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スパイスの歴史を巡るコース料理

人が人になる前からスパイスはあったのであろうか。それは誰もわからないのかもしれない。

アフリカのどこかで猿が木ノ実を味付けしていたのが発見されたという話が好きであるが、それは今の猿で人になる前に猿がどうしていたかはわからない。スパイスを使うことで猿から
人になったと妄想すると話は面白くなってくる。

人が歴史を記し始めてから間も無くスパイスは登場している。インダス文明の遺跡の調理場からはターメリックとマスタードが生姜やニンニクとともにナス料理に使われていた痕跡が見つかり、コリアンダーやクミンなどが地中海から伝わる昔からマスタードとターメリックが使われていたのがわかる。現在では唐辛子(レッドペッパー・カイエンペッパー)はインド料理には欠かせないものであるが大航海時代が始まる前はインドには伝わっていなかった。5,000年前にはヨーグルトがインドに伝わった。トマトは500年前。大航海時代、植民地政策、奴隷制度とともに世界に伝わった食材は多く、ジャガイモ、トウモロコシ、トマト、赤唐辛子、オクラにローゼル。ペルシャからムガールの人々がインドにやってきたことでもインドの食の歴史は大きく変わった。ナッツやハーブ使い、小麦料理に宮廷料理は1200年代から1700年代のインドで大きく華開き、現在の世界で多く食べられているインド料理のベースとなっている。ビリヤニ、タンドリーチキンにバターチキンそしてニハリなどと行った料理が有名である。

ポルトガルから始まり、イギリスがインドにやってくると交易は植民地政策に変わって行き、インドの山間部にイギリス人のための避暑地が多く作られダージリンやニルギリなどといったところでは紅茶の栽培も始められた。イギリスに送られていった紅茶の残りを使い生まれたのがインドで大人気の飲み物マサラチャイである。

インドの歴史や文化、人々の移り変わりや変化、哀しみや嬉しさ、強さや弱さ、混沌としていて雄大なインドの旅をスパイスという名の小舟に乗ってゆっくりと旅をする。見たことあるものやないもの、聞いたことがあるものやないものを美味しい料理とともに味わっていただく。船頭そして案内役はわたくしです。

最初の料理は文明の始まりから大航海時代までのスパイスと食材をテーマとした料理。二つ目の料理は大航海時代、植民地政策、奴隷制度、戦争に機械化といった人々を中心に世界が渦巻いた時代のスパイスや食材やメニューを料理に。そして三つ目のプレートにはスパイスと「和」を組み合わせた「未来」をテーマに平和と希望を込めたプレートにできればと思っております。

どうぞご賞味ください。

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