやすくして患者に渡したそうである。含まれていた材料は消化を助けたり、血流の流れを良くしたり、時には風邪薬にもなったそうである。スシュルタさんが配り始めたまあるいお薬は幸運のシンボルとして定着していきラドゥーと呼ばれるようになり幸せの一つのかたちとなり、広まっていったのだろう。

幼い頃に祖母が作ってくれたラドゥーはやはり幸せの味がしたものである。

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